ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

現役引退か現役続行か

私は現在72歳である。12月の誕生日を迎えると73歳になる。私は、60歳で定年を迎え、その後65歳まで自動延長する形で仕事を続けて来た。65歳以降も、働く意志があれば勤務の継続を認めますと言われ、70歳まで勤務を続けて来た。70歳以降は契約が一年となり、勤務時間も勤務日数も無理のない勤務状況が可能になった。それで一年、一年契約を繰り返し現在に至っている。そして次は73歳を前に、契約の更新時期が来た。72歳の今年は、当初の予定では、会社が忙しい時期だけ勤務につく計画で、年間4〜5ヶ月程度、1日4〜5時間勤務をする予定であったが、コロナのため、高齢者は不要不急の外出を自粛するようにという呼びかけに応じて、その勤務も断って自宅に篭った。最終的に1ヶ月しか勤務しなかった。そう言う中、来年度の契約更新を前に、私は現役続行するかいよいよ現役引退するかを考えた。私は、今年もたいした仕事はしていないし、そろそろ引き時かもしれないと思い現役引退を考えその話をするために会社へ出かけた。

私は会長に会って現役引退を伝えた。会長は私と同じ72歳である。会長がこの会社に入社した一年後に、私もこの会社に入社した。約50年間一緒に仕事をしてきた関係である。会社という組織では上下関係にあるが、何でも気さくに相談できる関係である。私は会長に言った「定年後もこうして長いことお世話になってきましたが、そろそろ潮時かなと思っています。老害で会社にご迷惑をかけないうちに今年限りで辞めたいと思います」と伝えた。そして、「会長も私と同じ72歳になるのだから、無理なさらんように少しゆっくりしてください」と話をした。

 私の話を受けて、会長が、今考えている自分の計画を話してくれた。会長は今、事業を次の世代に引き継ぐために、社長業を後輩に託して、あと片付けの仕事をしているところだと話していた。あと片付けは簡単なものも難しいものもあり、それらを完了するにはあと8年の歳月がいるという話であった。80歳までにしっかり仕上げをして全てのバトンを渡したいと考えていると語っていた。「この仕事は私しかできない。この仕事を残したままでは残された方が大変な負担になる。だから、8年かかるが何とかやり遂げたい」と言ってさらに次のように続けた。「もう若くないし、長丁場なので無理せんようにやっていくつもりだ。寿命が来ればその時点で人生を閉ざすしかないが、寿命はあるが、呆けてしまって何もできないということだけは避けたいと思っている。そのためには、やるべき仕事を続けることがボケないためには1番効果的だと思っている。仕事を続けている限りボケている暇はない。現役を続けることが脳に刺激を与え、一番健康で認知症にもかからないで長生きできる秘訣と思っている」と話していた。会長のバイタリティに接すると楽しくなる。会長はそのようなオーラを持っている。さらに、「君も仕事をした方がボケないために良い。私は80歳まで仕事を続けたいと思っているが、君もできるなら80歳まででも仕事をしたらいい。やるべき仕事を持つことは健康維持のためとても大事だ。70歳過ぎたから無理はできないけど、好きな時間に好きなようにしていいから現役を続けたらいい。社長にそのように言うとくからそうした方がいい」と言ってくれた。

 会長の話を聞いて考えた。高齢者になると行動範囲が狭くなり、社会との接点がだんだんと少なくなってくる。それに伴って、社会的孤立感が生じてくる。孤立感が深まると、高齢者の精神生活に悪影響を及ぼし、さらに活動が消極的になり、そのことが認知症の発症につながることも懸念されている。高齢者になっても孤立感に陥らない生活が求められているわけであるが、1番簡単な解決方法は仕事をすることである。仕事をすることは社会参加することであり、孤立感を克服できる。さらに、自分のやりたい仕事、やり甲斐のある仕事であれば喜びも倍増するし、健康面において精神的にも肉体的にも効果的である。


 私の仕事は、若い人を相手の仕事である。若い人に接する仕事であるから、どちらかというと楽しい仕事である。仕事をすることは社会参加することであるが、私は高齢者になって特に社会参加という意義を強く感じるようになった。仕事を通して、何かしら社会のお役に立っていると思えることは、生きがいであり同時に喜びでもある。それは、高齢者になって特に強く感じられることであった。会長と話をして、考えが変わった。もっと積極的に生きようと思った。せっかく社会参加の機会が有るのだから、無理しない程度に頑張ってみようと思った。来年も現役を続行し、若い人に接しながら脳に刺激を与え、脳の活性化を図っていこうと思った。