ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

『ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~』を見た

HBC 北海道放送が制作したドキュメンタリー番組『ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~』を見た。

番組は、2019年7月15日、札幌市内で第25回参議院議員通常選挙の応援演説をしていた内閣総理大臣安倍晋三に対し野次を飛ばした男女を、北海道警察が拘束、排除した問題と、年金問題に意見するプラカードを、無言で掲げていた女性を排除した問題について、問題提起をしている。また、同様の警察による言論排除行為が、さいたま市においても起こっていることも指摘していた。

カメラは当時の演説会場の様子を克明に捉えていた。「安倍首相が札幌駅前で演説をしている時に、一人の男性は安倍首相が演説している場所から20mほど離れた道路の反対側から「帰れ、安倍やめろ!」と叫ぶと同時に20名ほどの私服警察官が取り囲み、野次を制止し、そのまま拘束して男性をひきづりながらその場から排除する様子がカメラには捉えられていた。そして、男性は演説会場から離れた場所まで排除されていった。男性が「国会だってヤジを飛ばす自由がある。ヤジを飛ばすことは言論の自由だ。何の理由があって私を排除するのか?」などと詰め寄ると、警察官は「あっちの方(演説会場)に行かないで欲しい。首相の演説を聞いている人もいるから」と言う。男性がさらに「声を上げることが迷惑罪になるのですか?拡声器も使っていないのに迷惑になるのですか?」と言うが何も明確な答えはなく、警察官は男性を監視するように張り付いたまま男性から離れず、男性はその演説会場方面へ行くことを阻まれ、二度と演説会場へは行くことはできなかった。
この男性の排除について道議会で答弁に立った道警本部長は「周りとの余計な摩擦やトラブルを避けるためにやった正当な行為である」と言う説明をしていたが、そのようなトラブルが発生している様子もなく、正当な理由もなく突然排除したのが明確で言い逃れの答弁であった。

もう一人の女性は大学生で、黙っていて、今の政治に賛成していると思われたくないので声を上げたと語っていた。その女性は、安倍首相の演説中に「消費税増税反対!」と叫んだ。と同時に7、8名の私服警察官に制止され、そのまま演説会場から排除された。声を上げた女性は二人の私服女性警察官に手を掴まれながら、「声を上げないと約束してよ」と言われながら演説会場から排除されていった。女性が「声を上げることは許可がいるのですか」と警察官に聞くが、警察官は許可はいらないと言う。じゃどうしてと言うと「お願い、あっちの方は行かないで」「ジュース飲もうか、買ってあげるよ」などと見下した言いかたばかりで明確な説明はなかった。

排除された方にはプラカードを掲げた人もいた。「年金100年安心プランどうなった?」と書いたプラカードを無言で持っていた年配の女性はがんの治療中で今後の医療費や年金に感じる不安を伝えにきていた。安倍総理を支持するプラカードをたくさんの人が掲げている中で、安倍総理に都合の悪いプラカードを掲げる彼女の前にだけ数人の私服制服警察官が立ち、そしてそのまま押されるように演説会場から遠ざけられていった。そして、演説会場の安倍首相の目に入らないようにプラカードの前に立ち続けた。警察はそもそもいずれの党派・主義にも偏らず、法律に則り公平・中立の立場をとることが求められているにもかかわらず、このプラカード排除を見ると明らかに警察組織あげて選挙応援をしていると思わざるを得ない。

ロシアのウクライナ侵攻に対して戦争反対の声が全世界から上がっている。私はロシア国民の中にも、戦争反対と考える人はたくさんいると思う。しかし、ロシア国内で戦争反対を叫ぶとすぐに投獄され、生命に危険が及ぶという。ロシア国内では戦争反対の声をあげると身内に不幸が及ぶという。だから、ロシア国内では、自由に戦争反対の声を上げることはできない。今度のロシアのウクライナ侵攻で一番の教訓は、言論の自由がない独裁政権は簡単に戦争に突入することができると言うことである。ロシアみたいなプーチン一派支配の独裁政権では言論の自由はなく国民は誰も戦争を止めることはできないということである。


この貴重な教訓を元に日本の現状を考えると非常に不安になる。日本は大丈夫だろうかと思う。確かに、日本はロシアと違って民主主義国家であり、独裁国家ではない。しかし今、選挙権を行使する人は国民の半数しかいない。それは現政権を白紙委任することと同じであり、それは民主主義国家を手放して、言論の自由を奪う独裁政権誕生に手を貸していることと同じであると気づいてもらいたいと思う。あくまでも国民が主役で国民のための政治をしてもらいたいと思うなら、これ以上言論の自由を奪う現政権に権力を与えるべきではない。むしろ言論の自由を弾圧する現政権から権力を取り戻すために選挙を戦うべきと思う。7月に行われる参議院選挙に勝たなければ言論の自由はますます失われていくのは目に見えている。言論の自由がない国は国民の希望を無視して簡単に戦争へ進んでいく。この教訓を生かすためにも参議院議員選挙では与党の暴走を許してはならない。