ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

憲法記念日に自民党改憲案を考える

日本国憲法は3日、施行から75年を迎えた。岸田文雄首相は同日、憲法改正を求める民間団体が東京都内で開いた集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、緊急時における国会の機能維持や政府の権限強化といった緊急事態条項を創設する改憲について「極めて重要な課題だ」と訴えた。緊急事態条項に関し、新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻をあげ「緊急事態への備えに対する関心が高まっている」とも述べた。また、「自衛隊違憲とする声があることも事実」と語り、自衛隊明記の必要性にも言及した。

 

自民党改憲案の緊急事態条項の創設と自衛隊の明記ついて憲法学者小林節教授は次のように語った。
緊急事態条項の創設について
自民党改憲案に書かれている緊急事態条項は、内閣が宣言すれば、国会から立法権や財産処分権などを取り上げることができてしまうものです。ナチスが独裁のために作った全権委任法に等しい恐ろしいものです。そもそも、現行の憲法には「公共の福祉」を定めた12条などがあるので、法整備で十分に緊急時の備えは可能です。実際に、憲法は国民に財産権を保障しているが、災害時は「災害対策基本法」を根拠に、倒壊した建物や壊れた車などの私有財産を、本人の許諾なしに処分することができるし、衆議院解散中に緊急事態が起こった場合に備え、憲法で『参議院の緊急集会』が定められているので、国会議員の任期の延長も不要です。「いつ終わるかわからない長期的な緊急事態には対応できない」という自民党の主張もあるが、長期間にわたって選挙ができなくなるような事態が具体的にどのようなのか示されることはなく、『壊れた議論』と言わざるを得ません。こうした具体的に想定もされていない“架空の危機”よりも、歴史上にも多数存在する、緊急事態に政府に権限を集中させる法令の悪用によって独裁制が始まるという“現実的な危機”こそ警戒すべきです。ウクライナの戦争に便乗した、乱暴な改憲論に騙されてはいけません』と語った。

また、憲法自衛隊を明記することについても
憲法には、日本の財政をつかさどる財務省も、高等裁判所地方裁判所なども記載されていません。書かれているのは国会、内閣、最高裁という三権分立の“骨格”と、例外的に会計検査院の存在だけです。各省庁や高裁・地裁、自治体などに関しては憲法ではなく、法律に記載されています。防衛省自衛隊も法律に記載されていておかしなことではありません。憲法には各省庁の存在も、それに関連するほとんどの団体の存在についても憲法には記載されておらず、法律で定められています。防衛省自衛隊については「防衛省設置法」「自衛隊法」などがそれにあたり、ほかの省庁同様に不合理や不公平はありません。
また、自衛権についても、『国連憲章』の第51条にもあるとおり、国家は自衛権を有しています。憲法9条は自衛権を制限するものではないため、日本も自衛権を持っていると考えるのが通常の憲法解釈です。現行憲法でも認められていることを改憲してまで、ことさら記載しようとするのは、もはや「改憲」自体が目的化しているといえるのではないか」と語った。

岸田文雄首相のメッセージを受けて、れいわ新選組山本太郎代表は以下のように述べた。
日本国憲法は、一言一句変えてはならない、という立場ではありません。必要あれば、議論すればいい。しかし、その議論をする前提として、現行憲法が守られていることは絶対条件です。憲法25条では、『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』とありますが、その約束はほごにされ続けています。
自民党憲法改憲案の目玉である緊急事態条項の創設は、法律と同じ力を持つルールを、緊急事態時には政令という形で内閣が勝手に作れるようにするということであり、むちゃくちゃ危険です。25年もの間、経済政策をあやまり、労働環境を破壊し、人々の生活や事業の継続を不安定化させた結果、国を衰退させてきた者たちに、事実上の全権委任を許す緊急事態条項は絶対にダメです。国の破壊の総仕上げにしかなりません。間抜けな政治を行ってきたものに、最大のフリーハンドを差し上げる緊急事態条項は絶対に阻止しなければならない代物です。憲法を変えるうんぬんの前に、現行憲法を守れ。さっさと積極財政で、人々の暮らしと事業者を守れ。それ以上でも以下でもありません。」と述べている。

NHKによる世論調査で、今の憲法を改正する必要があると思うかどうかを聞いたところ、「改正する必要がある」が35%、「改正する必要はない」が19%であったという報道があった。調査結果を知って驚いた。自民党は緊急事態条項の創設などデタラメな憲法改正をやろうとしているのに「改正する必要がある」とする人がこれほど多いことに驚いた。改正する必要があると答えた人は、小林教授や山本太郎氏の意見を知った上で自民党改憲案に賛成しているのだろうかと心配になった。小林節教授や山本太郎氏の意見はテレビではなかなか聞けない。このように正論を吐く人はなかなかテレビに出れない。そのような報道規制があるようだ。私もネットサーフィンして小林節教授や山本太郎氏の正論を拝聴して、初めて自民党案の問題点を知ることができた。自民党改憲案はとても賛成できないものとわかった。憲法改正が必要と思う方は、是非小林教授や山本太郎氏にアクセスしてご意見を拝聴されることをお勧めしたい。