ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

五輪開催辞退と補償金

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、新型コロナウイルスの影響で開催が懸念される東京五輪について、「科学に耳を傾け、危険な茶番劇をやめる時が来た」と、大会中止を求めるコラムを掲載した。元プロサッカー選手で米パシフィック大教授のジュールズ・ボイコフ氏はコラムの中で「五輪開催へ強引に突き進む理由は三つ。カネ、カネ、そしてカネだ」と、国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢を痛烈に批判し、日本で新型コロナのワクチン接種が人口の2%に満たないこと、今夏の五輪開催におよそ60%の国民が反対している現状を挙げた上で、「五輪の主催者は、公衆衛生のために、彼らの利益を犠牲にしようとはしない」と述べて五輪の中止を主張した。

 

東京2020オリンピックの経費は、当初は7000億円といわれ、世界一コンパクトな大会にするということが当初喧伝されていた。

確かに、東京オリンピック招致時点の立候補ファイルでは、国民の負担を軽減する為に、既存の施設を活用して「世界一コンパクトな五輪」「世界一カネのかからない五輪」実施するとして、2013年1月に国際オリンピック委員会IOC)に提出した立候補ファイルには、大会経費として8,299億円と予算提示されていた。

ところが、いつのまにか経費が増額されて2019年12月、大会組織委員会が予算V4(バージョン4)を発表したとき、ここでは収入は6,300億円、支出6,030億円が示され、1兆3,500億円が経費として計上されている。当初の7,000億円からすると経費は1兆3,500億円となり、約2倍に膨れ上がっていた。しかし、この時点で会計検査院の調査結果では経費は3兆円を超えると算出されていた。

会計検査院は各省庁における関連施設費も含めた額を総額としているが、組織委員会は直接大会に関係のある経費のみを総額として発表していたため、両者の総額には大きな差があった。また、会計検査院組織委員会の予算には入れるべき費用が含まれていないと指摘していることも多く見られた。例えば新国立競技場のセキュリティー対策費は、欠かすことのできない施策であるにも関わらず、予算計上されていないなどの事例が見られた。こうした状況をかんがみ、会計検査院は国、組織委員会に再度大会との関連性を良く精査して大会経費総額の全体像を提示するよう求めていた。

しかし現在では、3兆円を上回る予算額が必要ではないかといわれており、2020年の延期が決定したことで、必要な経費がさらに増えたことは間違いない言われている。

 

そういう中、新型コロナ感染症の収束が見込めず国内外で五輪開催中止を求める声が高まる中、「開催辞退を申し出た場合、IOCから莫大な補償金を請求される」という風説がまことしやかに語られている。そのことについて米国在住作家の冷泉彰彦さんが国民の理解を得るために下記の提言をしている。

 

「五輪の収入の過半は、米国のNBCの放映権料から来る。だから、五輪中止の場合は放映権料の補償をしなくてはならず、日本が中止を言い出した場合には、その分が日本に請求される」ということが言われている。その金額は1,300億円であると言う報道もある。

 

2021年に五輪が開催されれば、NBCには広告収入が入る。しかし、中止されれば広告収入は入らないが、その場合はNBCは巨額な赤字を背負うわけでは「ない」という条件になっているはずである。中止の場合はNBCが損をしない契約になっているはずである。要するに補償金額として1,300億円程度が返金されるということだと思われる。

 

その場合は、IOCとしては大損になることから、この1,300億を中止した責任として日本に押し付け、その金額を丸々日本に請求するという話らしい。

日本側としてはこれは認められる話ではない。このことに関しては、2013年に招致が決まった際に交わした(であろう)契約書、そして2020年から2021年に延期を決定した際の契約改訂において当然のことだが、日本側としては理不尽な金銭的な責任を負わないように最大限の主張がされ、その上で、日本側とIOCの間に合意契約書ができたと信じる。

 

そもそも、感染拡大の状況を検討した上で五輪の開催を決定するというのは、国にとって当然の決定であり、仮に人命を優先して中止した場合に、巨額な請求が来るとか、未来永劫オリンピック招致は不可能というのは、国際常識上、人間の常識に照らして認められるものではない。

 

この問題について国民の理解を得るのは簡単である。それは、日本サイドとIOCの間の契約を公開することである。カネが絡む決定をするのであれば、そのカネの条件を明らかにするのは当然である。一方的に屈辱的な契約を結んでいるのなら、結んだ当事者が悪いが、ともかくどのような契約を結んだのか、条件がどうなっているのか、国民に明らかにするべきである。」述べている。

 

私も冷泉氏の意見に賛成である。金に絡む決定について何でも隠したがることが不信感につながっていく。巨額の税金を投じて行われる東京五輪である。契約の全てを明らかにして国民の理解を得る努力をしていただきたいと切に思う。