私が務める職場に、憧れの人に猛アタックをして結婚に結びつけた女性Aさんがいる。
Aさんは若い頃、就職のため故郷を離れ県外に出て行った。県外で楽しく仕事をしていたが、遠距離恋愛中の彼を故郷に残したまま3年半が経過して、このままだと遠距離恋愛中の彼を他の女性に取られると思い、仕事を辞めて帰省した。そして想い焦がれる人に猛アタックして念願の結婚をしたそうだ。
Aさんは現在の夫である男性に「結婚して下さい」と自分から申し込み、強引に押し切って、結婚に至ったわけだが、Aさんはその選択は正しかったと30年を過ぎた今、「若い時の決断について、よくやったと自分で自分を褒めてあげたい」と言っていた。
憧れの君と結ばれて、男の子3人の子供にも恵まれた。長男が生まれた後、双子を授かった。多胎児の子育ての過酷な実態を体験した。育児ノイローゼや睡眠不足による精神的乱調から発する問題行動の一歩手前まで行ったが、夫の献身的なサポートを受け、なんとか危機を乗り越えることができた。3人の子供達がすくすくと真っ直ぐに育ったのは周囲の協力と夫の献身的サポートのお陰と今でも深く感謝している。その子供達も成長して、それぞれ社会人として活躍しているし、結婚して満足すべき家庭を築くことができた。
しかし、申し分ない夫であるが、夫について不満に思うことがただ一つあるということであった。
彼女の不満は、結婚して30年以上経った今も、夫が昔から一貫して主張していることである。
夫の主張は次の通りである。「私は君と結婚した。私が君と結婚したのは君が強く結婚を求めるから結婚した。そうでなかったら、私の方から結婚を求めることはなかった。あくまでも、君が強く結婚を求めるから結婚しただけである」と強調する。
Aさんは自分の結婚について、「私は自分の結婚を振り返って良い結婚だと自信を持って思う。でも、夫はそのように思っていないのが気に入らない。私達の結婚について、夫が何と言おうが、私は幸せに結婚して、子供にも恵まれ、幸せに結婚生活を送っているから何も問題はない」しかし、夫の「君との結婚は自分の本来の意思ではない(流れに流されるまま結婚した?)」という言い分が癪に障る。
私も負けずに、「あなたはそう言うが、たくさんの女性の中から私を選んだのはあなたですよ。あなたが私を選んだことは、それは私を他の女性より深く愛していた証拠ではないの?」と言うと「そういうことではない。あくまでも、君が強く結婚を主張するから結婚した」と言って夫は自説を曲げない。
夫の主張をどう思いますか?と聞かれ、私はその意外性に驚いた。
30年以上前、美しく聡明な女性職員Aさんは職場でみんなから可愛がられていた。職場の花であるAさんが結婚することになった時、職場のみんながAさんの結婚を喜び祝した。そのとき、「Aさんと結婚するお婿さんは最高の幸せ者だ。Aさんのお婿さんは年末ジャンボ宝くじ10億円に大当たりをしたような幸せ者だ」と職場の人が言っていたことを覚えている。私の職場では、人生で二度とない大当たりの幸運を射止めたお婿さんと言われていたのに、お婿さんの冷めた意外な思いを知って驚いた。
Aさんのお婿さんに言いたい。
Aさんと結婚したお婿さんはビッグな宝くじに当選した以上の幸せ者ですよ。
お聞きしますが、本当にビッグな宝くじに当選したような実感はありませんか?
仮にまだビッグな宝くじに当選したような実感がないのであれば、それは今からのお楽しみです。この宝くじの宝は、お金と違って減るということはありません。いつまでも永遠に輝やく宝です。宝は磨けば磨くほど輝きます。優しく時間をかけて磨いてください。必ず目に見えるかたちで宝はさらに輝きます。その時、間違いなくビッグな宝くじに大当たりしたことが分かるでしょう。
改めて心からお祝いします。「ビッグな宝くじ当選おめでとう」