ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

電気料金の値上げと原発再稼働について

「ロシアのウクライナ侵攻や円安に伴う燃料価格の高騰が要因。東北、北陸、中国、四国の4電力も値上げ申請の方針で、値上げは計6社に及ぶ見通し。燃料高や円安進行でコストが膨らむ一方、価格転嫁ができず収益が悪化し、出そろった電力10社の2022年9月中間連結決算は9社が純損益で赤字に転落、赤字額は計5000億円を超えた。供給余力も不足しており政府は、今冬に節電要請することを決めた」という電気料金値上げの報道があった。

 その値上げの記者会見を見たジャーナリストの浜田敬子さんは「昨日の東京電力の社長の会見を見ていたら、料金見直しは断腸の思いで、経営合理化をしても追いつけないほど燃料が高騰しているということをおっしゃっていたんですけれども、でも電力の問題というのは、2011年の東日本大震災原発事故からずっと抱えている問題ですよね。その間、どれくらいの経営努力をしてきたのか。国も経産省の幹部のコメントもありますけれど、長い目で中長期的にエネルギー政策、エネルギーの構成を変えてこなかったツケがここに来ているのかなと感じます」と指摘した。そして、「ウクライナ情勢とか円安というのは今起きていることですけれども、この間も大きな投資しないでエネルギーの構成というのは、ずっと火力に頼ってきたわけですよね。それを少しでも組み替えていたらというのはすごく思いますよね。言葉はきついですけど、場当たり的な対応をしてきて、ここに来て料金をここまで上げざるを得ない。結局、消費者がそのツケを払う。財政出動もここまで巨額のものをしてしまう。結局、それも私たちの税金から出ている。原発に回帰することも打ち出していて、この10数年何をやってきたのかなっていうのは今思いますね」と自身の受け止めを述べたという記事が出ていた。

私も、まさに浜田さんがおっしゃる通り、これまでの国や電力会社がやってきた対策に対して大きく疑問を持つ。原発化石燃料に依存するエネルギー政策を改めることなく持続し、再生可能エネルギーに転換しなかった結果がそのまま現れていると確信する。まさに政策の失敗である。再生可能エネルギーに転換していたら燃料費の高騰にこれほど苦しむこともなかったのではと思う。費用問題だけでなく、再生可能エネルギーの産業としての未来は大きく期待できるものであったし、再生可能エネルギー分野において、日本企業は昔は世界をリードする位置に何社もいたけど、今は、再生可能エネルギー分野で世界をリードする日本企業は1社も見られない。日本が世界の再生可能エネルギー社会から取り残されると同時に、日本企業もその分野から脱落していった。誰でもわかるような時代の流れをなぜ日本は間違えたのか。なぜ、再生可能エネルギーに大きく舵を切ることができなかったのか、それは原発を温存すべしという「原発ムラ」の意向に沿ってエネルギー政策が勧められてきたからではないか。再生可能エネルギーに本腰を入れて取り組むと、高くて危険で環境を破壊する原発不要が決定的になるからそれだけは絶対阻止すべきこととして、日本のエネルギー政策はミックスエネルギー政策とかの名前で実行されてきたからである。ミックスエネルギー政策というのはまやかしである。

そのような電気料金値上げラッシュの中、岸田首相は家庭の電気代について、1月から来年度初頭に想定される平均的な料金引上げ額約2割分を国において負担いたしますと値上げ分を国が一部負担することを約束して、いかにもやってる感を演出していたが、電力会社によっては約5割の値上げだからとても追いつかない。また、電力の値上げはすべての商品の値上げに結びつくことであり電力料金値上げの波及を考えると怖いとさえ思う。

そういう中、浜田さんはヨーロッパの国の方とエネルギー問題について話をしたところ、私の国ではほぼ、エネルギー問題は解決済みという返事をもらって驚いたと語っていた。その内容は、ヨーロッパはもう燃料危機を乗り切った、自宅の屋根に太陽光パネルつけた家が急増して、再生可能エネルギーへのシフトがさらに進んだ。蓄電を活用する技術が進み再エネにすごくシフトした。CO2排出量も昨年より減ったという話であった。

日本は、目先の電気料金補助でやり過ごし根本的に何も変えられない。これでは日本に未来はないと思っていたら
次のニュースが報道された。「岸田総理の指示を受けた経済産業省が、総合資源エネルギー調査会原子力小委員会に、『今後の原子力政策の方向性と実現に向けたアクションプラン』の案を示した。その中身は『原発再稼働への総力結集』『既設炉の最大限活用』に加え、『次世代革新炉の開発・建設』という新増設を盛り込んでいることである。福島第一原発事故の教訓を踏まえ、歴代政権は原発建設を封印し、エネルギー基本計画では『可能な限り依存度を低減する』と定めてきた。だが、建て替えを進めれば、原発依存がさらに数十年続く。経産省は、エネルギーの安定供給には原発建設が必要と説明する。だが、実現したとしても十数年以上先で、足元の供給不安や燃料高騰とは、時間軸がまったく異なる。一方、原発に頼り続けることには、安全性や経済性、放射性廃棄物の扱いといった様々な側面で、大きな疑問がある。だが、建て替え案は、そこにはほとんど答えていない」と伝えていた。

原発稼働期限の延長も問題であるし、さらに新増設などもっての外である。狂ったとしか言いようがない今の我が国のエネルギー政策を考えると、暗澹たる気持ちになる。