ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「東日本大震災 あの日から10年」を見る

3月7日サンデーモーニングで「東日本大震災 あの日から10年」という特集番組が報道された。東日本大震災の被害状況は死者1万5899人、行方不明2527人。避難者数最大時約47万人であった。10年を経過して今なお岩手・宮城・福島三県で避難者数は4万2565人を数え、そのうち福島県民の避難者が3万5725人に上っている。福島県民が避難者の多数を占めるのは福島第一原発による放射能汚染のためである。東日本大震災は1万8千人を超える死者行方不明者を出して東北地方に甚大な被害をもたらした。そういう中にあってもあらゆる困難、苦悩を乗り越えて復興が行われ、新しい町づくりが進められている。若い人が戻ってきて震災前のように活気が戻る様子が見られる町がある反面、なかなか復興が進まない町もあった。

 

復興が進まない町村の一番の問題は放射能汚染である。飯館村は人口5000人ほどの町で、そこには今、避難指示解除に伴い1000人くらいの人が戻ってきて生活している。しかし、その中に若い人はほとんどいない。若い人ほど放射能汚染の影響を強く受けることが言われているので、多くの若い人は放射能汚染による被害を心配して帰村していない。ましてや、そこでの子育てなど問題外である。飯館村の高齢者は言う。「東日本大震災でどんなに多くの被害を受けても、人間は若い人に後を託して、いつかそれを乗り越えて復興していく。しかし、飯館村は私らが最後になるかも知れん。」と希望を見出せない現実の声を紹介していた。

 

 

東日本大震災という未曾有な被害ををもたらした災害であっても、人間はいつかそれをのりこえて必ず復興していく。 人間はいつの時代もどこの国の人もそのようにして災害を乗り越えてきた。しかし、放射能を人類は克服できない。放射能によって汚染された大地の上で人類は生活することはできない。汚染された大地で作られた食物を人類は食べることはできない。一旦汚染された大地はもはや使えない。そこに住んでいた人たちはその地を捨てなければならない。

 

今日の特集番組について、青木理氏は「東日本大震災は人類史上最悪の原発事故であった。あの当時、東京もダメかもしれないということが一時言われた。関東近辺の米軍基地では放射能の警報が鳴り、部隊の関東圏外への移動が検討された。外国大使館は出国命令などがあったようだ。一歩間違えば東京から避難ということが起こるような状態であった。幸いにしてそこまで行かなかったが、原発はそのような危険を拭えない。原発を使っている限りそのような危険と隣あわせということを考えた場合、日本のような地震大国に原発を設置していいのかどうかもう一度根本的に考え直して欲しい」と言っていた。

 

私も青木氏の意見に賛成である。3月6日のNHK番組「原発事故“最悪のシナリオ”誰が命をかけるのか」において、東日本大震災による福島原発事故は“東日本喪失”になりかねなかったと言っていた。日本の半分である“東日本喪失”も考えられるほどの事故になりかねなかったという話であった。原発はそのような取り返しのつかない危険をもたらすものということを考えたら、日本の政治指導者にはぜひ、脱原発へ舵を切って欲しいと切望する。

 

先日、福島第一原発事故10年を前に、日本世論調査会が実施した世論調査結果をニュースで見た。原発を将来的にゼロにするべきだと答えた人は68%、今すぐゼロと答えた人は8%で計76%が脱原発を志向していることがわかった。また再び深刻な原発事故が起こる可能性があると答えた人は90%に上った。原発を「将来的にゼロ」と「今すぐゼロ」を合わせた回答は、2014年の調査では69%、2016年は62%、2018年は75%、そして今回が76%などと高い割合が続いているという内容であった。国民の大多数は原発ゼロを希望しているということを為政者はしっかり理解して欲しいと思う。

 

また、3月1日、小泉純一郎氏と菅直人氏がタッグで原発ゼロ訴え 外国特派員協会で記者会見をしたというニュースが流れた。

新聞報道によると、小泉純一郎元首相と立憲民主党菅直人元首相は1日、持論の「原子力発電ゼロ」をめぐり日本外国特派員協会で記者会見した。与野党の枠を超えた首相経験者の共演となり、小泉氏は「原発問題に与党も野党もない。政党の枠を超え、原発ゼロで発展する国にすべき」と述べた。菅氏も「小泉氏とは原発ゼロでいろいろな所で一緒にしているが、討論会は初めてだ」と意気投合した様子だった。

小泉氏は「日本は平成23年の東京電力福島第1原発事故を目の当たりにしても、まだ原発ゼロをやろうとしない。やればできるのになぜやらないんだ。原発ゼロでも停電はないと証明されている」と強調した。菅氏は農地の上で太陽光発電する「営農型太陽光発電」の普及を訴え、「日本が使う電力の全てをまかなうことが理論上は可能だ」と語った。

 

原発世論調査に関する長崎大学の鈴木達治教授(原子力政策)のコメントを読むと、「政府はエネルギー基本計画で原発の依存度を低減するとしているが、原子力政策は従来の拡大路線のままである。本気で原発ゼロに取り組む姿勢が見えない。」と述べていた。

 

現政権は原発ゼロを目指す気はないようだ。現政権は2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを表明しているが、そのためには原発の再稼働や新設が必要だとしている。世界の国々が原発なしで脱炭素社会の実現をしているにもかかわらず、脱炭素社会の実現を口実にして原発に戻ろうという流れをつくろうとしている。このような政権は早々に退陣してもらうしかない。