ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を見た

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この映画は、立憲民主党小川淳也議員がはじめて衆議院議員に立候補してから今日までの17年間の記録である。小川淳也氏は東大を卒業後、総務省に就職した。小川氏は総務省で公務員として仕事を続けていきながら、日本には少子高齢化など問題が山積みしているにもかかわらず、政治家は問題に積極的に取り組もうとしていない。今の政治はその職責を全うしていないと考え、32歳の時に、日本の政治を取り戻したいという思いにかられ、そのためには自分が政治家にならざるを得ないと考え、ジバン、カンバン、カバンなしで地元香川選挙区で衆議院議員選挙に立候補した。それが小川氏の政治家としての始まりである。総務省の職員が政党の後押しを得て、政党を地盤として立候補する例はよくあるが、小川氏は、自ら立ち、今こそ自分がやらざるを得ないという思いで立候補した異色の方である。

小川氏に接した方は、日本が抱える問題について、政治家として真剣に取り組む彼の姿を見て彼を応援したいと思う人は多い。彼は政治家として有能であり、人間性においても誠実であり、権力や金銭欲に走る人間でもない。彼に対して、このような人にこそ政治の場で活躍してほしいと思う人は多い。

しかし、彼が政治家を目指して進んできた道は、簡単でも平坦でもなかった。彼の政治家としての高い能力やその人間性については多くの人が認めるところではあるが、選挙ではなかなか勝てなかった。小選挙区ではいつも敗れて、比例復活で当選という厳しい戦いを強いられてきた。

なぜ有能な政治家であっても、誠実な政治家であっても、清貧な政治家であっても選挙に勝てないのかという理由は、彼にはジバン、カンバン、カバンの3バンがないからだと思った。香川1区は小選挙区であり、当選者は1名である。香川1区は、地元有力メディアである四国新聞西日本放送のオーナー一族である地元名士の平井卓也氏の地盤であり、小川氏はいつもその平井氏に負けているのである。(2021年衆議院選挙では平井氏の大臣としての失言問題や接待疑惑などがあり、小川氏が一位当選し、平井氏は比例復活)

日本において、有能な人物が政治に参加できない根本要因にジバン、カンバン、カバン問題がある。この問題は、香川県のみでなく全国の各県において明確に存在する。どんなに有能な意欲を持った人物が政治を志しても、ジバン、カンバン、カバンがないために簡単に当選できない仕組みがある。反面、地元の名士として地元にジバンを持つ国会議員の子供は当然のごとくそのジバンと立派なカンバンとカバンを受け継ぎ、家業として跡を継いでいく。ジバン、カンバン、カバンをを引き継ぐ世襲議員にとって、本来的な政治への熱意・情熱、あるいは能力などを備えているかどうかは問題ではない。たとえ熱意・情熱さらに能力がなくても、ジバン、カンバン、カバンを持つ者は政治家になることができるし、何より政治は金儲けの一番の手段という理由から家業として続けていくことになる。これでは、日本の未来が明るくなるはずがない。

そういう中、福田赳夫元首相の秘書で自民党本部情報局国際部主事を務めた経験を持つ中原義正氏(79)が雑誌のインタビューで次のように怒りを込めて述べていた。
「今の自民党はかつての自民党とは全く違う。とりわけ清和会を潰さない限り、日本の再生はない。今の自民党は、国政選挙で平気で金をばらまき、汚職と疑われても仕方がない議員ばかりだ。今の議員は自分の利益、利権のことしか考えていない。国会で嘘をつくのも当たり前。それなのに内部から何の異論も出てこない。もはや無茶苦茶だ。かつて関わった者、関係者として責任を強く感じている。安倍元首相は中身が何もない。内政も外交も勉強していない。本来は、政治家となるべき素養がない人物と言わざるを得ない」
自民党を育ててきた人物から、このような指摘を受ける自民党政治家は反省してもらいたいと思うと同時に私利私欲の政治家は政治に参加しないで欲しいと思う。

しかし、このような国民の願いは聞いてもらえないのだろうから、私たちはとにかく選挙に行って名家、名門出身の世襲議員落選運動を起こすしかない。自民党の要職を務めておられた中原義正氏は「今の議員は自分の利益、利権のことしか考えていない」と述べていたが、このような議員を育てたのは私たち国民である。無能な政治家と知っていても、地元の名士・名家だからと同調し、何かしらの縁を感じて投票してきた投票姿勢を改めなければと思う。「選挙に出たい人より、出したい人を」という標語が昔あったように思うが、投票の際は、本当にその人を国政に出したいのかをもう一度再確認して投票しようと思う。