ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

認知検査

  

 

90歳の母を病院に連れて行く。母は毎月1回、長崎市内の内科医院に通院している。この病院は

一般内科とともに老年精神科を専門にしている病院である。老年精神科では老年精神医学に関わる認知症うつ病、妄想障害などの診察・治療を行なっている。この病院では「認知症という病気をもつ方々が、病気のどの段階でも普通の生活ができるように専門的に援助いたします。」という理念を掲げて老年精神医学に取り組んでいる。

 

午後からの診察で予定時間30分前に病院に到着する。受付を済ませて待合室で待つ。いつも、待合室は患者さんと付き添いの方でいっぱいになるのだが、今日は比較的閑散としている。これも新型コロナウイルスの影響かなと思う。しばらく待っていると看護婦さんから名前を呼ばれて診察室に入る。

 

院長先生にご挨拶をして、診察をしてもらう。院長先生が「〇〇さんいつものように記憶の検査をしましょうね。」と声かけされて検査が始まる。

「今は何時ですか?」「2時です。」「はい、2時30分ですね」「今日は何曜日ですか?」「金曜日です」「はい、そうです。金曜日ですね。」「今日は何月何日ですか?」「今、季節は何ですか?春夏秋冬の何ですか?」「今から数字をいいますから覚えてくださいね。8、0、3、7、数字を言って覚えてください。覚えましたか?」「それでは覚えた数字を言って下さい。」「8、0、3、7」「いいですね。あとでまた聞きますから覚えておいて下さい。」「次に食べ物を言います。カレーライス、ハヤシライス、オムライス、親子丼、うどん」「憶えましたか?言ってみてください。」「カレーライス、オムライス、親子丼、なんでしたっけ?」「ハヤシライス、うどん、ですね」「そして、覚えて下さい。それでは数字を言ってください。」「8……0…わかりません。」「8、0、3、7、でしたね」「それでは食べ物を言ってください。」「親子丼、オムライス、カレーライスわかりません。」………………。「今日は 20点満点の12点でした。先月と同じです。今まで通り家庭で過ごしたいのであれば頑張って2 0点満点の 16点は欲しいですね。」「先生、私は9 0歳ですよ。これ以上は無理でしょう。90歳ですよ。」「おっしゃることはわかります。よくわかりますよ。」「エッ、先生も90歳ですか?」「イヤイヤ、私は90歳ではありません。〇〇さんの90歳のお気持ちはよくわかります。でも、大丈夫ですよ。〇〇さんが最初に検査を受けた時は4点だっのですよ。ずいぶん良くなってますよ。でも、出来たら16点までいきたいですね。これからもずっと、家庭で過ごしたいのであれば頑張りましょう。そのため、薬を少し増やします。効果が出てますから頑張りましょう。身体的には問題点はないですね。身体的に困ることはありませんね。脈拍を診せて下さい。ーーーーでは1ヶ月後にまた診ましょう。お大事にしてください。」「ありがとうございます。」

 

診察を終えて帰路につく。母の日常を見ていると頭がシャープな時とぼんやりしている時がある。先生からは現代医学では認知症を治すことはできない、ただ、認知症のステージによっては進行を抑えることができると言われている。母の場合、まだ進行を抑えることが可能な状況であると言われている。 認知症が進むと家族であっても家族と認識できない日が来るのかもしれない。人間だからいずれ寿命が尽きることも覚悟はできているが、できることなら寿命が尽きる最後の最後まで親子の会話を交わしながら終わりの日を迎えたいと願う。親子の会話が成り立つ時間がいつまでも続くことを願って通院を続けたいと思う。