ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

提言「戦争ではなく平和の準備を」読む

「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」という提言は、昨年12月16日、憲法学者ら15人の有志による「平和構想提言会議」が、政府が閣議決定した外交・防衛の指針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書に関し、現行憲法では認められないような内容が盛り込まれているとして、対案と位置付ける提言を公表したものである。この中では「いま日本は平和主義の道を歩みつづけるのか、アジア近隣諸国との対立と紛争への道に進むのか、その分岐点に立っている。敵基地攻撃能力の保有をはじめとする一連の政策は、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との関係を悪化させ、軍拡競争を助長する極めて危険なものである」などと述べている。そのうえで、軍事的な抑止力に依存するのではなく、一人ひとりが平和に生きる権利を保障する日本国憲法の原則に立ち返るべきだとして、▽東アジアにおける安全保障環境の改善に向けて、外交的な取り組みを強化することや、▽攻撃的な兵器を保持しない原則を明確化することなどを訴えていたものである。

昨年発表されたとき、私も新聞誌上でそのニュースを知ったが、その内容については詳しく見ていなかった。今回、ネット上に、提言「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」の全文と、発表時の記者会見の配信動画を拝見した。日本の良識のある人々が意見を持ち寄ってまとめられた「平和構想」提言である。この提言を読み、この提言通りに日本は進むべきだと思った。武力による抑止ではなく、この提言で述べている平和の準備こそ必要であると確信した。多くの人に読んでもらいたい提言である。

日本は現在、台湾有事に備えて日本防衛のためと言いながら、軍備増強になりふり構わず取り組んでいる。敵基地攻撃能力の保持のためミサイル基地を南西諸島に建設中である。そのような軍事力に傾斜した「戦争の準備」ではなく、戦争を避けるためには「平和の準備」こそ進めるべきと言うことで各分野において様々な提言が行われた。また、朝鮮半島と中国関係の両地域については次の提言がなされていた。
朝鮮半島
1  朝鮮半島の平和と非核化に向けた過去の合意(2002 年日朝平壌宣言、2005 年 6 者会合共同声明、 2018 年南北合意と米朝合意など)の履行に向けた外交交渉を再開させること。
2  朝鮮戦争休戦 70 年(2023年7月)を機に、朝鮮戦争を完全に終結させ、平和条約の締結をめざすこと。 朝鮮戦争終結させることは東アジアの安全保障環境を根本的に改善し、いわゆる朝鮮国連軍(米軍) を支援してきた日本の政策も変えるものである。
3  北東アジア非核兵器地帯の設立に向けた交渉を開始すること。
4  韓国との間の元徴用工問題については、日本の植民地支配が問題の根源であることを直視し、過去の被害をふまえた解決策を探ること。

日中関係
1  中国への「敵視」政策を停止すること。中国を「脅威」と認定することは、敵視することに他ならな い。日中国交正常化の共同声明、日中平和友好条約を再確認すべきである。安倍元首相は 2018 年の 訪中で「お互いに脅威にならない」ことで習近平国家主席と合意している。その再確認が必要である。
2  首脳レベル相互訪問の早期再開に合意すること。林外相は速やかに訪中を実現し、相互訪問実現にむ けた環境整備に着手すべきである。
3 「台湾独立を支持しない」と表明すること。これは日中国交正常化の共同声明とこれまでの日本政府 の一貫した立場に従うものである。バイデン米大統領も2022年11 月 14 日の習氏との首脳会談で「台湾 独立を支持しない、二つの中国、一中一台を支持しない」ことをあらためて誓約しており、日本も同様の表明をおこなうべきである。そのことが中国に安心を与え、台湾海峡の緊張緩和につながる。
4  これら中国との信頼醸成・緊張緩和の措置をとることは、環境問題や人権問題について「譲歩」する ことを意味しない。環境問題や人権問題については、国連や国際法の枠組みの中で積極的に議論と交 渉を進めていく。
5  日中間の安全保障対話を進め、緊急時に防衛当局間をつなぐホットラインを開設すること。こうした チャネルを通じて、中国の軍事力強化の意図を正確に分析・認識することが重要である。
6  日中間の軍縮・軍備管理対話を促進し、相互的な軍縮・軍備管理措置を追求すること

以上を両地域において提言している。

国が傾くような莫大な予算を投入して軍拡競争に明け暮れるほど日本国に余裕はない。先進国と言われる国々の中で、唯一20年以上経済成長してない国が日本だそうだ。もはや先進国と呼ぶのも憚られるほど産業も低迷し国際競争力も著しく低下しているようだ。これも自民党政権の無策の結果である。その上、日本を戦争へと引き摺り込もうとしている。平和の準備に邁進する政党を早く樹立しなければと思う。

多くの人に平和構想提言会議による「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」を読んでもらいたいと思う。