ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

中野晃一氏講演「改憲の危機と参議院選挙の意義」を聴く

福井総がかりアクションが主催する中野晃一氏の講演を拝聴した。中野晃一氏は上智大学政治学教授である。参議院選挙が7月に予定されているが、この講演は、参議院選挙の意義を知り、野党共闘を含め、いかに戦うべきかという話であった。

私は軽い気持ちで講演を聞き始めたが、中野氏の話を聞いていくうちに、この参議院選挙の結果によっては、日本の未来が取り返しのつかないほど大きく変わる危険性があるということ知って、今度の参議院選挙は立憲野党にとって絶対負けられない選挙だと思った。

しかし、状況はますます野党に不利になっているということも話を聞いてわかった。中野氏は2時間かけて、安倍政権以来の日本の政治の現状と、与党である自民党政権は日本をどのように変えようとしているのかについて丁寧に話された。野党にとって状況は絶望的と思えるほど悪いが、未来の子どもたちに戦争をしない国をつなげていくためには絶望している暇はないと熱を込めて話をされていた。

本題の始めで、中野氏は「黄金の3年間の静かな危機」という話をされた。黄金の3年間という言葉を私は知らなかったが、自民党で使われている政界用語らしい。黄金の3年間というのは、今年7月の参議院選挙で改憲勢力が勝利すると最大2025年までの3年間、衆議院参議院ともに国政選挙がない状況をいうようだ。選挙が近い時に、国民の声を無視した政策を進めると落選運動に繋がるので、無茶なことはできない。しかし、3年間も選挙がなければ、この期間改憲問題に限らず完全ノーチェックの翼賛体制ができてしまう。参議院選挙に勝利したら、この3年間の早めに改憲発議を行い、改憲を成し遂げるという計画で自民党は進んでいるという話であった。

にも関わらず立憲野党はマスコミが煽るなか、希望の党の解党混乱騒ぎが起こったり、連合と国民民主党自民党への接近があったり、立憲民主党野党共闘路線の混迷があったりさまざまな問題が起こっている。さらにロシアによるウクライナ侵攻の衝撃もあった。

自民党に選挙で勝つためには、立憲野党は確実に1人区で勝つ必要がある。そのためにその野党共闘の調整が今行われている。市民連合と立憲野党の政策合意ができて立憲民主党日本共産党社会民主党、れいわ新選組、(国民民主党は不参加)が結集している。併せて、一人区の候補者が勝つだけでなく、比例代表選挙でも野党共闘の各政党がそれぞれ得票を伸ばして当選者を伸ばす必要がある。

2021年の衆議員選挙の投票率は55%であったし、その前の2019年の参議院選挙の投票率は48%であった。日本の国政選挙においては約半数が棄権をしている実態がある。政治に期待を抱かない人、諦めている人、関心を持たない人が約半数いる。その結果、国民の25%しか指示されていない自民党が自分達の利益につながる政治を自由自在に行なっている現状がある。投票率の低下こそが組織票を持つ自民党に勝てない要因の一つである。野党共闘の各政党は政治に期待を抱かない人、諦めている人、関心を持たない人を掘り起こして得票に結びつける運動をしていかねばならない。野党共闘は限られた有権者の取り合いではなく、約半数いる棄権者を投票に結びつけるように呼びかけていく運動である。

日本の有権者である市民の関心は生活と平和である。多くの国民はコロナ禍と物価の高騰で生活がいよいよ苦しくなっている。それらの多くの国民に対して、政府与党は自己責任と自助を強要して、適切に手を差し伸べない。多くの市民は今の与党の政治姿勢に決して満足していない。また、ロシアによるウクライナ侵略は戦争を身近なものとして捉える機会になった。多くの市民がウクライナのことを思い、今まで以上に平和を考え、戦争反対の市民意識が高まっている。そういう中、安倍元首相を始め与党はウクライナ侵略の機会をとらえて、戦争に備えて核武装とか敵基地攻撃能力とかの軍備拡張を主張し、軍事予算の増額をすすめている。また、国を守ろうという国民の防衛意識の盛り上げに努めている。しかし、自民党が言うようにすれば安全な国になるのか大いに疑問がある。

「安全保障のジレンマ」という言葉がある。仮想敵国を想定して武力を増強させると、敵国も脅威を感じてさらに軍備を拡張する、それに対してさらにお互い軍備を増強していくとますます安全になるどころか危険が増す状態になる。これが安全保障のジレンマである。これではいつまでも平和は来ない。一旦戦争が始まればウクライナのような悲惨な状態は避けられない。日本のように全国の海岸線に50機以上の原子力発電所を設置している国はそもそも戦争などできない国である。平和外交でしか日本は生き残れない国である。日本は被爆国でありながら、しかも国民の75%が支持している核兵器禁止条約を批准していない。今まさに、核武装共有の声を上げるのではなく、率先して核兵器禁止条約を批准して、世界の国々とともに核兵器禁止への道を歩んでいくべきである。そのような国民の声はまさしく立憲野党の主張である。ウクライナ戦争を通じて高まる日本国民の反戦意識の高まりをしっかり受け止めて得票につなげていくべきであると述べられていた。

中野氏の講話は理路整然とした内容で、聞きやすく理解しやすいものであった。本当にそうだと思った。曲がりなりにも、この75年間、日本国民が戦争で死ぬこともなく、日本国民が戦争で他国民を殺すこともしてこなかった。これからも平和国家として人を殺したり殺されたりしない国を目指していかねばと思う。しかし、安倍元首相を始めとする与党はそれと真逆の戦争をできる国づくりを目指している。これは絶対見過ごすわけには行かない。微力ながら、私も参議院選挙における立憲野党勝利を目指して賛同者の輪を広げていきたい。