ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「愛の不時着」を見る

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左から2人目ヒョンビン、左から3人目ソン・イエジン

北朝鮮軍将校リ・ジョンヒョクを演じた男優ヒョンビンと韓国の財閥令嬢ユン・セリを演じた女優ソン・イエジン、二人の主役の演技が素晴らしかった。私は二人をこのドラマで初めて知ったが、たちまち二人のフアンになってしまった。

 

連れ合いが熱心にビデオを見ていた。それが何日も続くので何のビデオを見ているのだろうと気になって尋ねた。「愛の不時着」という韓国ドラマであった。連れ合いに「おもしろそうね。見終わったら見せて」と言ったら、連れ合いが「これは韓国の時代劇ではないよ。現代劇よ。しかも恋愛ドラマよ。ラブストーリーを見ておもしろさがわかる?以前、韓国の現代劇には興味ないと言ってたし退屈しないかな?」と信じられないといった様子の返事が返ってきた。連れ合いは私のことをラブストーリーの機微を理解しない化石みたいな人と思っているようだ。

 

確かに、私は今まで韓国ドラマを見るときは時代劇しか見ていなかった。自分が好きな時代劇は長編であっても二度見することもあったが、現代劇の恋愛ものはあまり関心がなかった。

「愛の不時着」のことは現代劇で北朝鮮の軍人と韓国女性の恋愛ドラマという話しは知っていた。「このドラマには耳野郎が出てくるんでしょう?このドラマは北朝鮮が舞台になっているらしいね。舞台になる北朝鮮の現実味を出すために、脱北者などからの多くの助言を得て北朝鮮の生活や人間関係など事実に近い形で再現しているらしい。このドラマを見ると北朝鮮の実情がわかるらしいから前から見たいと思っていたんだ」と言ったら、連れ合いが「ラブストーリーなのに興味を感じるのはそこなの?」とあきれた顔して貸してくれた。全部で16話ある約24時間の大作である。4日かけて一気に見終えた。

 

このドラマを見終わって今、感動に浸っている。このラブストーリーのテーマは「無償の愛」と「希望」であったように思う。不可能と思える厳しい環境にあっても、それを乗り越えることができたのは相手の為に生命さえも躊躇なく投げ出すという「無償の愛」があったからである。またどんなに厳しい環境であっても乗り越えていく力の源泉は「願えば叶う」という希望であった。

想像を絶するような困難を、ある時は彼が自分の生命を投げ出すことによって彼女を救い、またある時は彼女が生命を投げ出して彼の生命を救うまさに「無償の愛」をお互いに捧げあいながら、どんな困難にも希望を失わず歩み続ける感動のラブストーリーであった。

ドラマを見終わって二人とも最後まで生きてくれて良かったとしみじみと思った。

 

 

ご存知のように、韓国は38度線で北と南に分断されており、現在まで戦争が続いている。今は、休戦協定が締結されて静かな状態であるが、決して戦争が終結しているわけではない。一時的に休戦しているだけで今も戦時中である。北と南は今も敵国同士である。

 

そういう現実の中、北朝鮮の若い将校と韓国の財閥令嬢とのラブストーリーをドラマにしたその原作者の構想力は素晴らしいと思った。この作品は、両国民からすると現実的には荒唐無稽なドラマである。しかも、北朝鮮の彼は軍人、韓国の彼女は財閥という背景を描くことで、単なる恋愛における男女間の個人問題に収まらないことになっていく。二人の関係は二国間の国策も絡むことになり問題を複雑にしてドラマの面白さに深みが増すことになった。

 

いわば、戦争状態の敵国同士の男女が恋愛関係に陥り、生命の危険が伴う様々な困難苦難を乗り越えていく物語である。ハラハラドキドキの連続があったり安堵するものがあったり、涙があったり笑いがあったり、全編息もつかせぬ展開で韓国ドラマのおもしろさを十分に味合うことができた。また撮影は主に済州島で行なわれたようだが、場面展開ではスイスの美しい景色や雄大なモンゴル平原などの映像も楽しむことができたドラマであった。

 

このドラマの前半の主な舞台は北朝鮮である。北朝鮮の小さな町を舞台として物語が展開していくが、そこに住んでいる人たちや生活の様子は出来るだけ忠実に再現されたようだ。北朝鮮では電気が不足して、よく停電が起こるらしい。映画でも停電がよく起こっていた。日常的にかまどを使って煮炊きする様子もあった。北朝鮮の人たちの生活ぶりは決して豊かではない。貧しいながら近隣同士身を寄せ合ってお互い助け合いながらの生活が描かれていた。北朝鮮の人たちに対して不気味な人たちというイメージをいつしか持っていたが、このドラマを見て実際は私たちと同じ感覚の身近な人たちに思えた。

 

ドラマの中で北朝鮮の実態の一つが描かれていた。住民の監視である。その監視のため諜報機関による盗聴が行われていた。ドラマではその盗聴を任務として行っている係員を「耳野郎」と呼んでいた。どこの国でも国家による監視はあるのだろうが、このドラマでは、盗聴が物語の展開で重要な役割を担っており、ドラマでは「耳野郎」の職務を担当する人の苦悩や葛藤が描かれていた。

 

物語の中で、韓国に秘密裏に侵入していた4人の北朝鮮の軍人が韓国の街中の食堂で食事するシーンがあった。4人は初めは隅っこのテーブルに座り静かに食事していた。その時テレビでは日韓対抗のサッカーの試合が放送されていた。韓国の人たちが懸命に応援しているのを見た北朝鮮の4人は、自分たちの立場を忘れてテレビの前に集まり、大声で韓国の人たちと一緒に韓国の応援を始めた。点を入れたら韓国の人たちと一緒に躍り上がって喜び、ゴールを外したら韓国の人たちと一緒になって大声をあげて落胆していた。最終的に韓国が日本に勝った時は一緒になって大騒ぎしていた映像があった。

韓国も北朝鮮も日本のことを本当に嫌いなのだろうと思った。韓国や北朝鮮が日本に対して持つこのわだかまりを解消するために、日本人として長い年月をかけて努力していかなければならないものだと再確認した。

 

このドラマを見て、韓国ドラマは時代劇に限らず現代劇も楽しいということがよく分かった。このドラマを見て、韓国や北朝鮮にますます興味がわいてきた。韓国はもともと好きな国で、コロナの前に2度遊びに行ったことがある。また行きたくなった。北朝鮮は行ったことはないが国交回復して往来ができるようになればいいのにと思う。

 

今回、“愛の不時着”を見て、コロナ時代が終わって、また自由に旅行できるようになったら“愛の不時着”の撮影が行われたスイスに行きたいなと思った。

「コロナが収束して、また自由に旅行できるようになったら“愛の不時着”を巡るスイスツアー行きたいね!」と連れ合いに言ってみた。

「一人で行ったら!」と言われるかと思ったら「できたら行きたいね」という返事であった。連れ合いもあの素晴らしいスイスの景色を見てみたいと思っているようだ。

スイス旅行の貯金を始めようと思う。