アジサイは長崎市の市花である。長崎では今、「紫陽花まつり」が行われている。「紫陽花まつり」を長崎では「あじさいまつり」と呼ばないで「おたくさまつり」と呼んでいる。
なぜ、あじさいを「オタクサ」と呼んでいるかというと、出島商館医であったシーボルトに由来する。シーボルトは長崎に滞在中、運命の女性お滝さんと出会い娘イネを授かったが、その幸福のさなか国外追放の身となり、出島を追われヨーロッパに戻って行った。植物学者でもあるシーボルトはヨーロッパで、日本の花「あじさい」をお滝さんを偲び「オタクサ」という名前で紹介をした。シーボルトがお滝さんや女医となった娘イネと再会できたのは、実に30年以上の歳月が過ぎたあとであった。それ以来長崎では紫陽花を「オタクサ」と呼んでいる。再会できた二人の愛を思いながら「紫陽花まつり」の会場である中島川公園を散歩する。
今年は20種類のオタクサ(紫陽花)が会場に設置され、色とりどりの花を鑑賞することができる。紫陽花の花言葉は、色が変わることから「移り気」など否定的な花言葉もある一方で、「和気あいあい」「家族」「団欒」などポジティブな花言葉もある。アジサイは小さな花が集まりあって綺麗な大きな花を咲かせることが由来と言われる。シーボルトは遠いヨーロッパの地でオタクサを見るたびに家族を思い起こしたと思う。