ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

麻生発言『民度のレベルが違う』を考える

元経産官僚の古賀茂明氏が、日本の新型コロナウイルスによる死者数が少ない理由について麻生太郎財務相が述べた「民度のレベルが違う」という発言について週刊朝日で取り上げていた。麻生氏は批判に対して、「他国を貶めるというのとは違う」と釈明し、この発言についての報道は沈静化している。

 

 古賀氏は、今回この発言を取り上げるのは、この言葉の背景に日本が抱える深刻な問題が隠されているからだ。と以下のように述べている。

 「その問題とは、この国の支配層に根深く蔓延する「日の丸信仰」である。それは、「日本民族は世界一優秀だ」という根拠なき優越思想に凝り固まり、日本が他国より劣っている点を認識することができないという意味だ。彼らの歴史の最終ページは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた昭和終期のまま止まっている。」という指摘であった。

 

私も麻生財務相の「民度が違う」と言う発言を聞いたとき違和感を感じた。私は古賀氏の言う昭和終期でなく、戦前にまでさかのぼっているのではないかと思った。それは以前、森喜郎元首相が、日本は世界のほかの国や文化と違って、「天皇を中心とする神の国」だという悪名高いスピーチを思い出したからである。そして「民度が違う」も「天皇を中心とする神の国」もその根底には同じものがあるのではないだろうかと感じた。

 

森元首相が述べた「日本」は先の戦争中に大多数の日本人が強烈に叩き込まれた軍国主義の宣伝屋が宣伝した「日本」である。それは歴史の特定の時期の国際的に大きな誤解と害悪を招いた自国中心主義の政治イデオロギーの色彩を帯びた「日本」である。大東亜共栄圏が華やかなりし頃、天皇の聖戦の栄光と単一民族である大和民族の優秀さを褒め称える声が、忠勇なる陸海軍の不敗を称える万歳の声が全国津津浦々に鳴り響いた。その時の日本が神の国日本である。

日本国における指導的立場に立つお二人の元首相には似たような根本意識があるのだろうかと心配になったが単なる杞憂だろうか

 

古賀氏の発言をさらに見ると、

『麻生発言の前提となる「日本人の新型コロナウイルスへの対応が優れているから、人口当たりの死者数が非常に少ない」という点は、欧米諸国と比べた場合の話で、アジア諸国と比べれば、日本は決して優等生ではない。』

 

「ワールドメーター」のネットサイトを見ると、日本の100万人当たり死者数は、6月10日時点で7人。アジア大洋州主要国では、ベトナム0、台湾、香港、タイが1未満、中国(信用できるかは別問題だが)3、シンガポール・オーストラリア・ニュージーランド各4、韓国5人と日本より少ない。麻生氏はこの事実を完全に無視している。」

 

 「さらに、死者数だけでなく、コロナ対応で際立ったのは、日本のIT化での遅れだ。国民1人10万円の給付では、多くの自治体でオンライン申請のほうが郵送よりも給付が遅れる事態に陥り、オンライン申請中止の自治体も相次いだ。中小企業の命綱と言われる1社最大200万円を給付する持続化給付金のオンライン申請も、1カ月経過後も処理状況をオンライン確認さえできず、「IT原始時代」と揶揄されている。

IT化の遅れは行政手続きだけではない。オンライン授業でも、遠隔診療でも、日本は先進国とは思えない遅れを露呈した。」

 

「元々、日本のIT化の遅れは深刻だ。スイスの国際経営開発研究所(IMD)による2019年の日本のデジタル競争力は対象63カ国中23位。2位シンガポール、8位香港、10位韓国、13位台湾はもちろん22位中国にも負ける。日本のはるか先を行く欧米アジア諸国は、コロナを機に、内外の最先端企業とのコラボで、行政、医療、教育分野で新機軸を打ち出し、ポストコロナ社会に向けて飛躍の芽を育てている。」

 

 「一方、日本の「昭和な」政治家と官僚はいまだに「日の丸信仰」で、電通パソナなどとの癒着構造維持に汲々としている有り様だ。

現在の日本の統治機構は完全に時代の流れから取り残された。これを放置すれば、コロナ後の世界で日本の没落は一段と加速し、しかも格差拡大で社会は分断される。それは、やがて国家崩壊という悲劇につながるのではないか。」と述べている。

 

古賀氏の意見を対して、そのようなことはない、それは考えすぎだと思う人はどれくらいいるだろうか?古賀氏の意見に同調する人も多いのではと思う。現在の日本の統治機構ではやがて国家の崩壊という悲劇ににつながるという警告を受けて、私達はまず政治に目覚めなければと思う。芸能人が政治に対して意見を言うと、政治の素人が政治に口を挟むべきではないという意見を言う人もいるが、それはおかしい。芸能人だろうが一般人だろうが大いに政治に物申すことがいよいよ大切な時代になってきたと切実に思う。