今日は7月7日、七夕である。この時期、夜空を仰ぐと白鳥座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルの星を結んだ夏の大三角形を見ることができる。その夏の三角形のアルタイルが彦星であり、ベガが織姫である。
織姫と彦星の伝説をおさらいすると、天の神様の娘「織姫」は仕事熱心な娘で、大変美しいはたを織っていた。天の神様は、その自慢の娘にふさわしい婿を探していたところ、真面目で仕事熱心な「彦星」に出会い、この若者こそ娘の婿にふさわしいと思い、結婚を許した。
結婚した二人は、仲睦まじく暮らし始めたが、二人で仲良くお話をすることがあまりにも楽しくて、そのため仕事を忘れて、ふたりは会話にふけり、その結果服を作ることもせず、牛の世話をせず牛は痩せ細ってしまった。天の神様はこれまで何度も注意をしてきたが、二人はちっとも改める様子も見えなかった。
ついに、怒った天の神様は、天の川を挟んで、織姫と彦星を遠く引き離すこととした。ところが、ふたりがあまりに嘆き悲しむのを見て、天の神様は毎年、7月7日の晴れの日だけ二人が合うことを許された。これが織姫と彦星の七夕の話である。
今日は晴れていて、確かに雨は降らなかった。しかし夕方から雲が出てきたので織姫と彦星が会えたかどうか心配である。
昔、天文クラブの大学生が解説するスターウオッチングを大学生と一緒に受講したことがあった。広場にマットがたくさん敷かれていて、参加者はみんなそのマットに仰向けに寝転んでのスターウオッチングは快適だった。解説する大学生は天文クラブの部長さんとかで星のことをよく勉強していてギリシャ神話なども交えて楽しく説明してくれた。例えば、天の川についてはギリシャ神話から、「ゼウスは、自分とアルクメネの間にできた子であるヘラクレスを不死身にするため、女神ヘラの母乳をヘラクレスに飲ませようとした。しかし女神ヘラが拒んだため、ゼウスは一計を案じ、ヘラに眠り薬を飲ませ、ヘラが眠っている間にヘラクレスに母乳を飲ませた。この時、ヘラが突然目覚め、ヘラクレスが自分の母乳を飲んでいることに気づき、慌ててヘラクレスを払いのけたとき、母乳がドバッーとおっぱいから噴き出してそれが、天の川になった。だから天の川のことを英語ではミルキーウエイと言います」という迫真の演技と説明だけは妙にはっきりと覚えている。
その時の解説で、織姫である「ベガ」と彦星である「アルタイル」との距離がどのくらいあるか質問された。誰も答えきれなかったが、光の速さで16光年の距離があるそうだ。ちなみにこの距離を新幹線で行くとすれば、5700万年かかるらしい。本当に感心するほどよく知っている解説者であった。
最後に、「七夕の時には、晴れの日は二人は会える。雨の日は二人は会えない。では曇りの日はどうでしょうか?会えると思いますか?会えないと思いますか?」という質問があった。会場の大学生からは会えるとか、会えないとか、思い思いに答えがあがっていた。「正解は、会えます。実は会っているのです。皆さん、深く深く愛し合っている二人が、遠い遠いところに住んでいる二人が一年ぶりに会いました。やっとの思いで会うことができました。最高に嬉しいです。いいですか。あの雲はカーテンなのです。皆さんからジーと見られるのは恥ずかしいのです。二人をそーっとしておいてください。私からもお願いします」という答えがあった。大学生は口笛吹いたり、歓声あげたり喜んでいたのを覚えている。私も、思わず拍手喝采をしていた。