ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「8年間のウソを暴く」を読む

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この本はフリージャーナリストの西谷文和さんが「安倍、菅、維新の8年間のウソを暴く」というテーマで内田樹氏、佐高信氏、小出裕章氏などの各氏とのインタビューや対談をまとめたものである。

 

思想家で神戸女学院大学内田樹さんへのインタビューより

『2015年に18歳に選挙権の年齢を引き下げたのは、広告代理店の調査で10代に自民党支持者が多いことがわかったから実行された。若い人たちは子供の頃から「長い物には巻かれろ」、上に従え、多数派が多数派なのは正しいからだ、権力者がその地位にあるのは必然性があるからだと叩き込まれてきました。だから、今権力を持っている人間は「権力を持っている」という事実だけからして、その地位にあって当然なのだ、その地位にあるべきなのだというふうに推論することになれきっている。日本の学校教育における「現状肯定」の刷り込みはすごい。』

 

モリカケ桜に河井事件など私腹をこやそうとダラダラやっていたら、いつの間にかみんなが政治にうんざりして、投票しても何も変わらないと投票しなくなってしまい、与党が圧勝するようになった。みんなが政治に飽きて、投票に行かなくなれば、自公連立政権は揺るがない。有権者に「投票しても何も変わらない」と諦めさせれば、現状から受益している人たちだけが与党に投票するので与党が勝ち続ける。その結果権力は長期化する。そして長期化した政権はますます腐敗する。これが日本の政治の現状です。「こんな政治にはうんざりだ」という気分だけ煽っておいて、「だから政治を変えよう」ではなく「だから棄権しよう」という方向に市民が流れてゆくのを座視したメディアの責任は重い。』

 

 

評論家でノンフィクション作家の佐高信さんとの対談より

「日本は民主主義社会と思っている人が多いがそれは間違い。日本は江戸時代から続く封建社会です。日本は武士の子は武士、農民は農民。そんな身分社会が続いている。そのような世襲制度はダメだということで、形だけ機会平等の民主主義が導入された。でも自民党国会議員の約6割は世襲です。これは会社も同じ。トヨタの社長は今も豊田章男です。政治家の子は政治家。安倍は三代目、麻生も三代目、小泉進次郎はは四代目です。安倍政権は日本の封建主義の産物です。まずは、日本の封建制度を打破して、せめて民主主義の国にしなければならない。」

 

「コロナ対応の持続化給付金に関連して広告代理店の電通が巨額の税金の中抜きをしていたことが発覚したが、電通といえばオリンピックと原発と考えておけば間違いない。巨大利権といえばオリンピックと原発である。その巨大利権の影に電通ありです。道州制が言われているが、道州制原発支配の電力国家を作ろうという話です。九州電力四国電力関西電力など道州制とピッタリ一致する。道州制推進論者で原発に反対する人はいない。そして、最近は経産省出身の知事が増えている。経産省出身の知事は道州制を主張する。その後ろには電力会社と電通がいる。原発利権の構造として政界、メーカーである大手企業、建設の大手ゼネコン、CM利権の電通を含めた原子力ムラと知事が癒着している。広告でメディアに圧力をかける双璧はトヨタと松下と言われていた。でも電力会社のCM料金は桁違いです。トヨタ、松下を1とすれば、電力は100。どこのメディアも原発の意向を無視できない。よく知られた話だが、アントニオ猪木がかつての青森県知事選挙の際に原発推進派の知事の応援をすることになって2泊3日とかのその応援料が1億円だったという話から分かるように、原発がいかに儲かる話かということです。原発CMで巨額の利権を手にした電通は、地方紙を巻き込んでいく。

 

京都大学原子炉研究所助教小出裕章さんとの対談より

旧ソ連は1991年にチェルノブイリ原発事故が起きた。その事故で放射能から住民を守るのは国の責任だとチェルノブイリ法を作った。被曝はとても危険なので、1年に1ミリシーベルト以上の被曝はいけないという法律です。旧ソ連はその後ロシア、ウクライナベラルーシに分かれたがそれぞれの国で1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をする地域の住民は移住の権利があると、どの国も、国を挙げて住民の被曝を防いだ。しかし、日本の場合は、被曝は1年間に1ミリシーベルト以下と法律で定められていたのに、特別措置法を制定し、日本では住民は1年間に20ミリシーベルトまで被曝してよいと上限を変えた。20メリシーベルトまで我慢しろと被曝を強制し続けている。旧ソ連の国々は移住の権利を認めているが日本は逆に移住するな帰還しろと無理やり戻そうとしている。これまでは曲がりなりにも、移住者に対して国は住宅補助をしてきた。しかし、17年3月で打ち切った。その後は自治体で支援していたが、それも19年3月で打ち切った。「汚染なんか気にしないで生きろ」今後は何の補償もしないということです。

ほとんどの人は国の意向に従順にしたがうことで自分の生活を維持してきたわけだから国の意向に強く反対できない。福島県という自治体すら国の意向に従っているし、福島県内の市町村もまた屈服してしまう。こうなると住民も屈服してついていくしかない。住民は今このような状態に追い込まれている。

そんな「国の悪だくみ」を暴くのは本来メディアの役割だが、メディアは国とグルになっている。電通は福島で巨額な放射能除染の工事を受注している。全て工事は下請けに流して、一部のごく限られたところを除染して、除染は終わりました、もう安全です。「あとは心の除染です」としきりに宣伝をしました。これ以上汚染を心配するのは、心が汚れているからですと言わんばかりです。本当に汚い仕打ちです。心が汚れているのは国や東電、電通の方だと思います。』

 

「安倍、菅、維新8年間のウソを暴く」を読んで、内田さん、佐高さん、小出さんの話は納得することばかりである。

内田さんは、若者に自民党支持者が多いという話は学校教育における現状肯定の刷り込みが大きいと言っていた。アメリカの学校では自分の意見を主張することは立派なことと評価されるが、日本の学校では自分の意見を主張することより周りに同調できるかどうかを評価すると聞いたことがある。このような教育方針も現状肯定派の若者誕生に繋がっているのではと思う。また家庭に帰りテレビをつければ、電通に支配されたメディアが自民党に好意的なコメントを毎日毎日垂れ流しているのも若者には大きく影響していると思った。

 

 

佐高さんと小出さんの話の中でも電通原発のことが語られていた。

原発は危険すぎる、原発はコストが高すぎる、原発がなくてもエネルギーは十分賄えると言われているにもかかわらず、原発の潤沢なCM利権を手に入れた電通を含む原子力ムラはこれからも原発再稼働に向けてメディアを駆使して原発の宣伝を行っていくだろう。日本ではエネルギーの安定供給のため、火力、水力、原発再生可能エネルギーのミックスエネルギー政策が一番常識的選択と宣伝している。そのために原発はベースロード電源として残すべきと宣伝している。アントニオ猪木さんは1億円で原発反対派から原発推進派に寝返ったそうだ。今は石坂浩二さんがミックスエネルギー政策の推進CMを国民に呼びかけている。原発推進の出演料は普通の出演料の100倍だから相当のCM出演料だったに違いない。これからも好感度芸能人が破格の出演料をもらって国民を騙しにかかるだろう。こんなに良い人が人を騙すはずがないと思わないようにしなければと思う。