今日は母の通院日である。母は月に一回老年精神科を専門にしている病院で認知症の治療をうけている。午後2時半からの診察で、予定通り2時少し過ぎに到着。受付をして診察を待つ。もし発熱症状があれば来院する前に病院に電話連絡することになっているので、体調の異常はないはずだが、診察前に看護師さんからコロナに関しての体温検査や質問票の記入を求められる。記入は患者だけでなく引率者も診察前にチェックされる。院内感染するようなことがあれば大変なので厳戒体制である。そうこうしている間に看護師さんが呼びに来て診察室に案内される。私も一緒に診察室に入る。
先生から母に「どうですか?お変わりありませんか?」と声をかけられる。母は「はい、特別変わりありません。」と応える。
先生「夜はよく眠れますか?」
母「はい、よく眠れます。眠るのが遅いので朝遅くまで寝ています。」
先生「食欲はありますか?」母「時々、あまり食べたくないというときもあります」
先生「どういう時に食べたくないですか」
母「自分の手料理が美味しくない時です」
先生「・・・・・・・・」
先生「身体で痛いところなんかはありませんか」
母「特別痛いところはありません」
先生「それでは、いつものように検査を始めますね。今日の日付は何日ですか?」
母「今日は6月4日です」
先生「6月5日ですね、はい、いいですよ。では何曜日ですか?」
母「エー、今日は金曜日です。」
先生「そうです。金曜日ですね。では、今年は何年ですか」
母「今年は令和2年です。」
先生「はい、いいですね。今の季節は何ですか」
母「今は初夏です」
先生「はい、良いですよ。それでは数字を四つ言いますから覚えてください。9、2、5、3、」
母「9、2、5、3、」
先生「そう、9、2、5、3ですね。あとでまたその数字を言ってもらいます。覚えておいてください。次に言葉を五つ言います。覚えてくださいね。雨、アジサイ、傘、カエル、梅、以上です。」
母「雨、アジサイ、傘、カエル・・・・・何でしたっけ?」
先生「いいですね。最後は梅です。」
母「ああ、梅、思い出さんかった。」
先生「それではさっきの四つの数字を言ってください。」
母「・・・・・・・・全くわかりません。ダメです。私は数字は全くダメです。」
先生「1から0までの数字で一つも思い出せませんか?」
母「1、2、3・・・・・・わかりません。」
先生「9、2、5、3でしたよ。」
などの検査を受ける。
最近、この記憶力が確かに低下していると思えるようなことが続いている。
財布が無くなった、小銭入れがない、鍵がない、健康保険証がない、など次から次に物をなくすことが続いている。自宅にいて1日中探し物をしている。
今までも物が見つからないことがあった。でも、最後に見たのはいつ、最後に使った場所はどこなど落ち着いて考えて記憶を呼び起こして探すと大抵見つかっていたが、今は記憶が全くないらしく手がかりもなく全て見つからない。健康保険証はとうとう再発行の手続きをすることにした。
先生に最近の記憶力の低下についてお話をする。先生の話では便秘とか脱水症状によっても一時的に記憶力が低下することもあるらしい。今回の認知症の質問検査では前回より少しばかり点数が悪いということであった。今回の記憶力の低下を受けて薬の内容が少し変わった。できる限りこれ以上悪化しないで、現状維持で自宅での生活が維持できるようにしていきたいと願う。