ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「反撃能力」保有、与党が正式合意のニュースを見て

「自民、公明両党は12月2日、国会内で防衛力強化に関し、実務者によるワーキングチーム(座長・小野寺五典元防衛相)の会合を開き、敵のミサイル基地などを攻撃する「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を認めることで合意した。これを受け、政府は年末までに国家安全保障戦略など3文書に保有を明記する。これまで専守防衛を基本政策として、打撃力を保有してこなかった日本の安保政策の大転換となる。」というニュースを見た。

その「反撃能力」について、「法の番人」とされる内閣法制局のトップを務めた阪田雅裕元内閣法制局長官は次のように語っていた。
憲法9条について、これまでは日本国は専守防衛で、日本を守るための軍備しか持たないと説明してきた。しかし、集団的自衛権、反撃能力と外国に対する攻撃もできるようになると、憲法9条(戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認)が完全に幻になって、規範性がほぼ無くなる。政府は9条が時代遅れで、アジアの安全保障環境から日本も防衛力を増大させないといけないと言うのであれば、正面から9条改正を提起するべきだ。9条の条文はそのままで、中身が変わってもいいとなると立憲主義は立ち行かない。政治はもっと国民に正直に説明しないといけない。
 また、政府は抑止力のために反撃能力保有が必要だと主張しているが、日米同盟で攻撃力は米軍が担うため、専守防衛のわが国は能力を持たないと表明していた。日米安保条約在日米軍の数が変わっていない中で、日本が攻撃力を持つ必要があるとの説明を、政府は十分にしていない。
 さらに、反撃能力を先制攻撃とどう区別するのかという問題がある。相手国の攻撃の着手を見極めることは難しい。専守防衛で、わが国に飛来するものを防ぐというのなら問題はない。しかし、敵基地を攻撃するというのは、まさに先制攻撃と区別できない。戦争だと認識する一種の表明だ。そうなった場合、取り返ししのつかない危険がある。
 また、政府は限定的な集団的自衛権行使の「存立危機事態」でも反撃能力は行使できるとの立場であるが、集団的自衛権の行使は、まさに自国防衛ではない。他国支援、戦争をしている他国への支援だ。反撃とは全く違う。戦争への加担であるなどと述べ、「反撃能力」は憲法9条に反しているし、丁寧に国民に説明すべきと述べていた。

 最近、防衛に関する重大ニュースが次々に流される。11月には、防衛力強化に関する政府の有識者会議(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)が防衛費の安定財源確保に向けて「国民全体の負担」が必要だとして増税を提起する報告書を岸田文雄首相に提出した。5年以内の防衛力強化が欠かせないと強調し、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有と、戦闘継続能力(継戦能力)向上を提言し、先端科学技術の成果や公共インフラの機能を安全保障分野に利用できる官民一体の体制を構築するよう求めた。つまり、国民全体で防衛費をさらに負担すべしという提言であった。この円安不況で国民生活は最低の状態にある中、防衛費を大幅増額しそれを国民が負担すべしとはまさに我が国は専制国家ではないかと思った。

その提言を受けてか、岸田首相は防衛費に関連経費を加えた安全保障関連予算を、2027年度に国内総生産(GDP)比2%とするよう、防衛・財務両大臣に指示した。21年度の防衛費は補正を含めると6兆1千億円で、GDP比は1・09%。2%は約11兆円となり、防衛に資する研究開発や港湾などの公共インフラ整備の費用、海上保安庁予算や恩給費などを算入しても、兆円単位の大幅な増額になるというニュースも流れてきた。

 我が国の政治指導者は日本を戦争できる国にすることに、ことのほか熱心である。今後、アメリカと中国は世界の覇権を巡ってますます対立が深まるといわれている。アジアの国々はその争いが勃発しないように、また代理戦争に巻き込まれないように、自国の安全と保全のためにさまざまな知恵を絞り対処している。しかし、日本だけは、アメリカのために先頭に立って中国と戦いますとアメリカへの忠犬ぶりを示している。アメリカにとって日本ほど都合の良い国はないだろう。防衛費という名目であれば何兆円であっても簡単にお金を出してアメリカの軍需産業のお得意様になってくれるし、もし中国と紛争が勃発しても戦場になるのはアメリカでなく日本であるし、日本は、アメリカのために進んで戦いに身を投じて血を流してくれる国である。これでは日本はウクライナの二の舞を演じようとしているだけではないかと案じる。

 日本は決して戦争などできる国ではないと識者の方が述べていたが、日本の政治指導者は完全に意無視しているようだ。「日本は、原発を沿岸部に多数保有している。戦争になったら、その原発にミサイルを数発打ち込まれたらその時点で日本は絶滅する。だから、日本は戦争なんかできない」と識者の方は述べていた。戦争で原発を攻撃されることはあり得ないと我が国の政治指導者は思っているようだ。別の識者の方は、日本の食糧自給率のことを問題にされていた。「日本の食糧自給率は30%台である。島国である日本が戦争で輸送をストップされたら、日本は餓死者が出る。エネルギーも同様である。餓死者が出る状態で戦争なんかできないから、日本は戦争できる国ではないと断言されておられたが、日本の政治指導者はそう思っていないらしい。
 日本は戦争をしないと決意して、憲法戦争放棄を定めた国である。戦争の危険があるというのであれば、どのようにしたら戦争を避けることができるかだけを一途に考え実行するのみである。なぜなら、日本は戦争できる国ではないし、戦争放棄憲法に定めている国だからである。立憲主義を尊重しない政治家は即刻退場してもらいたい。