ノーモア沖縄戦の会共同代表山城博治さんの話を聞いた。山城さんが語る沖縄の現場の話は、本土では想像できないものであった。
日本の軍事国家体制 中国は台湾侵攻する意思はない。これは明確です。しかし、日本では、中国が台湾を侵攻するぞと煽り、台湾有事は日本有事と言って、日本は戦時体制に移っている。敵基地攻撃能力さえ準備しているのだから、平和憲法である日本国憲法は、今はなきに等しい状況と言っても良い。戦争の脅威はないのに、脅威を煽り、今では日本は軍事国家体制に作り変えられている。これは、アメリカが希望する体制である。
このようにいつ台湾有事が起こってもいい体制を整えているのに、中国が台湾侵攻しなければ、米軍も台湾に介入できないし、米軍が介入しなければ当然日本も介入できない。そうなると何も起こらないと言う話になる。しかし、何も起きないというのはアメリカにとって一番まずい選択である。アメリカは、ロシアがウクライナ侵攻したように、中国も台湾に侵攻して欲しいと思っている。中国の台湾侵攻に合わせて、日本も参戦して日本から中国本土へミサイル攻撃をする。中国も日本にミサイルの反撃をする。お互いミサイルを撃ち続け、中国も日本も疲弊し、壊滅していくと言うシナリオがアメリカが1番望んでいることである。そのアメリカは必ず有事を起こさせるために、台湾に画策して、台湾独立を宣言させるということをやりかねない。私は一番それを恐れている。台湾独立の動きがあれば中国は武力侵攻してもそれを阻止すると言っているので、台湾が独立宣言したら、中国は黙っていない。その中国による台湾侵攻をとらえて、アメリカは日本に参戦を促し、ミサイル攻撃を指示する。そしてミサイルの撃ち合いが拡大して戦争が拡大するというシナリオこそアメリカが望んでいることである。
南西諸島の町長などの声
台湾有事で戦場になると名指しされた与那国島、石垣島、宮古島の町長の声が新聞に掲載されている。地元の町長は防衛力は当然必要と語り、自衛隊が港や空港を使うのは抑止力だから当然であると言う。また、島民に対して、有事が不安と思うのであれば島から出ていって良い。その時は町が補助金を出すと言う話まで出ている。しかし、現実問題として、今住んでいる島以外に生活のあてもなく、住むあてもない島民が出て行っても良いと言われても１０万円の補助金をもらって出ていけるはずがないし、出て行く人はいない。実際ドンパチが始まったら逃げるしかないだろうが、簡単に出ていける話ではない。無責任な話としか言いようがない。
那覇市の避難訓練
先日は那覇市で、那覇市長が有事の避難訓練を実施した。有事を想定して那覇市民を市役所の地下に避難させる訓練を実施した。サイレンが鳴り響く中、市役所の地下に避難した住民は怖い怖いを連発していた。この避難訓練の様子は新聞・ラジオ・テレビで報道されて、多くの住民が有事避難訓練の実施を知った。この報道を見た沖縄県民は有事は確実に近づいてきているということを実感する。報道した役所は、現実にそのような危険が近づいていることを住民の皆さん理解して、協力してくださいと言うことを訴えている。沖縄では戦争避難訓練が実施される状況にまで来ている。しかし、実際問題として、戦争が勃発した時にミサイルが雨霰の如く撃ち込まれるのに、避難訓練など役に立たないと言う声もあがっている。だからといって150万人の沖縄県民が避難できる場所はどこにもない。いま、沖縄で言われていることは、沖縄県民もウクライナ市民と同じように人間の盾に使われるのだといわれている。有事で沖縄にミサイルが撃ち込まれ、それによって多くの住民がミサイルの餌食になって死亡する。それを日本政府は宣伝をして、中国のミサイル攻撃で多くの市民が死んでいる。中国はロシアと同じようにひどい国だと宣伝に使われるのだと言われている。逃げる場所はないから、本当にそうなるのだろうと思う。
沖縄では戦争の現実を目前にして、住民の生命財産を守るためには、避難訓練ではない、軍事力の強化でもない、戦争を止めることに全力をあげて取り組むよう国に強く発信せよと言う声が上がっている。
反戦運動潰し 沖縄に住む人間として、戦争反対を強く主張する。そうすると、あの人間は中国の回し者だ、スパイだ、お前は国のために死ぬ覚悟はあるのかなどと罵詈雑言だけでなく、ネットでの誹謗中傷はやまない。反戦運動潰しの動きが横行していることに大きな懸念を抱いている。
無関心層の増加
沖縄有事の話をすると「残念だけど山城さん！私の周りでは、戦争が起きるような話は全く聞かない。だから、関心がないのよ」と言う人がいる。確かに報道されないから知らない人も多いのもわかる。しかし、あなたが無関心だから無関心のままに、済ませることができればいい。しかし、このことは無関心では済まされない。米軍は台湾有事が始まったら、米軍は台湾に介入する。米軍が介入したら、中国は真っ先に沖縄本島の嘉手納弾薬庫をミサイル攻撃をする。嘉手納弾薬庫がミサイル攻撃されたら沖縄が吹き飛ぶほどの大爆発を起こす。そして沖縄中が戦場になって恐ろしい状況がテレビで放映されるだろう。そうなったら、日本本土の米軍基地である横田、厚木、岩国、三沢などの米軍基地からも自衛隊基地からも出撃するだろう。もし、出撃しないで、沖縄が玉砕した時点で、ここで戦争を終わろうと手打ちするのであれば、沖縄は日本に残っている意味はないと言うことになる。こんな日本とおさらばするしかないということになる。おそらくそういうことにはならんでしょう。反撃もするでしょう。そうせざるを得ないでしょう。日本はありとあらゆる武器を持って中国と戦えというのがアメリカの方針だから簡単に収めることはできない。台湾有事は沖縄だけでなく日本列島全てが戦場となるのだから日本人である限り無関心であり得ない。
山城さんの話を聞いて全く同感である。アメリカの戦争にアメリカ軍の2軍みたいに使われ、さらに日本全体が戦場になる中国との戦争など絶対始めてはならない。そうならないために、中国の回し者と言われてもどんな罵詈雑言を浴びても戦争反対を訴えていく。
