ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

「統一教会と改憲・自民党」を読む

 佐高信さんの著書である「統一教会改憲自民党」を読んだ。統一教会問題は真っすぐに、“改憲”ならぬ“壊憲”とつながっている。改憲論者は例外なくと言っていいほど統一教会と関わりがあり、家父長制を求める統一教会自民党改憲案は重なっていると書かれてあった。まさに、改憲論は、統一教会の意を汲むものであり、軍事大国化など絶対踏み出してはいけない道であると思う。

 この本の中には、統一教会改憲というテーマで多くの自民党議員などが俎上に挙げられているが、同時に護憲という立場で多くの著名人の言葉も盛り込まれていた。その中のいくつかを次に記す。

 岸田首相は広島出身で、同じ広島出身の宮澤喜一元首相を尊敬していると話していたが、宮澤氏は護憲思想であり、憲法論争の中で次のように語っている「私の意見は非常に簡単です。我が国はどういう理由であれ外国で武力行使をしてはならない。多国籍なんかでもどんな決議があっても参加することはできないと考える。戦争体験のない人たちが、よその国は皆軍隊を持っているのに日本だけが持っていないのはおかしいじゃないかというが、それはおかしいかもしれません。しかし、日本は軍隊を持っていて過去に大変なしくじりをしてしまったのだから、二度とそういうしくじりをしないために持たない方がいいです。いやもう絶対しくじらないから、もういっぺんも持とうじゃないか、あなたの言うことはあつものに懲りて膾を吹いていると言う人もいるが、そうかもしれない。でもドイツのように賢い国が2度も間違ったのですよ。よく考えてください」と覚悟を決めた深い護憲論を語っている。

憲法9条は世界遺産」という著書もある古賀誠自民党元幹事長は、「国際的な緊張が高まると保守の右の人はいつも改憲論を言うが、核戦争には勝者も敗者もない。全人類が終わりを迎えるわけで、軍拡競争が始まったら戦時に逆戻りだ。外交以外に平和を保てない。平和な国を作り上げるのが政治家の使命だ。9条は再び戦争を行わないと世界の国々へ平和を発信している。これこそ世界遺産だ。一切改正してはだめだ。9条堅持を理想論だという人もいるが、理想論で何が悪い。理想を実現するのが政治の役割」と言い切っている。

 今は、その名が消えたダイエーの創業者中内功氏は、防衛費の突出に神経を尖らせ1982年1月に、時の大蔵大臣に直言した。「日本の防衛費は対GNP 1%未満だと言うけれど、額においては世界有数の軍事力になる。東南アジア諸国はこれを非常な脅威と感じているわけです。日本という国は、自衛権はあるにしても戦争は放棄したんです。財政は危機に瀕しているんだし、国民としては大蔵大臣にバッサバッサと切って頂きたいと思ってるわけです。自民党が圧勝したからといって、急に右寄りの政策を推し進めていくのは、非常に危険だと思う。自民党は勝ったんでなしに、投票すべき政党が他にないから票が集まっただけの話だ。消去法で残っただけのことであって、国民は自民党の政策を積極的に支持したわけではない。兵器産業をもっとを増強しようとかいう意見もあるようだが我々は原点に戻ってもういっぺん考え直すべきところに来ていると思う。それは、真に守るべきものは何か、ということだ。それを根本から考える必要が高まっているのではないか。これが飢えつつ戦って、かろうじて生き延びた私の今の感想だ」と直訴している。40年前も今も同じではないかと思う。

戦争の実態を知る軍人も非戦平和論を唱えていることを知って驚いた。この本では、海軍の水野広徳と陸軍の石原莞爾を挙げていた。熱烈な軍拡論者だった水野は第1次世界大戦の戦中と戦後に欧州を訪れ、総力戦で多くの民間人が犠牲になったのを目の当たりにして、戦争を遮る唯一の道は「国民の良知と勇断とによる軍備の撤廃あるのみ」と主張するようになる。

 一方、世界最終戦争論を唱え満州事変を首謀した石原は、第二次世界大戦後、広島と長崎訪れ、核兵器が出現した以上、人類滅亡を避けるには戦争放棄しかないと憲法9条を支持した。「新憲法において日本は戦争を放棄することになったが、その意義は実に深甚微妙である。日本は自衛権すらも放棄して、ただ世界の正義と良心に訴えるという。今日まではいかにも軍備のない独立はなかったが、今や世界統一の前夜に入り、戦争の絶滅してしまう次の新時代が来るのである。もはや中途半端な軍備は物の役にも立たないし、国際正義感もまた近時大躍進を見ている。我らは心から戦争放棄の偉大な意義を自覚し、身に寸鉄を帯びずしてただ正義に基づいて国を立て、むしろ全世界に対してその進むべき新しい道を示そうとする大覚悟と大抱負を持たなくてはならない」と述べている。他ならぬ石原莞爾が“憲法九条大賛成”と言ってることは忘れてはならないだろうと結ばれていた。

 昔の自民党には、護憲、改憲さまざまな意見があった。まさに多彩な人材を擁するまさに国民政党であったと思う。しかし、今の自民党には単一の考えしか見られない。改憲派の意見しか聞こえてこない。もはや国民政党ではなく、今の自民党はカルト政党であり極右政党でしかない。このような政党に私たちの生命財産を託すわけにはいかない。日本はどんどん壊されていくばかりである。一刻も早く、まともな政治家、政党を育てねばと思う。