福江の武家屋敷通りを歩いていたら山本二三美術館という案内を発見した。山本二三さんは五島出身とは聞いていたが、福江に山本二三美術館があるとは知らなかった。早速、美術館に行く。
山本二三さんは1953年五島生まれのアニメーション美術の創造者であり、アニメーション監督である。宮崎駿作品の多くに美術監督や背景として参加している方である。
館内には山本二三さんが描いた作品がたくさん展示されていた。どれも宮崎駿作品に出てくる場面などで日本人なら見たことがある作品ばかりである。アニメーションが作成されていく中での美術監督の役割をアニメーション作成の過程を示しながら詳しく説明がなされていた。アトリエコーナーでは山本さんの仕事現場が再現されていた。
アトリエコーナーの壁にはトトロが住んでいそうな奥深い森の中が描かれていた。木の根元は雨による水たまりができていて、光がさし込んでいる。細部にわたり、丁寧に仕上げされた作品は見るだけでその場の温度、湿度、音などが感じられる。
隣の展示室「空と雲の部屋」には壁だけでなく床も天井もすべてをキャンバスに使い作品が仕上げられていた。
特別展として、五島出身の漫画家ヨシノサツキさんとのコラボ展が開催されていた。山本二三さんの五島百景を背景作品としてヨシノサツキさんのばらかもんが活躍する楽しい作品が多く展示されていた。
それぞれの分野で日本を代表するような活躍をされている、アニメーション監督と漫画家のお二人の作品を見て、その豊かな表現力に感動を覚える。自分の思い描くすべてを自由自在に表現できる技術は本当に素晴らしいことだと思う。お二人の作品を見て、それ以上に、このような豊かな創造力はどこから生まれるのかという驚きを強く感じる。無から有を生む創造力、想像力、イメージ力などの豊かさをどの作品からも強く感じる。試験に合格するための記憶力を磨くような学習しかしてこなかった自分には創造力など皆無だし、作品を見て回りながら創造力に驚嘆するばかりであった。創造力には届かないにしても、良いものを見ることが良い刺激になって豊かな感性に繋がることを願いながら作品を見て回った。