ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

ジョンソン英首相辞任に思う

2022年4月22日、ロンドン共同発のニュースで、「英首相官邸新型コロナウイルス対策の規制中にパーティーが繰り返された問題で、英下院は4月21日、ジョンソン首相が審議中に故意に虚偽答弁を重ねた疑いがあるとして調査することを決めた。規則違反の事実を一貫して否定してきたにもかかわらず、自身も参加した集まりを巡って罰金処分を受けたことで議会への侮辱だと野党が反発していた。BBC放送によると、首相らが下院を故意に欺いた場合、辞任相当とみなされると政府の指針に定められている。与党保守党内からも首相の辞任を求める声が公然と上がり、調査結果次第では求心力が一段と弱まる可能性がある」と伝えられていた。

そして、7月7日、ジョンソン首相はロンドンの首相官邸で声明を発表し、与党・保守党の党首を辞任して、首相の座からも退くことを明らかにした。ジョンソン首相は、2020年のEUヨーロッパ連合からの離脱や新型コロナウイルスのワクチンの接種などの実績を強調し「世界で最もすばらしい仕事を手放すことがどれほど残念かわかってほしい」と無念さをにじませた。

ジョンソン首相に対しては、これまでに、以下のようなことなどに対して、批判が高まっていた。
新型コロナウイルスの厳しい規制が続く中、首相官邸などでパーティーを行い、下院で虚偽答弁を行ったこと。ジョンソン首相が任命した与党・保守党の幹部が性的なスキャンダルで辞任したこと。さらに、与党幹部の性的なスキャンダルでは、この与党幹部が過去にも同じような問題を起こしていたにもかかわらず、首相が虚偽の説明などをしていたことがわかり、批判がさらに高まっていた。
こうしたことを受けて、7月5日、スナク財務相とジャビド保健相が辞任した。また、6日には、ウェールズ担当相が辞表を提出した。40人を超える政府高官が次々に辞任を表明している。さらに、これまでにおよそ50人の政府高官などがすでに辞任を表明していて、新たに登用できる人材が足りなくなっているとも指摘され、政権運営にも影響が出る事態となっていた。2人の主要な閣僚が辞任に踏み切ったことで、首相を「見限る」動きが一気に広がっていったようだ。


このイギリスのニュースを見て驚いた。ジョンソン首相の辞任のニュースに驚いたわけではない。イギリスでは、首相らが議会を故意に欺いた場合、辞任相当とみなされると政府の指針に定められていることにである。議会で嘘の答弁をすると辞任に値するというのである。議会制民主主義を実りあるものにするには当然と言えば当然である。そして、ジョンソン首相は故意に嘘の答弁をしたことによって、国民の信頼を失い、閣僚の造反を招き辞任会見に追い込まれたことに驚いた。

7月8日、日本では想像できないことが起こってしまった。安倍元首相が銃撃されて死亡するという前代未聞の事件が発生した。全く痛恨の窮みであり、安倍元首相のご冥福をお祈りするしかない。

それに関連して今、テレビでは安倍元首相の礼賛番組が報道されている。確かに素晴らしい部分もあったかもしれないが、安倍元首相が首相として長期政権を担った過去を思い起こすと負の部分も大きかったとあらためて思う。その一つは日本の国会の場で百回以上も嘘の答弁をしたということである。日本国首相が、国会で百回以上も嘘の答弁をしても何も咎められないという負の実績を残したことは、日本の政治に不信感という大きな傷を残したと思う。国会という国権の最高機関で国の唯一の立法機関の場で嘘がまかり通るとしたら、何が真実かわからない、何も信じられないということになるのではないか。この虚偽答弁は、日本国の政治を破壊したといってもいいかもしれない。

安倍首相が兇弾に倒れ、関係者が民主主義への挑戦だとか、民主主義への攻撃とか言っていたが、彼らが語る言葉は虚ろに聞こえる。国会の場で安倍元首相の嘘の答弁を支持したり黙認したりして、民主主義の基本である国会における議論を破壊した者たちが民主主義への挑戦などと軽々しく言わないで欲しいと思った。若者の投票率が低迷していることがいつも問題になるが、嘘やごまかしの答弁がまかり通る国会から、何も期待しないという若者が増えるのは当然であろう。嘘やごまかしの答弁は民主主義の芽を摘むことにほかならない。

日本でも、国会で故意に嘘の答弁をしたら辞任相当というルールを作ってほしいと切に思う。