今朝、所用のため長崎市内へ行く。そして、午前9時前に用事は終わった。今日の天気は素晴らしい天気である。松本たかしの作「玉のごとき 小春日和を 授かりし」を実感するような穏やかで暖かい日和である。そのまま真っ直ぐ自宅に帰る予定であったが、真っ直ぐ帰るのはもったいないと思い直し、まだまだ見頃という長崎市内の紅葉の名所をいくつか訪ねることにした。
まず、最初に市民会館横の「銀杏並木通り」の銀杏を見に行った。ピークを過ぎて落ち葉も多いようだが、それでも空の青さと黄色い葉のコントラストは目を惹く。緑の葉から黄色になりさらに進むと黄色から茶色に変わって落ち葉となるが、木の個性だろうかその進み具合に差があるのが面白い。きれいな黄色が日に照らされると眩しいくらい美しい。
先日の長崎新聞で落ち葉に関する研究で、日本や世界で活躍する科学者の卵を応援する「グローバル・サイエンティスト・アワード“夢の翼”」で県立大村高校2年生の本村かんなさんが最高賞の文部科学大臣賞に輝いたという記事を見た。
本村さんの研究は「落ち葉の秘密 なぜ落ち葉は裏向きが多いのか」というテーマで学校敷地内のクスノキやケヤキ、サクラの落ち葉を日々採取し、2メートルの高さから落下させたり風の影響を計測したりする実験に取り組み、その結果、裏向きの落ち葉が統計的に多い、落下後風の影響で裏向きになる葉が多い、裏向きになりやすいのは葉の湾曲が原因という結論を導き出したものである。
私など年寄りは、落ち葉を見ても何も疑問を感じないが、落ち葉を見て「なぜ」と感じる若い人の感性は素晴らしいなと改めて思う。
因みに、本村さんは現在、落ち葉が裏向きになることで分解が促進され樹木が栄養として吸収しやすくなっているのではという観点から、葉の表と裏の太陽光による分解速度の違いを調べるなどさらに研究を進めているようだ。今後の活躍に期待したい。
次に、銀杏並木通りのすぐ近くにある光永寺の銀杏を見に行く。光永寺の銀杏は大木である。その大木の銀杏が今が盛りのごとく見事に黄色に化粧している。きれいな黄色が青空にマッチしている。光永寺は古くからあるお寺である。山門の横に石碑があり、そこには「福沢先生留学趾」と書かれてあった。案内板を読むと「慶應義塾の創始者である思想家・教育家の福沢諭吉は安政元年(1854年)19歳の時来崎し、この光永寺に寄宿して蘭学を学んだ」とあった。福沢諭吉翁もこの大銀杏を仰ぎ見たかもしれないと思いながら写真を撮る。
銀杏並木と大銀杏を楽しんだが、この近辺では紅葉の朱は全く見えない。折角だから、紅葉の朱も見たいと思い、近くの妙相寺に行くことにした。妙相寺はここから車で15分くらいの奥山地区にある古刹である。奥山という地名からすると遠く辺鄙な感じがするが案外近い。昔から紅葉の景勝地として知られている場所である。しかし、もはや紅葉シーズンを過ぎて枯れ木かもしれないと心配しながら来たが、見事な紅葉であった。
「瑠璃光山妙相寺」駐車場に車を停めて、参道を通り山門に向かう。ここの山門は石造りである。山門の上部には「瑠璃光山」と石で刻まれている。歴史を感じる山門である。山門の両脇には可愛らしい狛犬が鎮座してお守りしている。境内に入り本堂にお参りして裏手の方に進む。裏山一帯が紅葉の名所である。
本堂の横を通り裏山に通じる山道を進む。山道を進んでいくと石仏に出会う。お一人お一人の表情を見ると、知っている人にあったような感じもする。石仏を見ながら進んでいく。
裏山は紅葉であでやかに彩られていた。石仏が在わす山道をゆっくり上りながら陽に照らされ、風に揺れる錦織りなす紅葉を楽しむ。
「唱歌もみじ」を口ずさみながら紅葉を楽しんだ。本堂の横には南天が赤い実をつけている。その横にはコスモスが一輪可愛らしい姿を見せている。妙相寺は花が似合う古刹である。小春日和に誘われて紅葉狩りのひと時を楽しんだ。