ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「石炭火力発電休廃止」の発表

 

 

7月3日、梶山弘志経済産業相が「非効率な石炭火力発電についてはフェードアウトしていく」と発言した。

メディアには、「2030年までに非効率な石炭火力発電所の9割が休廃止」「140基のうち100基を廃止」と言った報道が溢れた。ある環境保護団体からは「待ち望んできた大転換」という歓迎のコメントも出されたようだ。

 

しかし、7月9日の長崎新聞に、「石炭火力発電休廃止、推進政策は変わらない」というタイトルの評論が掲載された。書き手は自然エネルギー財団常務理事の大野輝之氏である。

 

大野氏の評論を読むと、「100基の休廃止といっても、その多くは小規模の火力発電所で、一方「高効率」という理由で利用を続ける石炭火力発電の多くは大規模のものが多い。これに加えて現在建設中の火力発電所もあるので石炭火力発電の供給量は変わらない。

 

また、日本政府が「高効率」と称する最新の火力発電所のCO2排出量は非効率なものと比べて数%しか減らない。石炭火力は高効率の設備であっても、LNG火力と比べて2倍程度のCO2を排出することが世界的に問題視されている。

 

パリ協定の実現のため、多くの先進諸国は30年までに石炭火力発電の全廃を目標にしている。英国では8年前には電力の39%を石炭火力発電で供給していたが、昨年は2%まで激減させた。代わりに増えたのは洋上風力発電である。今回の日本の方針は、こうした世界の取り組みと全く異なる。

 

日本政府は30年度に電力の26%を石炭火力で供給するという目標も変えていない。そのために新しい石炭火力発電の新設も行なっていることからすると、今回の経産省の方針は「大転換」どころか「石炭火力発電の継続」を宣言したものといえる」

 

さらに、原発再稼働が進まない日本で、石炭火力発電をやめたらどうやって電気を供給するのだ、という疑問にも大野氏は答えている。

福島原発事故を見て、22年までに脱原発を決めたドイツは、38年までに石炭火力発電も全廃することを決めている。脱原発と脱石炭を目指せるのは、自然エネルギー拡大に成功しているからである。自然エネルギーの供給量は10年前は日本と同じ17%であったが、今年前半の速報値では50%を超えた。

 

梶山経産相は会見で、日本は島国。エネルギー資源も少ない。と石炭火力発電を全廃できない理由を説明した。しかし、同じ島国の英国も脱原発のドイツも自然エネルギー脱原発をすすめている。日本にそれができないはずはない、不足しているのは政治の決断ではないか」と大野氏は結んでいた。

 

 

現在、豪雨による大規模災害のニュースが毎日報道されている。日本だけでなく、世界中で自然災害が増加している。地球温暖化による気候変動が大規模災害を起こしているという指摘がある。全世界が地球温暖化の原因になるCO2の排出量の削減に真剣に取り組み温暖化防止を図らなければならない時期に来ている。そういう中、日本の取り組みは後ろ向きの政策だと批判を浴びているのに何一つ変わらない。すでに解答はできているのにやろうとしない。

 

なぜだろうか?現在、日本の企業で太陽光発電風力発電の世界企業のトップテンに入っている会社はいない。昔は、日本の企業が太陽光発電の世界トップテンに3〜4社が入っていたことがあったが、日本はその後、本格的に太陽光発電に向わなかったため、衰退してしまったようだ。(なぜトップを走っていたのに日本企業は有望分野から撤退したのか、日本の未来のために誰か検証して欲しい)                                                                                                   自然エネルギーにおいて、現在飛躍的に伸びている風力発電もしかりである。風力発電では日本の企業は全滅と言われている。

 

反面、日本の企業が持っている のは原発や石炭火力発電の技術である。しかし、原発はもちろん石炭火力発電も環境問題がありビジネスとしてはなかなか苦心しているようだ。売れない技術は日本で使うしか使い道がない。だから、日本は自然エネルギーに転換できないのではと想像してしまう。

 

自国の産業を保護するのも一つの政策なのはわかるが、このまま後ろ向きの保護政策ではますます技術三流国に陥るのではと心配になる。地球温暖化対策に消極的な自己中の国と後ろ指をさされるのもつらい。国家百年の計で決断する政治家の出現を期待したい