ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「ギャンブル依存国家・日本」を読む

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帚木蓬生氏の著書「ギャンブル依存国家・日本」を読んだ。
先月、長崎新聞紙上に「コロナ禍とギャンブル依存症」という帚木氏の寄稿が掲載された。新型ウイルス禍で公営ギャンブルのインタネットや電話での利用が増加し、ギャンブル依存への影響が懸念されるという内容であった。2018年6月にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が自民、公明、日本維新の会などによって強行採決され、今、長崎県統合型リゾート施設(IR)の誘致に官民あげて取り組んでいる。反面、誘致反対の署名活動をしている人も見かけるようになった。私はギャンブル問題に対して不勉強で、明確な考えを持っていなかった。ギャンブル問題について私なりに考えをまとめたいと思い、ギャンブル問題について警鐘を鳴らし続けている帚木氏の著書を読むことにした。

帚木氏の著書を引用する。
ギャンブル障害の実態
2014年8月、成人のギャンブル依存症を調査している厚生労働省の研究班はギャンブル依存の有病率が4.8%であると発表した。男女別で言えば男性8.7%、女性1.8%である。したがって、我が国には500万人以上のギャンブル依存症がいると言明した。海外の調査では米国は1.6%、香港が1.8%、韓国では0.8%だから3倍から6倍の高い数字になる。その中でも、ギャンブル症を発症している6〜8割の人がパチンコ・スロットにはまり、借金を重ねて金をつぎ込み、家庭崩壊、自己破産の道を突き進んでいる。ギャンブル依存症の実態としては借金、自己破産、家庭崩壊、犯罪など様々である。

わが国のギャンブル汚染の実態
我が国には公営のギャンブルが6種ある。競馬、競艇、競輪、オートレーススポーツ振興くじ、そして宝くじである。競馬は中央競馬地方競馬合わせて全国に27ヶ所ある。競艇は24ヶ所、競輪は43ヶ所、オートレース場は6ヶ所ある。宝くじやスポーツ振興くじの売り場は、それこそ石を投げれば当たるくらいにどこにでもある。ギャンブル症を発症している6〜8割がパチンコ・スロットによるものであるが、そのパチンコ・スロットは日本ではギャンブルでなくゲームに分類されている。そのパチンコ・スロット店は全国に約12000店ある。ローソンの店舗数が11000店、セブンイレブンが1万7000店だから、パチンコ店はまさにコンビニ並みに全国くまなく店を構えている。パチンコ店のギャンブル機器の数はおよそ460万台である。全世界のギャンブル機器の総数が720万台だから、64%およそ2/3は日本に存在する計算になる。これだけでも大変なギャンブル汚染と言える。

そのギャンブル機器の数を人口比でみると、世界で最も多いのはカリブ海に浮かぶリゾート地セントマーチン島で11人に1台である。2番目がカジノで有名なモナコの23人に1台である。そして、3番目が日本で30人に1台の割でギャンブル機器が配置されている。これほどのギャンブル汚染列島であるのに国民には知らされていない。さらに詳しく、おのおのの売上額、つまり年商を検討すると、濃厚汚染の実態がより鮮明になる。(資料は2013年の概算額)。まず中央競馬は約2兆4000億円である。競馬はこれに地方競馬の約3500億円が加わる。競艇が約9000億円、競輪が約6000億円、オートレースが700億円。宝くじが9500億円、スポーツ振興くじが約1000億円である。これらの総売上は約5兆3000億円、概算で5兆円と覚えておけば間違いない。

一方ギャンブルでなくゲームとされているパチンコ店の年商は、合計20兆円である。公営ギャンブルと宝くじの約3倍半から4倍の規模を誇っている。この20兆円という数字はトヨタ自動車の年商に匹敵する。全国百貨店の年商6兆2000億円の3倍に及ぶ額となる。ちなみに、我が国の出版業界の年商は、今や2兆円を割っている。パチンコ店の年商の1割以下となる。これが「文化国家」の素顔である。またカジノで有名なマカオの年間売り上げが約4兆7000億円である。となると、我が国には、マカオが5ヶ所存在すると考えて差し支えない。パチンコ・スロットと公営ギャンブルをミニ・カジノとみなせば、文字通り国全体がギャンブル場になっている。

国民をギャンブル漬けから守るのは、為政者や立法府にいる議員たちの使命であるはずだが、日本の為政者たちは、パチンコ業界やカジノ業界からの支援を受けてパチンコ族議員やカジノ族議員としてパチンコやカジノ推進に力を注いでいる。カジノ解禁の目的は「経済効果」と「雇用創出」であると族議員は主張する。この二つがあれば地域は活性化して潤うと主張しているが、アメリカのアトランティクシティーのように、カジノを導入したために、環境が悪化して、経済が冷え込み、雇用は失われ、税金が高くなり、米国で一番住みにくい都市と言われるようになった都市もある。族議員が主張するバラ色の設計図は信用できない。

「ギャンブルは幸せを壊し、犯罪を誘発する。ギャンブルがはびこれば、はびこるほど、国の土台が腐っていく。これ以上カジノをつくれば、日本はギャンブル地獄国になる」という帚木氏の意見に賛成である。長崎県ではいま、県知事選挙が行われている。カジノ推進知事候補とカジノ反対知事候補が立候補している。カジノ反対知事候補に投票することに決めた。