ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

ガリヴァー旅行記 その2 「不死人間ストラルドブラグ」

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ガリヴァー旅行記 地図

大きな島国であるラグナグ王国に着いたガリヴァーは、「不死人間ストラルドブラグ」の噂を聞かされる。

「不死人間ストラルドブラグ」はラグナグ国で稀に生まれる不死の人間で、生まれた時点で痣があるのですぐにわかるのだそうだ。ガリヴァーはストラルドブラグの存在を最初は絶賛してて、もし自分がストラルドブラグであったら、まずあらゆる手段方法をつくして金儲けをしようと思うから始まって、学術的にどれほど成果をあげられるだろう、などと永遠に続く輝かしい未来を夢想する。

 

しかしそんなガリヴァーをラグナグ人は嘲笑する。実際の「不死人間ストラルドブラグ」たちがどれほど悲惨であるかラグナグ人はよくわかってるからだ。

 

「不死人間ストラルドブラグ」は不死ではあるが不老ではないため、老衰から逃れることはできず、いずれ体も目も耳も衰え集中力も記憶力もなくなり、日々の不自由に愚痴を延々とこぼし、歳を取った結果積み重なった無駄に強大な自尊心で、周囲を見下す低俗極まりない人間になっていく。80歳で法的に死者とされてしまい、以後どこまでも老いさらばえたまま、世間から厄介者扱いされ、悲惨な境涯を生き続けることになる。

 

不死身ということは一見良さそうな感じがしないでもないが、実は一緒に生きて来た人たちつまり同世代の人たちを、ずっと一人で見送り続けなければならないことだと考えると、寂しくて恐怖さえ感じる。

不死はいらない。私はこの話を知って、死とは人間に与えられた救済なのだと思えるようになった。

 

では、不死はいらないけど不老はどうだろう?「老化老衰にならない不老に効果がある薬ができたら欲しいですか?」「死ぬ直前まで若く保てる薬がありますよ。いかがですか?」と尋ねられたら多くの人が欲しいと答えるかもしれない。しかし、いまの政権では、またまた「一億総活躍社会の実現」の改訂版や「働かせ方改革」の改定版を作って死ぬ直前まで働かされることになるだろうと思うと不老の薬も無い方が良い気もする。いよいよQOL(quality of life、生活の質)の個人幸福度世界順位が確実に低下することが目に見えている。

速く高く駆けた時代には戻れないけど、黄昏の時間もそれなりにいいものだと思う。