ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

船釣に行く


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友達から船釣りの誘いがあった。以前も予定していたが、風が吹いて中止になったり、天候に恵まれず延期が続いていた。漁場は上五島の平島沖である。狙いはクロメジナ(尾長)とイサキである。前日まで強風が吹き、明日の船釣りはどうかなと心配していたら、明日は風も波も収まるので実施する。ただし明日の夕方から風が出るので、早く出港して早く帰港するように時間を変更したい。出航は午前3時、時間厳守という連絡を受けた。小学生時代、遠足の前夜は興奮して早寝ができないことがあったが、午前3時集合に遅れないように前日午後6時に早寝することを決めて、無理に眠ることにした。

 

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午前3時に遊漁船が待つ桟橋に仲間5人全員が集合した。荷物を積み込み出港。長崎を出て漁場の上五島までの所要時間は約2時間半である。船は真っ暗闇の中をエンジンを全開にして突き進む。私たち5人は狭い船室で仮眠をとる。フルスロットルの轟音みたいなエンジン音が船室に響く。それでもいつの間にか寝入ってしまっていた。気づいたらエンジン音が静かになっている。午前5時40分漁場到着。日の出だ。

 

 

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平島は五島列島とは4kmしか離れていないが、所属は31km離れた本土側の西海市である。平島という名前からすると平らな島みたいだが最高峰は204mである。船長さんの話では海から眺めると平たい感じだが、平島港に入ると目の前に200mの壁がそびえ立つような迫力を感じるらしい。平島は隣の島の江島とともに江戸時代は捕鯨基地として栄えた。現在も漁業が基幹産業である。人口は2005年調査で279人であったが現在はもっと減少しているだろう。江島(えのしま)は平島の東に位置する西海市に所属する島で、幕末には異国船監視のための番所が置かれた場所でもある。江島(えのしま)という島の名前は平家の落人が当島に住み着いた際に相模国江ノ島に似ていることから名付けたという伝承が残されている島である。

 

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平島の後ろには4km離れた五島列島中通島が見える。橋は頭ケ島大橋である。隠れキリシタンの信者が建てた石作りの頭ケ島天主堂はあの大橋を渡ればすぐである。

 

 

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今日の狙いはクロとイサキである。仕掛けはウキ流し釣りである。約1mほどある大型棒ウキをつけて釣り糸を投入する。重たい仕掛けを150m以上流していくのでリールは電動リールである。船べりに釣り糸を垂らして潮の流れに乗せて流して行く。潮の流れが速いのかすぐに100m以上流される。ウキの動きを注視する。波の動きに合わせてウキが上下していく。単調な動きを規則正しく繰り返しているとき、赤い大きなウキが、突然海中から大きな力で一気にグッとに引き込まれる。スポッと大きな赤いウキが消える。かかった!電動リールの巻き上げレバーをオンにして巻き上げて行く。巻き上げる力に反して、逃れようとする魚の力が竿を引っ張る。竿を持っていかれるような強い引きに負けまいと竿を起こすと竿が大きくたわむ。ドラグ機能が作動して糸キレを防ぐ。慌てず慎重に巻き上げて行く。そして甲板上に釣り上げる。良型のクロメジナであった。周りの仲間も次々にクロメジナを釣り上げて行く。大物を釣り上げた仲間からは「今日はもう満足した。いつ帰っても良い。」という声があがる。

 

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この船の釣り人は5人である。この遊漁船は大きいので5人それぞれ十分すぎるソーシャルディスタンスを取って漁ができている。ところが、潮の流れによっては一箇所にウキが並ぶこともある。この場合、あげる順番を間違うと糸が絡むいわゆるお祭り状態になり、漁どころの騒ぎではなくなる。船から近い順番に魚を上げなければならない。この例で言うと、C君、B君、A 君の順番で上げなければならない。特にC君は1番に釣らなければならないというプレッシャーがかかる。それが希望通り行くことは滅多にない。B君やA君が魚を釣ったらC君はお祭りを防止するために、魚がかかってなくても一緒にあげることになる。

私たちは友達同士だからそれが問題なく「OK牧場、了解」で円滑に処理されるが、船長さんの話では、これが乗合遊漁船の場合、協力を得られず、糸を絡ませるというトラブルになることもあるらしい。

 

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クロメジナの食いが落ちてきたところでクロメジナの漁を終了。今度は少しポイントを変えてイサキ釣りに挑戦する。私は漁の場所を船尾に移すことにした。ウキ下7m、距離100mとか釣れた人から情報を受けて、船尾から釣り糸を入れて100mまで流したらフリーにしてたクラッチレバーを戻して100m近辺に固定させる。竿受けに竿をセットして魚のあたりを待つ。突然竿がしなる。来た!巻き上げスイッチをオンにして竿受けから竿を取り竿を立てて巻き上げる。魚の強い引きが感じられたら大物を予感する。手応えが小さければそれなりの大きさかなと想像する。イサキは集団でいるのだろう。情報に合わせてセットしてしばらく待つと赤いウキがスッと引かれて沈んでいく。ちょっと目を離していたら赤いウキが見えない。引かれている。慌てて巻き上げをオンにする。その繰り返しである。

 

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平島を見ながら昼過ぎまで釣りを楽しんだ。昨日の強風が嘘みたいに穏やかな風と静かな海であった。平島にお別れの時間がきた。そして一路長崎の女神大橋目指して戻る。長崎港口の女神大橋を通過したら桟橋は近い

 

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今日の釣果を並べて記念撮影である。鯛が一匹混ざっているが、これは私が上げたものではない。私の釣果はクロとイサキだけである。友達はもっとたくさん釣っていた。鯛を数枚釣った友達が一枚持っていかんねと言ってくれたものである。有難くいただくことにした。今日の釣行は気分爽快であった。豊漁も嬉しい。それ以上に、五月晴れの下コロナの心配を忘れて自然を満喫できたことはこの上ない喜びであった。誘ってくれた友に感謝したい。