ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

タモリ氏の発言から考える

昨年12月28日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出演したタモリ氏が番組の中で、黒柳徹子さんから「来年(2023年)はどんな年になるでしょう」と訊かれると、少し間をおいて「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」と答えたことが話題になった。岸田総理が打ち出した防衛費の増額や敵基地攻撃能力をめぐる議論を引き合いに出し、戦争に前のめりになっている日本を危惧しているのではないかとの意見が相次いだからである。

また、タモリ氏の発言を受けて、タレントのラサール石井氏も雑誌に寄稿して、タモリ氏の発言に同意を示し、次のように述べた。
「『新しい戦前になるんじゃないでしょうか』と即答したタモリさんの言葉にはさまざまなニュアンスが盛り込まれ、今の時代の空気感を表現していて、さすがにタモリさんならではである。『新しい戦前』とは、今生きている日本人がほぼ誰も経験していない『戦前』がもうやって来ている、という意味であり、『このままでは同じ道をたどることになる』という警鐘であることは間違いない。

 敵基地攻撃能力で軍事費増強をめざす日本であるが、各国が軍備を増強して一番得するのは誰か。武器商人である。彼らの中には『戦争が起きて武器が売れるのではない。武器を売るために戦争を起こすのだ』と言う者までいる。抑止力としての軍事力とよく言うが、お互い軍備を増強してパワーゲームを繰り返せば、偶発の戦争の可能性も上がり、むしろ戦争に近づくと思うのは素人考えなのか。いや違うだろう。過去にたくさん実例があるのだから。戦争を国対国や大きな数で考えてはならない。あなたの兄弟が死に、息子が人を殺すのだ。そんなのは真っ平だ。戦争なんか真っ平だ。今年や来年を『新しい戦前』にしてはならない。ずっと『永遠の戦後』を続けなければ」と述べていた。

私も、タモリ氏や石井氏の発言を聞いて、まさに今の日本の状況は、新しい戦前だと思う。平和国家を標榜してきた日本が、大転換して世界第3位の軍事大国化を目指すということは、そのまま、戦争の道を歩むことと同じである。決して大転換すべきではない。石井氏が主張するように、日本は平和国家として「永遠の戦後」を続けるべきだと思う。

昨日、週刊誌を見ていたら、タモリ氏の発言に関連して、吉永小百合さんの発言が取り上げられていた。俳優の吉永小百合さんが、元旦の新聞にインタビューで「時代戻らないか心配」と語っていたというのである。記事は、これも「新しい戦前」を語っているではないかと書かれていた。記事の中で、吉永さんは、自身にとって師匠のような存在という作家の半藤一利氏の言葉「ずっと戦後であってほしい」「戦争だけは絶対に始めてはいけない」を紹介し、「戦争は兵隊だけじゃなくて、一般の市民がたくさん犠牲になります。ロシアのウクライナ侵攻でも、それを改めて感じました。さらに、怖いのは、昨年末、サッカーのワールドカップ(W杯)で日本中が沸き返っていた時期に、敵基地攻撃能力や防衛費増額という大変な問題を、みんなで考えるんじゃなく、どんどん決めていこうとした動きです」と語っていた。吉永さんは「みんなで考えるんじゃなく、どんどん決めていこうとした動き」を真っ先に警戒していたようだ。

吉永さんとタモリ氏は同じ1945年生まれである。同じ世代のふたりが期せずして今を語る際に「戦前」を口にしていた事実には注目せざるを得ない。

さらに、昨日、YouTubeで討論番組を見ていたら、元法政大学総長である田中優子氏は現在は1931年(昭和6年)に始まった満州事変前後に似ていると語っていた。その理由について、現在の学術会議任命拒否事件は当時の言論弾圧事件を想起させるものを感じると語っていた。田中優子氏も今を「新しい戦前」と感じているのだと思った。

いろんな年輩者が、今を「新しい戦前」と感じて警告しているのだと思っていたら、昨年の紅白歌合戦でも、年輩者グループが戦争反対の警告をしていたことを知って驚いた。それは桑田佳祐さんが呼びかけて結成された、桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎 による「時代遅れのRock’n’Roll Band」である。桑田佳祐さんが同級生に呼びかけてつくった現在66歳のメンバーによるオールドバンドである。
そのオールドが歌った「時代遅れのRock’n’Roll Band」は平和主義満載であった。今はそんな呑気な時代ではない。現実を見ろ。そんなお花畑みたいな奴は消えろと言われているかのような時代の空気に抗して、オールドと言われようが化石と言われようが平和主義の主張はやめないという姿勢を示したのが「時代遅れのRock’n’Roll Band」である。これも新しい戦前を意識したものだと思った。この歌詞をいつでも味わいたい。

この頃「平和」という文字が 朧げに霞んで見えるんだ 意味さえ虚ろに響く
世の中を嘆くその前に 知らないそぶりをする前に 素直に声を上げたらいい
旅路の果ては空遠く まだ夢叶わずに 回り道を繰り返して

One Day Someday いつの間にか ドラマみたいに時代は変わったよ
目の前の出来事を 共に受け止めて 歌え Rock’n’Roll Band!!

我々が居なくなったって この世の日常は何ひとつ 変わりはしないだろう
そんなちっぽけな者同士 お互いのイイとこ持ち寄って 明日に向かって
Twist and Shout, C’mon!! …Shake It Up, Baby!!

子供の命を全力で 大人が守ること それが自由という名の誇りさ
No More No War 悲しみの 黒い雲が地球を覆うけど

力の弱い者が 夢見ることさえ 拒むと言うのか?
One Day Someday  いつになれば 矛盾だらけの競争(レース)は終わるんだろう?
この世に大切な ひとりひとりが居て 歌え Rock’n’Roll Band!!  闇を照らす ダサい Rock’n’Roll Band!!

私もこの歌を死ぬまで歌い続けたいと思う。