ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

女性識者12人の声

通販生活のウエブサイトで「自分が攻められない限り攻撃しない──戦後77年間守り続けてきた『専守防衛』の国是を本当に捨てるつもりですか?私は敵基地攻撃能力の保有に反対です」というタイトルで、女性識者12人の声が掲載されていた。

上原公子さん(元国立市長)
こちらが武器を増やせばあちらも増やし、いたちごっこになるだけです。日本が「米国の盾」になるために岸田首相は5年間で国防費を倍増させると言うが、その原資はもちろん我々の血税。加えて介護保険利用料の値上げや健康保険の負担増など、「金のかかる年寄りや弱い者は早く死ね」とばかりの絞り取り様だ。一方で岸田政権は「異次元の少子化対策」を掲げているが、保育士の勤務の過酷さなど現場が抱える深刻な問題は置き去りのまま。庶民の暮しの現実を無視した「富国強兵」「産めよ増やせよ」の過去の号令が聞こえてきそうだ。
 こちらが武器を増やせばあちらも増やし、いたちごっこになるだけ。そしてロシアのウクライナ侵攻を見ても明らかなことは、武器を増やせばその数だけ軍人だけでなく市民の骸が累々と重なる。「過去に眼を閉ざす者は現在にも盲目となり、未来にも同じ過ちを犯すだろう」ドイツのヴァイツゼッカー元大統領の敗戦40年目の演説である。4月の統一地方選挙では、過去に学ばない政権に対して国民がNOを突きつけ、民主主義を取り戻さなければならない。

落合恵子さん(作家)
戦争をとめるためなら、「愛国心のない危険人物だ」と私は喜んで呼ばれよう。ヒトラー政権で2番手と言われたヘルマン・ゲーリングは戦後、米軍の心理分析官に国民を戦争に参加させることはとても簡単だとうそぶいた。「……国民はいつだって支配者の意のままだ。自分たちが外国から攻撃されていると言うだけでいい。平和を唱える者に対しては、彼らは愛国心が欠如した危険な人物だと非難すればいい」民意はこうして「つくられて」きて、今もつくられつつある。戦争をとめるためなら、「愛国心のない危険人物だ」と、私は喜んで呼ばれよう。

田中優子さん(法政大学名誉教授・前総長)
日本が敵基地攻撃能力の保持を表明したことで、中国はそれを上回る攻撃能力の準備を開始したことでしょう。軍事力の急激な増強は戦争の開始を意味するのです。想定された「敵」はより大きな武装をし、エスカレートさせていきます。そうなると核抑止力はもはや効力を持ちません。
 恐ろしいことに、日本は武力以外の準備をしていません。食料自給率を上げることもせず、国民の避難の方法も考えず、攻撃された場合の医療体制も整えず、最も悲惨な結果につながる原発への攻撃可能性に至っては、防御と停止を考えるどころか再稼働と新設を言い始めました。この武装に賛成するならば、日本はウクライナ以上に悲惨な体験をします。アメリカ軍は兵士も武器も送りません。すでに武器を大量に購入しているので、「自分で何とかしろ」と言うだけでしょう。私たちの選択肢は「全力で外交努力をすることで戦争を回避する」以外に無いのです。「戦争反対!」の声をあげるべき時に来てしまいました。

中島京子さん(作家)
食料自給率の低い日本では、戦争で物流が止まれば多くが飢え死にします。日本の食料自給率は38%と非常に低く、基本、輸入に頼っている。戦争が起こって、物流が止まれば、食べるものがなくなる。敵のミサイルなんかなくても、多くが飢え死にする。戦争に備えよというならば、まず食料自給率を上げなければならない。それから、沿岸部にずらりと並んだ原発をぜんぶ止めて廃炉にしなければならない。原発にミサイルを撃ち込まれたら、日本列島はおしまいだ。政府はそういうことをなんにも言わない。食料自給率を上げ、原発廃炉にするのに何十年かかるか。少なくともその間は、日本は戦争なんかできない。ぜったいにしてはならない。飢えと被爆死を招き寄せるわけにはいかない。
 米中に自重を促し、東アジアの国々と連携して平和を構築する以外に、日本に未来はない。前世紀の遺物であるトマホークなんか高い金で買わされて、敵基地攻撃ができれば国が守れると思ってるなんて、それこそ頭の中が「お花畑」としか言いようがない。

三上智恵さん(映画監督)
 中国の主要都市を射程に入れる敵基地攻撃兵器の配備を一手に担う沖縄は集中攻撃される島になってしまう。反撃力を持つことは抑止力か?その「抑止力」は少なくとも南西諸島にある発射台を、標的に差し出す前提で成立する「抑止力」だということ。それを証拠に各島々では自衛隊司令部の地下化、空港・港の軍事拡張、シェルター建設に続々と予算がついてさながら戦前だ。沖縄戦再来を黙殺する「抑止力」を本気で求めるつもりかと問いたい。

安田菜津紀さん(フォトジャーナリスト)
 日本に対して「どこも攻撃をしない国」「戦争から復興を遂げた平和な国」として信頼を寄せる声にも取材を通して触れてきました。世界に積み上げてきたこの信頼を、政府は自らの手で粉々に砕こうとしています。武力による恫喝や暴力に頼らず、対話を投げ出さないよう、最後まで知恵を絞るのが本来、政治の役割でしょう。けれども、権力は真逆の方向に突き進もうとしています。おかしいことには「おかしい」と伝える――そんな市民からの声が、最大の歯止めになるはずです。

山本章子さん(琉球大学社会学部准教授)
 ウクライナがロシア領土を攻撃しないのは、ロシアが核攻撃などを正当化する口実を与えないためである。軍事力で勝るロシア、北朝鮮、中国に囲まれている日本こそ自制的な安全保障政策をとる必要がある。

他、上野千鶴子さん(東京大学名誉教授)、加藤陽子さん(東京大学大学院教授)、斎藤美奈子さん(文芸評論家)、澤地久枝さん(作家)、浜矩子さん(同志社大学大学院教授)などが声を寄せている。

十二名の女性識者のご意見に私も賛成である。現在、国会で安全保障政策について議論が行われているが、岸田首相は軍拡は戦争抑止力を強化するための政策であって、戦争準備ではないと説明している。しかし、全国の自衛隊基地や司令部を核攻撃や科学兵器攻撃にも耐えうるような地下化などの建築工事が秘密裏に進められていることも今国会で明らかになっている。日本全土が火の海になっても、国民の生命は守らないが戦争司令部は要塞化しても戦う準備は着実に進めているようだ。狂った政府は選挙で引き摺り下ろすしかない。