2020長崎ランタンフェスティバルを見に行った。このお祭りはもともと長崎新地中華街の人たちが街の振興のために、中国の旧正月(春節)を祝う行事として「春節祭」として長崎新地中華街で行っていたものが、平成6年から「長崎ランタンフェスティバル」として規模を拡大し、長崎の冬を彩る一大風物詩となったものである。
期間中、長崎新地中華街はじめ、市内の至る所に約1万五千個に及ぶ中国ランタン(中国提灯)が飾られ、長崎の街は極彩色の灯で彩られる。また、この期間皇帝パレードや媽祖行列などのイベントをはじめ、龍踊り、中国雑技団、二胡演奏、中国変面ショーなどの様々なショーが市内各会場で行われ、多くの観光客で賑わうお祭りである。
私はランタンの写真を撮るために人出が少なくなった時間帯にランタン会場を訪れて、瑞祥に満ちた幸福感満載の会場の空気を味わった。
五麟(ウーリン)
中国の伝説上の生き物の麒麟。麒麟には五つの種類がある。麒麟はおめでたい物事の象徴であり、昔から今に至るまで公堂の上に装飾として飾られている。権力や富の象徴としても扱われる。
飛天腰鼓(天女 フェイティエンヤオグー)
飛天琵琶(天女 フェイティエンピーパー)
空中を舞って仏を讃え、仏の世界を守る天女。仏教で諸仏の周りを飛行遊泳し、礼賛する天人。仏像の周囲に描写されることが多い。音楽と歌舞を司る神で、仏教経典では、仏が説法する際に天から舞い降りてきて音楽を奏で、舞いながら花をまき、仏を讃えると記されている。
瑞獅戯蝶(ズイスーシーティエ)
獅子は中国の伝説上の動物で権力、威厳を持つ百獣の王者。屋敷や家宅を守り、悪鬼を退治する霊獣として、崇められてきた。蝶は、変化と喜びの象徴とされていて、新しい道を開き、美しく変化する姿は復活の意味を持ち、不死の象徴とされている。また、牡丹の花との組み合わせは、絢爛豪華で新年を寿ぐ、おめでたい構成になっている。
磁器製 龍と鳳凰のランタン
磁器を組み合わせた灯籠は中国灯籠祭りの独特な技術として発展したものである。磁器の龍と鳳凰は中国古代の宮殿に設置されていた。この磁器は全て中国景徳鎮製で皿、碗、柄杓、盃、蓮華など合わせて1万余個を木綿糸で組み立てている。磁器の龍の鱗は光り輝き、眼光は稲妻のように鋭い。また、磁器の鳳凰は精巧で、あたかも生きているかのようである。
龍
中国の龍は神獣・霊獣。龍の存在は6〜7000年前からであるが、明の初代皇帝が皇帝の象徴である龍は五つの爪を持つと定めたことにより、皇帝のシンボルとして幸運の象徴として扱われている。その啼き声は雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り、降雨、台風、洪水を操ると言われている。
中国古代の想像上の瑞鳥。麒麟、亀、龍とともに四霊の一つに数えられ、徳の高い君子が天子の位につくと出現するという。かつて、太古の皇帝が天下を治めた時には鳳凰が飛来し、麒麟が戯れたと伝えられる。成長、財宝、幸福そして神聖な天の地位を象徴し、鳳凰が飛び立つ姿は上昇し成功することを意味する。
五福如意(ウーフールウイ)
蝙蝠は中国では福と発音が同じことから、福を表すシンボルとしてよく使われる。四匹の蝙蝠と童が持つ福とで五福。如意は同じ思いのままにの意味で「たくさんの福に恵まれて何事もうまくいきますように」の思いを込めている。
恭喜発財(ゴンシーファーサイ)
中国文化圏の旧正月は「恭喜発財」と言って挨拶する。これは、もともと「お金がたまりますように」とか「一攫千金」のような意味があった。現在は旧正月の挨拶として使う。このオブジェは財神が如意棒を持ち、この文字を掲げている縁起の良い絵柄である。
麻姑献寿(マーグーシェーショウ)
麻姑は西晋・東晋時代の「神仙伝」などの中国神話に登場する仙女で不老長寿の象徴である。このオブジェは麻姑が西王母(仙女を統率する聖母)の誕生祝いに美酒や長寿の品を贈る絵柄で長寿を願う象徴として親しまれている。
喜慶豊年
中国の年賀によく用いられるモチーフで新年の喜びと平安で豊かな年でありますようにとの願いが込められている。爆竹はその昔、竹を火に入れたところ、その破裂する音で鬼が逃げたという故事により災いを追い払う意味があり、魚は余と発音が同じことから物が余るほど豊富のシンボルで吉慶を意味する。
童子大象
象は力強く、穏やかな性格から平和、吉祥のシンボル。仏様が象に乗って天から降りてきたとの言い伝えから富貴・地位を表す動物である。また、子供は永遠の命、若さの象徴であり、象との組み合わせにより安全に健やかに、幸せでありますようにの願いをこめている。手に持っている如意棒は「全てのことがうまくいきますように」の意味がある。
大象寳物(ダーシャンバウウー)
九貢ともいう。九つの宝物を運ぶ正装した象は「象が福を運んで来る」の意味。象は力と聡明さの象徴で、九は陽数の最高数で最もおめでたい数とされています。九貢図は財宝をもたらす大変縁起のいい、吉祥模様である。
福・祿・寿
「福」は幸福を呼ぶ神。蝙蝠で縁起を表す。長寿、財力、無病息災、徳、天命の象徴
「祿」幸福と俸禄を呼ぶ天神。祿は高官を意味する。象徴としては縁起のいい花鹿を配する。
「寿」幸福と長寿を呼ぶ天神。天地を表す瓢と三千年の寿命を得ると伝えられる仙桃を持つ。
富貴大吉(ファークイーダーシイー)
古くから中国に伝わる吉祥図柄。「富貴」は財力に富んでいると同時に、地位や身分が高いこと気品があって、華やかなたとえに用いられる。大鶏の同音は大吉(ダーシー)につながり、吉祥の動物として喜ばれている。このオブジェは富貴花と呼ばれている牡丹の花に長寿のシンボルである蝶を配しておめでたい「富貴大吉」を構成している。
魚躍龍門(ユイユエロンメン)
禹門とは、山西省龍門山にある夏の禹王が築いた三段水門のことである。この禹門を鯉が通過できれば龍になるという言い伝えがある。その故事から作られたオブジェ。
虎粛生風(フーシャオシェンフォン)
中国では、虎は風を操り、常に風を従えているといわれている。「虎が空に向かって吼えれば激しい風が起こる」という意味の言葉である。「優れた才能や技能を持つ人が機会を得て奮起すること」や「英雄が時宜を得て活躍すること」を表す喩え。
金玉満堂(ジンユイマンタン)
「金玉」は黄金と宝石。「満堂」は部屋の中が満たされていること。黄金と宝石が家中に溢れかえる、つまり財宝に恵まれるという意味。
阿吽像
仏教の呪文の一つ。阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、それぞれ宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされた。金剛力士や仁王様の名で親しまれている。開口の阿形像と口を結んだ吽形像の2対を一対として、寺院の表門に安置することが多い。
錦鯉騰躍(ジンリータンユエ)
「おどり上ること」「飛び跳ねること」から飛躍の年を迎え発展する意味を含む瑞祥のオブジェ
諸(猪)如意(ツウスールウイー)
中国では「猪」という字は豚を指す。家畜の肥えたブタは全身宝であり、豊年満作、富のシンボルである。また、子供をたくさん産むことから、子孫繁栄の願いを表す。諸事如意(何事もうまくいくという意味)の諸と猪の発音が同じことから、猪の年には新年の挨拶として使われる。
銅座川の水面に映るランタン
中島川の水面に映るランタンと眼鏡橋
新地中華街のランタン
長崎市内、いたるところランタンで装飾されている。
長崎に住み毎年、ランタンフェスティバルを楽しみにしている。しかし、今年は雑用が多く、なかなかランタンフェスティバルに行く時間が取れず諦めかけていたが、思い切って出かけてみた。短時間ではあるが、思い切って出かけて良かったと思った。毎年楽しみにしている変面ショーは今年は見れなかったが、この極彩色の灯で彩られた街を歩くだけでも何かしら楽しくなる。そして様々な瑞祥のオブジェの中を歩いて行くと元気が出る。会場を出るとき、出口で数人の若い女性が寄り添って写真を撮っているのを見かけた。そこには、ランタンフェスティバル実行委員会が設置した募金箱が置かれていた。若い女性たちは募金をしながら記念写真を撮っていた。このランタンフェスティバルがいつまでも続くことを願って募金に協力している若い人を見て嬉しくなった。若い人から年寄りまですべての世代に支持される催しはいつまでも続くだろう。いつまでも続いて欲しいと願う。