日曜日、春というより初夏みたいな日差しに誘われて、連れ合いとドライブに出かけることにした。行き先は島原の「国見神代小路歴史文化公園鍋島邸」(クニミコウジロクウジ レキシブンカコウエン ナベシマテイ)である。
ここ鍋島邸の緋寒桜が、今とてもきれいであるという話を聞いた。何年か前にも見に行ったことがある。連れ合いと話をしていて、久しぶりに行こうかと意気投合して出かけることにした。国見神代の鍋島邸というのは佐賀藩のお殿様の兄弟にあたる方がこの地の領主になり、領主の屋敷として建てられたものである。
鍋島邸は当地のお殿様のお住まいのなので、当然立派な門が設けられていた。15間X2間の長大な門である。しかも門の両側から切石亀甲積の石垣が表街道まで伸びている。しかし、その門はお殿様しか通れないのだろう。私たち庶民が鍋島邸に出入りするときは立派な門の横の、勝手口に続くような細い通路を通って出入りする。(この細い通路から入って怒られないかしらと心配しながら入ったところ、その細い通路が正解でした。)


鍋島邸は万延元年(1860年)に建てられ、その後明治大正期の近代和風の書院座敷による増改築がなされ現在に至っている。




鍋島邸の庭園は面積約3000平米で藩政時代は池泉式の庭園であったと伝えられているが、大正時代に庭園観賞を目的として回遊式の枯山水の庭園に作りかえられた。この時期、緋寒桜や椿の花が彩りを添えている。


そして鍋島邸がある小路地区(クウジチク)一帯は江戸期の区割りがそのままに、昔の武家屋敷の面影を感じさせる建造物や石垣や塀が残され情緒深い町並みが保存されている地区である。石垣の上に載せたつぶては戦いの時の武器として使うために備えてあると聞いたことがある。


神代小路で300年の時を刻んできた武家屋敷を見つけた。昔は茅葺屋根であったということがわかる。屋敷の前の梅の古木には白梅が咲き誇っている。昔、住んでいたこの屋敷の武士もこの白梅を見たかもしれない。




緋寒桜は鍋島邸だけでなくこの小路地区の所々に見受けられ、この地区に春をもたらしている。またこの地区には白梅も多く見受けられる。白梅と緋寒桜との共演が楽しめるのもこの小路地区ならではである。
神代小路を緋寒桜と白梅を楽しみながら2時間ほど歩き回った。お腹が空いたので食事をして帰ることにした。ネットで調べたらすぐ近くに「ふるさと料理ほたる」という食べ物屋さんが営業している。ほたるに直行する。


入店したら、満席なので待合所でお待ちくださいと案内される。お客さんが密になっているということはやめたほうがいいのかなと迷ったが、そのまま待つことにした。待合所の木の椅子は靴のデザインになっている。これが良くできている。しばらく眺めていたらお席にどうぞと案内される。


お客さんが多いのだろうなと思いながら店内に入っていくと、お客さんは少ない。広い店内で席は沢山あるが、入店する数を制限している。コロナ対策で4人テーブルを2人使用にして使っている。ここまで徹底して蜜防止しているのを見ると安心である。


年季の入ったお品書きを見て美味しそうな具雑煮定食を注文する。しかし、残念、具雑煮定食は売り切れということであった。こちらの郷土料理は具雑煮なので今日は朝から具雑煮と決めていたので少しショックであった。仕方がない。おすすめのほたる定食を注文することにした。ところが、ほたる定食は予想以上であった。リーズナブルの値段以上に量、質ともに合格であった。まず、刺身が旨い。よく冷えた豆腐が美味しい。南蛮漬けのシャケがうまい。天麩羅がまた良い。サラダも味噌汁も茶碗蒸しも良い。さらに食後のコーヒーまでいただけるのはありがたかった。満足の食事であった。
食事を済ませて外に出ると、入店の時には気づかなかったが、可愛らしい小さな人形が賑やかに入り口に並んでいた。一人一人の表情を見ると楽しくなる。一人はちゃんとマスクまでしている。こんな可愛いらしい人形に気づかないのはあんまりだと思う。入るときは食べることにばかり集中して何も目に入らなかったようだ。いくつになっても食べることになったら脇目も振らず一点に集中する。その集中力をもっと他のことに発揮できればもっと良い人生になるだろうにと思うが治らないだろう。
今日は美しい花を見て、美味しい食事をいただいて満足の1日であった。