ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

安倍元首相の「核共有」政策を批判する

長崎新聞に『超えてはならない一線だ 「核共有」政策』という社説が掲載された。
『ロシアのウクライナ侵攻を受け、自民党安倍晋三元首相や保守派、日本維新の会から、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」政策を検討すべきだという意見が相次いでいる。「核を持たず、作らず、持ち込ませず」とする国是の非核三原則の見直しを求める声すら出ている。「核を持たなければ国を守れない」という短絡的な思考だ。日本の核武装について議論を求める意見はこれまでも自民党保守派などから上がったこともある。ただ今回は、国民の不安が高まっている国際危機を利用し、核武装容認の気分を高めようとの意図を感じる。小ずるくはないか。安倍氏らは発言を慎むべきだ。
「核共有」は自国の領土内に米国の核兵器を配備し共同運用する政策である。冷戦期の1950年代に、ソ連の脅威に直面する北大西洋条約機構(NATO )で導入された。だが、日本の核配備は抑止力よりも核使用リスクを高める。まず日本が加盟する核不拡散防止条約 (NPT )体制が崩壊しかねない。条約は米中露英仏の五カ国以外の核保有を認めていない。NATO だけでなく日本にも核が広がれば、核拡散の先鞭をつけることになり、世界中で核を持つ国が増える恐れがある。中国や北朝鮮、韓国を刺激し、東アジアの緊張を高めるのも必死だ。日本の核配備は安全保障上の愚策であり、危険度を高める。
安倍氏は核共有について、「議論をタブー視してはならない」と発言している。日本維新の会松井一郎代表は非核三原則を「昭和の価値観」と批判した。
被爆地は、核兵器が一瞬で無差別に命を奪う大量破壊兵器であり、生き残った人も放射線などの後遺障害で傷つけ、苦しめ続ける非人道性を、身をもって知っている。核兵器が使われる世界に人類の未来はない。だからこそ、唯一の戦争被爆国である日本は非核三原則を原理原則とし、国連に毎年、核兵器廃絶決議案を提出している。
「タブーを作らない」「変革する」という言葉は聞こえがいい。だが、どんなに時代が変わろうとも踏み越えてはならない一線がある。非核三原則を見直し、国内に核を配備することは、日本が良心を失ったと世界に宣言することに等しい。
ロシアが核使用を示唆して世界を威嚇する中、日本が訴えるべきなのは、核兵器を決して使ってはならないということだ。核への依存を高めることではない。岸田文雄首相は核共有に関し、「政府として議論することは考えていない」と明言し、非核三原則を堅持する考えを示した。当然のことであり、首相の姿勢を支持する』とあった。 

私も長崎新聞の社説に賛成である。社説で述べている通り、1970年に発行した核兵器不拡散条約 (NPT )は、米中露英仏の5カ国を「核保有国」とし、それ以外の「非核保有国」への核兵器の拡散を防止し、核保有国の核軍縮を進め、原子力の平和利用を促進することを目的とした条約である。締結国は世界のほとんどの国の191カ国に上る。2020年8月現在、北朝鮮、インド、パキスタンイスラエル南スーダンが未加入である。核兵器不拡散条約発行前に「核共有」政策を実施していたドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーは「核保有国」と「非核保有国」の核兵器の移転及び受け入れに違反することになるが、条約発行前ということで「非核保有国」として認められた経緯がある。それを今、NPT条約に違反する「核共有」政策を被爆国日本が主張するなど論外である。世界のほとんどの国々が核なき世界を目指している中、日本がNPT 条約に違反する「核共有」政策を取るなら、国際社会から激しいジャパンバッシングを受けるのは目に見えている。こんな恥ずかしいことを主張する政治家が日本にいること自体が恥ずかしい。


今度のロシアによるウクライナ侵攻で、一番怖いと思ったことは核抑止が抑止にならないということを知ったことである。この数日、プーチン大統領は精神的に大丈夫かというニュースが流れている。核抑止というのは、核攻撃をする国は、必ず、反撃の核攻撃を受けるということが抑止になっている。確かに冷静な判断力からすると、核兵器は相手国に打撃を与える反面、核兵器を使用すると自国も必ず反撃の核兵器の攻撃を受けることになる。そのように考えると、簡単に核兵器は使えない。だからそこに抑止力が生まれる。しかし、プーチンが狂人になった場合はその抑止力は全く危ういということがわかった。原子力発電所を攻撃する。これも核兵器を使用するのと同じだ。狂人にとって核兵器は簡単に使える兵器になってしまう。狂人にとって通常兵器も核兵器も違いはない。狂人にとって世界の滅亡などなんでもないかのようである。ロシアによるウクライナ侵攻はそのようなことが簡単に起こり得るということがわかった。核抑止が効を奏しない今、人類が目指すべきは核廃絶の道しかない。
山口二郎氏が安倍氏の核共有について、「今回のプーチンの侵略と日本の核武装との間に何の関係があるのか。核兵器は安倍のような愚かな政治家に持たせるにはあまりに危険な玩具である」という投稿していたが、私もそう思う。