ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

八郎岳へ登る

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八郎岳(標高589.8m)は長崎半島のほぼ中央に位置し、長崎市の最高峰である。山名は平安時代の武将「鎮西八郎為朝」に由来すると言われている。八郎岳は山頂の展望がよく、市街地から近く、長崎市民がハイキングによく登る山である。外出自粛が解除されたので、今日は久しぶりに八郎岳に登ることとした。

 

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赤ピンを出発して矢印の方向に進み赤ピンに戻る周回コース。距離6.76km  所要時間4時間36分   上昇高度550m  天気晴れ   温度18度   湿度64%

出発点で準備運動をして出発する。最初は谷道の岩や石を踏みしめながら登っていく。しばらく登ると、尾根道の登山道に出る。登山道に出たら、後は踏み跡を確かめながら登っていく。登山道ははっきりしている。また、間違いやすい場所はリボンの案内があるので安心である。

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左:尾根道の登山道 右:リボンによる案内

尾根道の登山道に沿ってまずは標高350m地点にある中間地点を目指す。出発点は標高約100mの地点にあったので中間地点まで行くと250m高度を稼いだことになる。そこからさらに250m高度を上げると頂上に着く計算である。今日はは暑くもなく寒くもない絶好の登山日和である。軽快に進んでいく。途中、竿浦の登山道との出会い、一つの根から大木が6本伸びているようなクスノキなどを見ながら登っていくとまもなく中間地点に到着。小休止をとる。

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左:竿浦町分岐案内 中央:6本クスノキ 右:中間地点案内板

中間地点で小休止をとり、水分を補給して元気を回復。頂上目指して再出発する。ていねいな案内が施してあるので道に迷う心配はない。逆に案内がなければ間違いなく道間違いする場所もある。ここではリボンだけでなくロープを張って進入禁止にしていた。間違いが多いのだろう。そのような場所を過ぎて登っていくと草住神社に到着。お参りする。

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左:進入禁止のロープ 右:草住神社

草住神社を過ぎると頂上は目前である。頂上が近づくと勾配がさらにきつくなる。息を切らして登って行くと、後ろに気配を感じる。振り返ると二人組のハイカーが後ろからきている。先に行ってもらおうと思い、速度を落とすが、後続者の方も気を使っておられるのか速度を落とされて一定以上近づかない。仕方ないので、最後の力を振り絞って急こう配に挑む。そして山頂に到達。いつ来てもこの山頂からの景色は素晴らしい。爽やかな風と素晴らしい景色を見ながら昼食をとる。今日も登れて良かったとしみじみ思う。

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長崎市南部方面市街地と三菱造船香焼工場
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左:八郎岳山頂名板、右:山頂から見た伊王島方面

昼食後、小八郎岳と乙女峠を経由して下山する。まず、小八郎岳目指して緩やかな坂を下っていく。小八郎岳に行く途中には、私が好きな道がある。そこは林の中に広い山道がまっすぐ伸びている場所である。この林の中の道は広くてきもちがよい。気持ちの良い山道を過ぎて木々に囲まれた登山道を進んでいたら、林の中でガサガサと急に物音がする。見ると鹿がいた。この一帯は鹿の生息地である。

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左:気持ちの良い林の中の広い山道、右:林の中の鹿


時折、林の中でガサゴソする鹿の足音を聞きながら、いくつかの分岐を案内に従って小八郎岳を目指す。小八郎と乙女峠の分岐に来た。ここから小八郎に行くにはもうひと登りする必要がある。乙女峠に行くには巻道で下る一方である。一瞬迷うが、ここまで来たら頑張って小八郎岳に進むことにした。そして、今日の2座目小八郎岳の山頂に至る。

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左:小八郎岳と乙女峠分岐、右:小八郎岳山頂名板

小八郎岳山頂からの展望はあまりよくない。水分補給をしたらすぐに次の経由地点の乙女峠へ向かう。ここからの下りは急勾配で至る所に滑り止めのロープが引かれている。ロープを頼りながら、滑らないように注意して下山する。足元に気を配りながら下っていると、突然、満開の山ツツジが目の前に現れる。華やかな赤の色彩にしばし見惚れる。満開の山ツツジを振り返りながら下っていく。

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左:急勾配に設置されたロープ、右:満開のヤマツツジ

満開のツツジと別れて、踏み跡に従って上ったり下ったりしながら、さらに下りていくと開けた広場みたいな場所に出る。ここが乙女峠である。ここは雰囲気的に心が休まる場所である。以前はここで木陰の下にマットを敷いて昼寝して下山していたことを思い出す。今日は時間がないので昼寝はできない。乙女峠という名前の峠は全国にいくつかあるようだが、名前の由来は女性を示す「乙女」ではなく伐採禁止を意味する「お止め」からきているという場所が多い。多分ここも「お止め」から来ているのかなと思う。

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乙女峠で休憩をした後、いよいよ最期の段階である。高度300mを下っていく。まずは小さな滝のある水場まで200mを一気に下る。道は急勾配をさけるため、紆余曲折している。トレースとリボンを頼りに進むがリボンを見失ったら道迷いしそうな場所が続く。方向がわからなくなったら、そのたびに立ち止まってしっかりトレースを探す。そして、無事に道迷いしないで小さな滝がある水場に到着した。

安堵して水場の写真を撮っていたら視野の端っこに何か異様な白い物が目に入った。目を向けるとそれは鹿の白骨であった。この一帯は鹿の生息地で、ここは鹿が水場にしている場所であるから、鹿の白骨があっても不思議はない。しかし、石の上に乗っているのは誰かが見つけてここに乗せて置いていったのだろう。

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小さな滝のある水場を過ぎたらあとは緩やかな坂を下っていく。いつ組まれたのだろうか大正時代か明治時代、いやもっと古い江戸時代かなと思われるほど古い石垣の横を通って降りていく。そして登山道の入り口に当たる車道に出る。登山道の入り口には登山の注意が書かれた案内板が掲げてあった。

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車道を出発点まで下っていく。今日も無事に山歩きができた。こうして山歩きできることに感謝したい。今日の山歩きで鹿さんに会えた。見事な山ツツジに出会えた。山に行くたびに感動をもらう。そして山歩きという自然探検をするたびに、しばらく使っていなかった感覚の回路を開くことになる。つまり私の目、耳、鼻、指先の使い方をもう一度学び直すことになる。これからもセンス オブ ワンダー(自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性)を磨き続けたい。