ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

脅威は私たちの生活に

長崎新聞のNews論点に社会福祉士の藤田孝典氏が執筆した「脅威は私たちの生活に」というタイトルの意見が掲載された。藤田氏はその中で、戦争の恐怖を利用した、最近の政治家の発言に惑わされないようにと警告していた。

藤田氏の意見を要約する
日本経済新聞社世論調査で、国内総生産(GDP )比で1%程度だった防衛予算の目安を2%以上へ引き上げるべきだとの自民党内の意見に関し、賛成が55%で反対の33%を上回ったというニュースが掲載された。
それとともに、「自分の国を守るために努力をしない国のために、手を差し伸べてくれる国は世界中探したってどこにもない。だからこそ私たちは次の予算ではしっかりと防衛費を増やしていく、その努力をしていかなければならない。国民の命と財産と領土、領海、領空、そして誇りを守っていく、これが政治の最大の責任だ。」と安倍晋三元首相は発言したというニュースも流された。

安倍氏は2012年に首相に再任以降、毎年防衛予算を増額し続けてきた。そして、現在は国内総生産の1%を超えるようになった。それを倍の2%へと考えているようだ。安倍氏は、現在のウクライナ情勢とは関係なく、常に「外敵」の存在を強調しながら、国内外の軍事関連産業に防衛予算をばら撒いてきた。しかし、防衛予算増額を続けることで防衛力が上がり、平和が守られているか疑問である。
外敵の脅威を煽り、戦争を利用して予算増額に奔走する政治家の動向を、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン氏は「惨事便乗型資本主義」と呼んで警鐘を鳴らしている。私たちは冷静に物事を見ていく必要がある。

安倍氏らの背後には戦争によって儲けが膨らむ市場、企業があり、防衛予算による利益を望んでいる人たちがいる。殺人行為に使用する銃やミサイルなどの製造によって利潤を得る人たちがいる。防衛予算増額は支持者である軍事産業への利益誘導である。

いまの日本には軍事産業にばらまく予算を増やす余裕など一切ない、と強調したい。それよりも国民生活の実態をしっかり見てほしい。少子高齢化は深刻で、経済の再生は困難である。今後も子供は減り続け、消滅する市町村も増えていく。保育、教育、住宅、介護など、暮らしを支える予算が足りないため、子どもを産み育てることが難しいのだ。さらに、先進諸国では日本だけが、30年ほど賃金が上がらず、むしろ下がっている。年収200万円以下で働く人たちの貧困、いわゆるワーキングプアも珍しくない。自殺者数は毎年約2万人を数える。要するに、人々の苦しみを緩和する予算が足りないから少子化がますます進んでいくのであり、「外敵」の脅威を感じている場合ではない。むしろ、脅威は私たちの生活の中にある。

今こそ軍事費でなく、福祉費、民生費こそ増額すべきである。自分の国を守るために努力するということは軍事大国になるということではない。現在、我が国が直面している経済の衰退、少子高齢化、消滅自治体、貧困や格差問題など山積みする深刻な国内問題に対して、それらの問題の解決に全力を傾けることではないか。そこにこそ予算を注入すべきではないか。

さらに踏み込んで言えば、いくら防衛予算を増額しても、今の国内政治を続ける限り、30年という長きにわたって国民は疲弊し続け、経済は縮小し、さらなる日本衰退の脅威が迫っているのである。そのような中で彼らのいう「自分の国を守る」とは、もはや、何を言いたいのか、理解が困難である。

これまでに増やしてきた防衛予算を福祉拡充に転用できたら医療費や教育費などの家計負担が大きく減ったはずだ。悔やまれる政治判断の連続だった。貧困や格差の是正を政策の一つに掲げる岸田文雄首相は、同じ過ちを繰り返さないでほしい。」と結ばれていた。

その岸田首相は、外交で活躍する姿を見せて国民の支持率アップに繋げようという思惑なのか、参議院選挙期間中にもかかわらず外遊中である。そして、昨日のニュースでは途上国支援に8.8兆円支出するという声明を出したことが報じられている。それに対して、ネットでは「他国の支援も必要だろうが、自国民の現状も考えてください」という疑問の声があがっていた。安倍元首相は、在任中、国民のために税金を使ってほしいという批判の声を無視して54兆円を外国にばら撒いた。つまり、日本の国家予算の半分を外国にばら撒き、安倍政権において国家が衰退していった。岸田首相も安倍元首相のようにならなければ良いのにと思う。

さらに、昨日のニュースでは、麻生副総裁はロシアが東に攻めてこない保証はないと外敵の危機を煽って、防衛費増額を主張していた。ロシアはウクライナとの戦いで東と西の両面作戦は展開しづらいと言われている中、ロシアが今にも攻めてきそうな話は煽り以外の何者でもない。やはり国内外の軍事産業へ税金を投入したいのは安倍氏と同じなのだろう。こういう好戦的な政治家には日本の政治は任せられない。いや、安倍氏や麻生氏などがリーダーを務める今の自民党には日本の政治は任せられないとつくづく思う。