ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

若い女性の生活困窮

長崎新聞に「若い女性の生活困窮、非正規雇用をコロナ直撃」というタイトルで藤田孝典氏の評論が掲載された。藤田孝典氏は社会福祉士で生活困窮者支援活動を行っている方である。

 

藤田氏の元には生活困窮者支援活動を行う中で、メール相談が毎日多数寄せられるそうだ。ここ一年は相談件数が過去最高でメール相談が毎日20〜30件あり、多い日は1日100件を超えることもあるという。

 

藤田氏は評論の中で「相談者は非正規雇用若い女性からの相談が多く、ひとり親世帯、単身世帯からの生活苦を訴える声が連日寄せられているということであった。そもそも、日本の飲食業、宿泊観光業などのサービス業の現場は低賃金の女性労働者に支えられてきた。低賃金の非正規雇用なので預貯金も十分ではない。そのような状況の中、コロナ禍で休業、残業減少、労働時間減少になれば、たちまち生活苦に陥る女性が多い。

女性の自殺者数も増加傾向が止まらない。なぜなら若年層や稼働年齢層(15〜64歳)に対し、社会福祉は冷酷だからだ。風俗店に勤務していた20代女性は、ほぼ収入がなくなり、県内の福祉事務所へ「生活保護の申請をしたい」と相談した。すると「若いからもっと仕事先を探して欲しい」「親族に助けてもらって」「お付き合いしている男性はいないのか」などと言われたため、生活保護の申請を断念した。他にもひとり親世帯の20代女性は、飲食店が倒産したため無収入となり、福祉事務所に相談したが「懸命にハローワークに通えば仕事は見つかる」として生活保護申請を受け付けてもらえなかった。これは「水際作戦」と呼ばれる行政が手を差し伸べるのではなく、行政が水際で追い返す問題視されている対応である。コロナ禍になっても相変わらず、若年層は福祉を受けられず放置されている」と述べていた。

また、「政府も休業手当を支給する雇用調整助成金、休業支援金、給付金、生活福祉資金の特例貸付などで対応している。しかし、それらの福祉制度は「申請主義」である。自分で制度を知り、申請しなければ支援してもらえない。政府がいくら制度を用意してもそれを知らない人も多い。藤田さん達の支援団体は生活困窮者の申請援助を続けているが件数があまりに多く支援団体が疲弊しているのが現状であり、もっと簡易な多様な生活支援が求められている」と訴えていた。

 

藤田氏たちの支援団体の活動に敬意を表したい。

可処分所得が年間120万円程度を下回ると相対的貧困と言われている。東京では、非正規雇用で一人暮らししていると、手取りが15万円程度。家賃6万円を払えば、可処分所得は貧困ラインであると言われている。すでに日本では「単身女性の3人に一人」「子どもの6人に一人」が貧困状態にあると言われている。ギリギリで生活してきてコロナ禍に巻きこまれ、残業がなくなり、労働時間減少、休業などに見舞われたらすぐに生活困窮者に陥ることは目に見えている。

 

コロナ禍による女性の自殺の増加が問題になっているが、女性の貧困のそもそもの原因は労働系の法律改悪と現在の政府が積極的に推進する新自由主義(民営化、規制緩和、市場原理、労働の自由化)路線によってもたらされた貧困といえる。法律によって人々の労働を安くこき使わせる商品として流通させてしまったことに貧困の原因があると思う。

 

昔、日本は経済格差の小さい国と言われていた。国民の大半が中流家庭という意識を持つ国というのが一つの日本の特徴であった。それが政治の方向転換によって経済格差がもたらされた。超リッチな富裕層が誕生すると同時に貧困層が生まれた。貧困は努力をしない結果であり、怠慢の結果であり、全て自己責任と言われた。本当にそうだろうか。

新自由主義を推進してきた安倍、菅の各首相には欺瞞を感じる。特区という身内優先の政治といい、「今だけ、金だけ、自分だけ」という政治姿勢といいそのような税金の使い方、無駄遣いが福祉をさらに貧しくしているように思えてならない。庶民の側に立つ政治家を育てねばと思う。