ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

安倍首相に落胆

8月9日、75回目の原爆の日に、長崎では「原爆犠牲者慰霊平和記念式典」が営まれた。

この式典で田上長崎市長は、日本政府と国会議員に対し、核兵器禁止条約の署名・批准と憲法の平和理念を堅持するよう求めた。核兵器禁止条約への参加を求めるのは4年連続である。

 

核兵器禁止条約は、核兵器は国家安全保障の「必要悪」ではなく、人類に壊滅的な被害を与える「絶対悪」だと訴え続けてきた広島・長崎の被爆者らの願いが盛り込まれている条約で、核兵器は非人道的で使えない」との「悪の烙印」を押して、すでに禁止条約が発効している「生物・化学兵器」や「対人地雷、クラスター爆弾」といった非人道兵器と同列に並べることを狙いとした条約である。

核兵器禁止条約は、核兵器を国際人道法の原則に反する兵器として開発から使用まで全面的に禁止するもので、3年前、国連で採択された。条約の成立は50カ国の批准が必要で8月9日現在44カ国が批准しているが、核保有国は反対の立場を取っている。

 

 

75回目の原爆の日に合わせて、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が、Twitterに投稿したビデオメッセージで、核兵器根絶を訴え、核兵器禁止条約への参加を各国に呼びかけている。

 

グテレス国連事務総長からも平和式典にメッセージが寄せられて、その中で核兵器禁止条約の発効を心待ちにしているという声が届けられている。

 

それに対して、安倍首相は核兵器禁止条約は安全保障の現実を踏まえていないと述べ、参加に反対の姿勢を示した。合わせて安倍首相は立場の違う国々の橋渡しを務め、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードすると宣言した。

 

国際社会の橋渡しで世界のリード役を果たすと今年も言っていたが、2018年の核不拡散条約(NPT)再検討会議では橋渡し役を買って出たのはいいが、ブラジルのパトリオータ軍縮大使から「日本の提案は一方に偏っているので歓迎できない」という指摘を受けている。双方の立場をきちんと評価・歓迎した者でなければ、橋渡し役など務められるはずがないということを言われていて国際社会でリード役などできるはずがない。

 

核兵器に対する日本の態度表明は、以前は違っていた。

日本は、1960年代の初めまでは「核兵器使用禁止」はもちろんのこと、「核実験禁止」「核廃絶」を訴える立場で国際社会に臨んでいた。日本が国連にカムバックした1957年の国連総会では藤山一郎外相は「広島・長崎の悲惨な被曝体験を持つ日本政府は、全人類に人道的立場から「核廃絶」を呼びかける義務がある」と主張した。1961年の国連総会での、初の「核兵器使用禁止決議」のときも、多くの西側諸国の反対にもかかわらず、日本政府代表はしっかり賛成票を投じた。

 

ところが、1963年からは、同じ決議にはっきりと反対票を投じるようになった。日本の外交方針がアメリカ追随になっていくに従って、アメリカの意向に沿った姿勢に変わっていった。それについて西堀正弘元国連大使は「対米考慮ということがなければ、もっとすっきりした投票態度を取れるのだが・・・・・」と述べた。そしてそれが現在まで続いている。

 

 75回目の原爆の日を迎え、現政権はこれからも日本は対米考慮を第一に、対米追従の方針で進もうとしている。だから、核兵器禁止条約に参加しないようだ。それで、果たして国際的に信頼を得ることができるのかと疑問に思う。

 

安倍首相は、国益を考えて判断されているのだと思うが、「日本は、都合のいいときだけ、唯一の被爆国という隠れ蓑をかぶって核廃絶を唱えるが、じつは核の永続を願っているのだ」と多くの国々から批判されているのは国益に背くことにならないだろうか。世界各国からの信頼を失うことほど、国益に大きく背くことはないと私は思う。

 

 

75回目の広島・長崎原爆の日に、安倍首相は「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードしていきます」とあいさつで述べた。この言葉は美辞麗句をただ述べただけの口先の言葉遊びなのか、本気でおしゃった言葉なのかわからない。

 

もし、安倍首相が本気で「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードしていきます」と言ったのであれば、対米従属を卒業しなければその役目は果たせないし、世界は期待もしていないだろう。安倍首相はその覚悟をお持ちだろうか?

 

安倍首相の言葉は重みがない、言葉が軽いし中身がない、それに嘘も多いということをよく聞く。中身のない言葉を吐き、嘘をつく首相を持つ国民は決して幸せになれない。

そのような首相は早く退陣してもらうしかない。