ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

世襲議員に食い物にされる日本

先日ネット上で「まるで“歩く既得権益”。世襲議員の“食い物”にされる日本国民の不幸」というビジネス心理研究家の神岡真司氏の評論を読んだ。
神岡氏は、日本中に世襲議員が溢れている理由を「日本に世襲議員が多いのは、理由の第一に挙げられるのは、日本の国会議員が、世界一の高待遇だからです。」と言っている。
「たとえば、国会議員の年間報酬は、歳費が1,561万円、期末手当が635万円、無税で何にでも使える文書通信交通滞在費が1,200万円、法律を作らなくてももらえる立法事務費が780万円の合計で4,176万円(月額平均348万円)になります。こんなに報酬が多いと国民の批判的な目が気になるので、とにかく名目を細かく分けて、税金から高額報酬が支給されています。さらに国民一人当たり250円の税金から、議員一人当たり4,400万円に相当する政党交付金が所属政党に配られ、その所属政党から分け前として1,000万円以上が議員に転がり込みます。したがって国会議員の報酬は、合計すると最低でも年収5,000万円以上となるわけです。他にも企業や団体の役員報酬や株主配当金などの収入も期待できます。おまけに、奴隷のようにコキ使える3人の公設秘書の年間合計給与2,400万円から、議員の政治資金団体に数百万円の寄付を強要する国会議員も少なくない──というのですから、まさしく銭ゲバ状態なのです。他にも、利権の口利きのために政治献金(団体献金と、団体の限度額を超えた分を偽装するための個人献金)を集めますから、国会議員は政治活動と称していろいろ儲かるのです。

また、国会議員への現物支給では、議員会館の家賃・電話・水道光熱費がタダです。赤坂などの都心の一等地にある議員宿舎は、3LDKがたったの8.4万円の家賃で住めます。JRグリーン車は乗り放題で、地元との航空券チケットは月に4回分支給されます。なお、新規の議員年金は廃止されましたが、勤続10年の最低水準で月額29万円からの年金をもらっている議員もいます。このように日本の国会議員は、アメリカの上下両院議員(議員への直接報酬は2,000万円程度)よりも、はるかに恵まれた世界一の高待遇ですから、議員は何とか自分の子息などを、自分の後継者にしたいと望みます。せっかく歴代議員たちが、お手盛りの議決で高待遇の身分を作り上げてくれたのですから、その恩恵をいつまでも自分たち一族としても享受したくなるわけです。国会が「世襲議員」だらけになる理由の第一がこれなのです。

さらに、もう一つの原因として、「世襲」は、当選しやすいという理由もあります。選挙は「地盤(利権にまみれた地元後援会組織)」「看板(地元での先代からの知名度)」「カバン(政治資金団体の資金)」の「3バン」が当選に重要な要素といわれます。世襲議員はそのまま「3バン」を譲り受けるので有利です。

ところで、国会が世襲議員だらけの「世界の奇観」を呈しているからといって、「それが悪い!」とは一概に断罪できません。選挙区の有権者が選んだ民主主義の立派な結果に他ならないからです。しかし、当選に必要な「3バン」が圧倒的に有利にはたらく、こうした選挙のメカニズムを見ていると、けっして公平とは思えません。
いずれにしろ、必ずしも世襲候補者が有能であるとは限りません。もっと適切な能力を有した候補者が他にいるかもしれないのです。政治に緊張感をもたらすうえでも、国民の投票行動は重要でしょう。世界一待遇のよい国会議員を選ぶのですから、その報酬に見合った候補者なのかどうか──を慎重に見極めていきたいものです」とあった。

安倍元総理も昔、自民党が企画した小中学生への国会議事堂案内会の時、小学生から「どうして国会議員になろうと思ったのですか」という質問されて、「私の祖父も国会議員でした。私の父も国会議員でした。だから、私も国会議員になりました。」と答えていた。希望や理想を持って国会議員を目指したのではなく、稼業としてなったという説明をしていた。稼業で儲けのために国会議員をやる人の政治は首相になっても私利私欲のこんなものだという感じを持つ。

この評論は選挙前に出され、投票を呼びかけるものであったが、神岡氏のアドバイスが有効に作用したかどうかわからないが、選挙は終わった。
私個人としては、世界で一番、若者の自殺者が多い日本、世界で一番、将来に期待を持てないと若者が回答する日本を変えるためには、政治を変えるしかないと思っていたが、選挙結果は、自民が単独で絶対安定多数を確保した結果となった。

何の苦労もなく育った世襲議員では日本の若者が抱いている不安を理解できるのだろうかと心配になる。今までがそうであったように自己責任という一言で片づけられてしまうのではないかという気がする。世襲議員が多くなるにつれて、日本の政治の質が低下するのを心配する。有権者として世界一高待遇の国会議員を選ぶということだけは今後も忘れないようにしたい。