ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

森会長の存在と心躍らない東京五輪

私が中学生の時に、1964年東京オリンピックが開催された。この大会は日本及びアジア地域で初めて開催されるオリンピックで、この大会は「有色人種」国家における史上初のオリンピックであり、また、1945年に敗戦国になった日本がその後急速な復活を遂げて再び国際社会に復帰することができるかどうか試される大会であると中学校の先生から説明されたことを覚えている。

 

私は1964年東京オリンピックのテレビ中継を感動と興奮で見ていたことを今もはっきりと覚えている。家庭でまた中学校で開会式から閉会式までいろんな競技のテレビ中継を楽しんだ。開会式について時間通り正確な運営ができたことで国際的に高い評価を受けたり、また、スローモーションによる判定など日本の科学技術の進歩などを高く評価されたというニュースを知り誇らしく思った。閉会式ではあらゆる国の選手が日本選手と手を取り合って、肩を組みあって行進する姿を見て嬉しくなったことを覚えている。平和がどれほど大切なものかオリンピックを見て実感した。日本が世界に認められたのだと嬉しくなった。多くの国民が1964年東京オリンピックには心躍らせてテレビ中継を眺め心から拍手を送ったことを覚えている。

 

それに比べて2020年東京五輪は全く心躍らない。コロナで一年延期になったからではない。2020年東京五輪はさまざまな疑惑と不信に包まれながらスタートしたからである。

まず、2013年IOC総会で安倍首相は東京への五輪招致演説を行った。その時フクシマはアンダーコントロールという言葉を使って完全に制御されていると言ったが、実際はフクシマの現場では放射能漏れに右往左往するアウトオブコントロールというべき制御不能の状態であった。当時、安倍首相は全世界に大嘘をついて誘致したことになった。あわせて2020年東京オリンピックを復興五輪と銘打ったことで被災者は黙して我慢を強いられることとなった。

 

それに2019年には2020年東京五輪の招致疑惑を巡り、フランス司法当局から贈賄容疑の捜査対象になった。カネで買ったオリンピックという疑惑を持たれたままJOC竹田会長は開催を前に辞任した。同じく2019年には2020年東京オリンピックの公式エンブレムに盗作疑惑がかけられた。日本国が国の名誉をかけて実施する大会の盗作疑惑である。こんな恥ずかしいことはない。当初は言いがかりだと否定していたが、最終的にはエンブレムの使用中止を決めた。さらに、開催1年を過ぎた時点で暑さ対策のためマラソン競歩の実施場所を札幌に変更すると発表された。東京の夏は快適に競技ができるという宣伝文句で招致していたため国際的な信用失墜になってしまった。

このように次から次に不祥事が続くオリンピックなど不安しかない。コンパクトな東京五輪と、その予算も当初見込んでいた3000億円から6倍を越す2兆円になったことが明らかになった。そもそも組織委員会の会長に森元首相が就任していることから、私にとって2020年東京五輪は興味も関心もないものになった。

 

森氏は2000年4月に首相に就任したが、同年5月に「日本は、天皇を中心としている神の国」であると表現して「国民主権に反する」と批判を受けたり、翌6月の衆院選の遊説では「(無党派層は)寝てしまってくれればいい」と選挙に行かないで棄権を期待する発言をして、批判を受けた。また、2003年には「子供を一人もつくらない女性の面倒を税金で見なさいというのはおかしい」という女性蔑視発言をして批判を浴びた。仮にも日本国首相をした者が、日本は神の国であると言ったり、無党派層に棄権を勧めたり、子どもを生まない女性が福祉の恩恵を受けるのはおかしいと言ってみたり常識的に考えられないことをする人である。このような人が日本国の首相に選ばれたことも非常に問題であったし、そのような問題の多い人が東京五輪組織委員会の会長になったことから、私はこの東京五輪そのものを商業主義の利権まみれの事業と思うようになり、興味も関心も無くなっていた。だから、現在の東京五輪には全く心躍らない。

 

そういう思いをしている中、米山隆一新潟県知事の投稿を拝見した。

東京五輪パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長が3日のJOC臨時評議員会で女性蔑視と取られる発言をし、元東京都知事猪瀬直樹氏が4日付投稿で「この人が組織委員会の会長にふさわしくないことは自明でした」と森氏を評したことを受けて、

米山氏は「ご本人が会長職をどうしてもやりたくてというか、自分でなければ絶対許せなくて、猛烈なごり押しで会長になった人ですよね。それを『最後のご奉公として今までやってきたなんてどの口が言うかと思います。そしてこうなることが分っていてそれを許してきた自民党がどの口で非難するかとも思います。

森氏問題が根深いのは、森氏がこういう、凡そオリンピックの理想とはかけ離れた考え方の人物である事は周知の事実なのに、国会議員を引退して尚、自民党内の序列・影響力でJOCの組織委員会会長にごり押し的に据えられ君臨している事です。今、日本は、理想や物事の道理より、自民党内序列が優先される社会なのです」とつづっていた。

日本の社会を変えなければ、これからも日本は自民党内序列によっていつまでも食い物にされる。