ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

中国語の先生の話

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中国語講座を受講している。講師の先生は40代後半の中国人の女性の方である。教科書を使って中国語の読み書きを学んでいるが、この講座の楽しみは授業の合間の講師の先生のお話である。先生は、私たち受講者の中国語への関心をさらに深めるために、教科書に出てくる話題から話を広げて、現在や過去の中国事情とか日本と中国の違いなどの話をされる。教科書を使った授業も楽しいが、少し授業から脱線したような先生の中国についての話とか、中国人(外国人)から見た日本ついての話を聞くのは楽しみでもある。今日の授業でも、先生の話を楽しんだ。

授業の中で、「今年の夏は熱い」という言葉が出てきた。そのことから、食欲が落ちる夏場に喜ばれる食べ物の話になった。このような酷暑の日には、熱いものは食べたくない。冷たい冷やし中華の方が喜ばれる。作る人にとっても冷やし中華なら簡単で早いと思うでしょうが私の小さい頃の中国では冷やし中華は簡単な食べ物ではなかったと言って先生の話が始まった。


「私の小さい頃、中国に冷蔵庫はまだ十分普及していなかった。日本の「冷やし中華」みたいな食べ物は中国語で「冷面」といいます。冷面を作るには、お湯で麺を茹でる。茹でた麺をさまして、さらに冷たくする。それが大変な作業であった。日本では茹でた麺に水道水をかけて冷やしていく。あるいは氷水につけて冷たい麺にする。または、冷蔵庫に入れて冷やすなどで簡単に冷麺にできるが、当時の中国では冷麺はたいへんな労力を要する食べ物であった。中国では水道水は食べ物には使えない。水道水は必ず煮沸して使う必要がある。だから麺を冷たくするために水道水は使えない。冷蔵庫もない時代、麺を冷たくするには扇風機やうちわしかなった。茹でた麺を大きな竹編みの笊に敷いてそれを扇風機や人力の団扇で扇いで冷たくしていく。子供たちも手伝わされて1時間も1時間半もかけて冷たくしていた。冷麺食べることは大変な時代でした。」と話をされた。
中国では現在も、水道水は煮沸しないと飲めないけど、今はウオーターサーバーやペットボトルが普及しているので不自由はないということであった。

 

日本のインターネット社会と中国のインターネット社会の違いについて話が及んだ時に、先生からネット通販における買い物中毒の話があった。
「中国のネット通販の普及は凄まじいというほどです。中国ではネット通販が主流になってきてます。若い人だけでなく50代、60代、70代でも自由自在にスマホを駆使してネット通販しています。ネット通販しなければ、買い物できないような社会になってきてます。そこで新しい問題が起こってます。中年以上の高齢者の買い物中毒です。さまざまな必要ないものまで買い漁っています。自宅が通販で買ったもので溢れて、自宅が倉庫みたいになっている人がたくさん出てきています。買い物中毒で自制心がきかないという状態になっている人がたくさんいます。ネット通販業者がテレビで買い物中毒者に洗脳しているといっても良いくらいです。買い物中毒、これがインターネットの普及に伴う一つの社会問題になっています」日本は中国ほどIT化されていないけど、IT化が進み便利になると新たな社会問題が発生するようだ。


教科書で買い物の話が出てきた。その話題から、皆さんが昨日でも今日でも買い物したものを中国語で言ってください。中国語で言えない単語があったら、この機会に覚えましょうということになった。私は「今日、幕の内弁当を2個買いました。」と答えた。弁当は中国語で「便当(biandang)」というが幕の内弁当の“幕の内”が中国語でわからなかった。先生は、弁当の名前だからそのまま日本語で言っていいでしょうとおっしゃった。同時に先生から「なぜ幕の内弁当というのですか?幕の内弁当はどうして何種類もおかずが入っているのですか?」という質問が出された。

私は、幕の内弁当は、昔、歌舞伎など芝居の時に、役者や観客が幕間に食べる弁当だから幕の内弁当という名前になったということを聞いたことがあるが、おかずの種類が多い理由はわからない。私が、答えに窮していたら、他の受講者が代わりに答えてくれた。「幕の内弁当の中身は、最初に提供した料理屋さんの献立がとても好評で、それ以来、幕の内弁当の中身として定着し今日に至っているようです。一般的にご飯は白いご飯で、俵型におにぎりが並べて詰められています。おかずは、汁気の無いものを少しづつ詰め合わせます。例えば、焼き魚、玉子焼き、蒲鉾、揚げ物、煮物、漬物などが定番です。つまり、和食であること、おかずは季節のものなどを含め少しづつ詰め合わせること、それが当初の幕の内の定義だと私は思います。」と答えられた。
話された方が「幕の内弁当については諸説あるので断定はできませんが・・・・・・」と述べられていたが、私は彼の話に納得した。

 

 中国語講座は、中国語を学ぶことも楽しいが、授業から少しはみ出したような先生の話を聞くのも楽しい。また、先生の話からみんなの会話が盛り上がるのもこれもまた楽しい。