長崎市民の森は長崎の南東部にある森林公園である。森林公園内には運動広場やキャンプ場なども整備されており、また野鳥の森や昆虫の森などのエリアも作られレクレーションや自然観察に利用されている公園である。今日は風が強いので山登りを諦め、市民の森の遊歩道を歩こうと思ってやってきた。公園内の運動広場の横の駐車場に車を停めて、ここから烏帽子岩まで往復150分の予定で山歩きを開始する。
スタートしてすぐに、昆虫の森の展望台への案内を見つけ展望台へ行くことにした。これから90mほどの標高差を登っていく。道は整備されていて歩きやすい。90mくらい簡単と思って登ってきたが、何度も立ち止まり小休止しながら展望台に到着。しかし、ここからの展望は利かない。周りの樹木が大きくなり視界を遮っている。展望を楽しみに登ってきたのに残念。
展望台で呼吸を整えて、次はキャンプ広場の方へ降りていく。キャンプ広場の前を通るが人がいる気配がない。そして、掲示板に休場中と大きく書かれている。キャンプ広場は現在休業中で営業していないようだ。もっと暖かくなると営業を再開するのだろう。
キャンプ広場を過ぎて次は野鳥の森へ行く。野鳥の森の入り口に野鳥観察小屋という案内が立ててある。その案内に従って林の中に入っていく。しばらく進むと丸太でできた観察小屋があった。中に入って小鳥の様子を伺う。小鳥の声は聞こえるが目の前に小鳥は来ない。今日は風が強く、とても小鳥がゆっくり飛べるような日ではない。おそらく、風が強いので林の中で身を潜めているのだろうと思う。この小屋の中から小鳥を観察するのは面白いと思った。風のない日にまた来たい。
次に、橘翔(キッショウ)大展望台へ行くつもりで展望台入口に立つ標柱の写真を撮っていると、高齢男性が、「すいませんが、力を貸して下さい」と私に声をかけてきた。「どうしましたか？」と尋ねると、「友人を待っているが戻って来ない」と言う。「友人と二人で市民の森を散歩していて、この橘翔展望台でお昼を食べようと思い、私が先に展望台に着きました。しかし、風が強いので今日のお昼は場所を変えようと思い、ここまで戻って来て、後から来た友人に伝えました。友人は一度展望台まで行って戻ってくるというので、私は写真を撮りながら待つけど、その友人が戻って来ない。だから、一緒に探してください」ということだった。この入り口から展望台までは150mほどの道のりである。その方は友人が展望台から何かの間違いで転落したのではないだろうかと心配しているようだった。
その方と一緒に展望台までの150mの道のりを友人の名前を呼びながら探して回ったが反応はない。携帯に電話しましたかと尋ねると、友人はガラケーで電波が届かないと言って、山では使わないと言っていた。もちろんその友人からの着信もないということだった。30分ほど探し回ったが見つからない。あなたが、写真を撮っている間に友人もあなたに気づかずに通り過ぎたことは考えられませんか？と尋ねるが、「多分そのようなことはないと思います」という。展望台近辺を探したが見つからず、転落したような跡もないことから、携帯の連絡もできないので友人も出発点に戻っているかもしれませんから一度出発点にもどってみましょうかと行って戻っていたら、20分ほど歩いたところで、道端に座り込んでいる友人を見つけた。その友人も男性とはぐれて連絡手段もなく途方にくれて、もしかしたら、ここを通るかもしれないと思いながらここで待っていたようだ。友人は展望台からすぐ戻り、先を行く男性に追いつこうと先を急いでいたため、男性が写真を撮っているのに気づかなかったようだ。山では、いろんなことが起こり得る。でも、事故や病気などでなくて良かったと一安心して別れた。
1時間ほど寄り道したが、橘翔大展望台からの眺めは眼下に茂木港が見え、また南東には海の向こうに天草の島々が見える絶景を楽しむことができる。
そして、アップダウンを繰り返しながら、目的地の烏帽子岩に到着。烏帽子岩の展望は眼下に天草灘が広がる絶景である。ここの景色もなかなか良い。しかし、雲行きが怪しくなってきた。風もますます強くなっている。烏帽子岩に真っ直ぐ立って景色を見ると風で飛ばされそうで怖い。早々に退散することを決め下山を開始する。
今日の市民の森散歩では満開のツツジに出会えた。市民の森は桜の園公園もあり、桜の季節も楽しみだが、これからは市民の森はツツジで飾られるようだ。市民の森は季節季節にいろんな花に包まれるのが良い。今日の天気は崩れそうでゆっくりできなかったが、天気のいい日にまた来たいと思う。
