知り合いの女子大生から緊張しない方法を聞かれる。
彼女は今自動車学校に通っていて、技能試験を受けるところまで来ている。ところがすでに一度不合格になっていると言うことであった。技能試験を受けるとどうしても緊張してしまい普段の運転ができない。緊張でガタガタしてしまい運転操作が思うようにできなくなるということであった。
確かに、運転の技能試験では緊張のあまり普段の実力を発揮できず不合格になったという話をよく耳にする。手足を的確に動かすことを要求される技能試験で、緊張のあまり手足が上手く動かず運転操作に失敗することはあり得ると思う。また、緊張のあまり目が点になり状況を正しく把握できず間違った判断、間違った操作をしてしまうこともあり得ると思う。
いづれにしても緊張は技能試験の大敵である。緊張は物事に対処するときに集中力を高める働きの結果として発生するものであるから、緊張は人間にとって決して悪いことではない。しかし、その緊張が過度に起きると問題が生じる。
そうならないために緊張を緩和する方法があれば確かに良い。私は、その昔先輩から聞いた緊張緩和の方法を教えてあげた
「緊張をほぐすためには舌を出すこと。鏡を見ながら口を出来るだけ大きく開けて出来るだけ前に舌を出す。顔の筋肉が伸びきるように口を大きく開けて、大きく舌を出す。顔のこわばりをそうすることでほぐす。その他変顔を好きなようにしても良い。」
緊張は必ず顔の筋肉のこわばりに現れる。顔のこわばりを取り除かない限り、いくら緊張をほぐす暗示をかけても緊張はほぐれない。緊張をほぐすためにはまず顔の筋肉のこわばりを取ることが先決である。そのために舌を出すことが簡単で効果的と昔言われたことを彼女に教えてあげた。
私流の緊張緩和方法を教えたけど、彼女はまだ納得できていない様子だったので私からアドバイスを差し上げた。
「明日はいよいよ技能試験だから今夜は絶対に蚊取線香を焚かないようにして下さい。」
彼女は「? ?? どうしてですか?」と聞いてくる。
「エッ、本当に知らないの?日本人なら常識でしょう。蚊取線香を焚くことを金鳥(キンチョー)すると言うのですよ。だから緊張するのはよくないから試験の前には焚かないようにした方がいいと昔から言われてるんです。」と説明する。
「それって古くないですか?祖母だったら受けるかもしれませんけど!」
時代によって笑いが変わる。キンチョーをほぐすのは難しい。