ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

映画「太陽の蓋」を見る

f:id:battenjiiji:20200506185539p:plain

監督 佐藤 太 脚本 長谷川 隆
f:id:battenjiiji:20200506151303p:plain
f:id:battenjiiji:20200506151321p:plain

この映画は、3.11福島原発事故で史上最悪の危機を迎えたあの日、官邸内で何が起きていたのかを描く、当時の政治家たちが実名で登場する究極のジャーナリスティック・エンターテインメントである。「太陽の蓋」(130分)を90分に再編集したものを見た。

 

この映画を見て、原発がいかに怖いものであるかを改めて思い知らされた。一旦事故が起こったら制御不可能であり、そして、現に2011年に起こった福島原発事故は現在もまだ収束していない。2020年の現在に至るも、原子力緊急事態宣言は出されたままである。原発事故に伴う放射性物質の放出は目に見えないし、匂いもしない。まったく人間の五感では感じられない。今はコロナウイルスという感染症との戦いを余儀なくされているが、コロナウイルスは防御服で防護できる。しかし、放射能からの防護について人類は何一つその手だてを持っていない。事故が起こったら、近くにいたら死ぬから、できるだけ遠くに逃げるしかない。それも、福島事故の場合、最悪の場合、250km圏内は避難することも検討されたと言う。それは東京を含む東日本壊滅を意味することになる。映画を見ながら恐怖に震えた。

 

この映画で、東日本の住民に出来るだけ屋外に出ないようにして自宅避難が呼びかけられていた頃、欧米人や中国人の日本滞在者が帰国する様子が出ていた。帰国する外国の人たちは「本国から日本を離れるように勧告が出ているから、急遽帰国する」という話であった。世界の国々は早くから福島原発事故が相当に過酷なものであることを知って自国民に警告していたようだ。日本では原発事故など過酷な事故が発生した時は、国民には重要なことは何も知らされないのだと知った。

 

また、映画の中で福島第一原発で1号機の爆発が起こり、3号機の爆発が起こり、さらに2号機4号機への波及が懸念されて、現場で働く700名の人の生命への危険が迫り、現場からの撤退が検討される自体になった。そのとき、撤退すれば間違いなく2号機4号機の爆発事故と繋がり、今以上の放射能の放出と広範な拡散につながる。それは日本の全滅を意味する。絶対に現場からの撤退はありえない、という判断がなされたと描かれていた。このことは映画上のフィクションとして描かれているが、私は実際にこのようなやりとりがあったのではないかと思う。放射能は人間にとって制御不能であり、3・11に伴う原発事故は、あのとき一歩間違うと日本国が全滅する危機にあったのではないかと思う。そういう過酷な状況だったと思うと本当に震えを感じる。

 

福島原発事故により全ての原発が停止した。あのとき、もう原発はいらないと多くの人が思った。原発が無くなれば、日本国を維持するエネルギーが不足して経済的成長ができないと、さも真実のように言われてきた。しかし、原発がなくても、日本国を支えるエネルギーは充分足りた。太陽光とか風力とかの再生可能エネルギーの進歩によって、原発なしでも電気は十分足りることが証明できた。

 

もはや原発は日本にとって必要ないものと思っていたら、最近、原発推進を目指すコマーシャルをテレビでよく目にするようになった。石坂浩二さんが、バランスの良い電力の供給という観点で原発を考えましょうと優しい顔で社会に訴えながら原発を推進している。

 

原発推進者の意見にはもう騙されないと思う反面、このテレビコマーシャルでまた騙される人が出るのかなと心配になる。いいかげん人を騙すのはやめてもらいたいと強く思う。