小学校2年生の孫君が夏休みで長崎に遊びに来た。孫は鉄道フアンである。孫の希望するJR九州の旅に同行して久しぶりにJRの旅を楽しんだ。
8月8日、午前8時44分長崎発の新幹線かもめ12号に乗車する。車内はほぼ満員の状態である。定刻に発車してすぐにトンネルに入る。新幹線は静かで揺れが少ない。快適に進む。
9時8分に定刻通り終点武雄駅に到着。24分の長崎新幹線の旅はここで終わる。博多まで新幹線が繋がると一挙に長崎から北海道まで新幹線の旅が実現するが、現在のところ武雄までしか開通していない。博多に行くには武雄駅で反対ホームに停車している特急リレーかもめ12号に接続する。接続時間3分、慌ただしくリレーかもめ12号に乗り換える。新幹線かもめはまっ白な車体であったが、リレーかもめは黒い車体である。私たちはリレーかもめ12号で鳥栖まで行く。
鳥栖駅で、今日の待望の列車第一弾「ゆふいんの森3号」に乗車する。特急「ゆふいんの森」は博多別府間を走る観光列車である。観光案内やビューポイントでは撮影のため減速運転するなど人気のある列車である。また車体はハイデッカー構造で座席が運転席の上に作られているので、先頭車両では運転席の頭越しに景色を眺めることができる。もちろん先頭車両の人気は高く、発売と同時に完売するそうだ。幸い、先頭車両の第一列目をゲットできたので存分に景色を楽しむことができた。
大分に到着。大分駅には鶏と金の卵のオブジェが置かれていた。オブジェの説明がないのでどのようないわれがあるのがわからなかったが、聞くところによると大分は九州で一番最初に夜が明ける土地で、「時は金なり」という意味で金の卵が置かれているようだ。大分はとり天や唐揚げが美味しい土地だからそれに関係あるのかなと思ったが関係ないようだ。あくまでも「時は金なり」の意味らしい。大分滞在時間は2時間である。駅前のタクシーに写真映えのする観光地巡りをお願いした。運転手さんは大分城址公園、大友氏館跡公園、柞原八幡宮を回ってくれた。
今日の待望列車の第二弾は、大分15時23分発熊本行きの「あそぼーい」である。列車の名前には、「阿蘇」と「遊ぼう」の二つの意味が込められていて、乗るだけでワクワクする人気の観光列車である。「あそぼーい」の先頭車両は二階建て構造でパノラマシートが設けられている。パノラマシートでは阿蘇の雄大な景色を存分に楽しめる設計になっている。人気シートで予約が難しいと言われていたが、幸いにも、パノラマシートの一列目をゲットできた。
「あそぼーい」は定刻に大分を出発して快適に進んでいく。途中、列車が豊後竹田を過ぎた頃、突然、アイアイフォーンから緊急地震速報が鳴り響いた。見ると、16時43分宮崎県日向灘でマグニチュード7.1の地震発生とある。しかし、「あそぼーい」は平常運転で阿蘇目指してどんどん登っていく。「あそぼーい」は海沿いの大分から海抜700mの阿蘇高原まで登っていく高原列車である。最高度地点を過ぎて列車は熊本方面へ降りていく。急勾配のためスイッチバックをしながら熊本へ18時27分定刻に無事到着した。
熊本駅で「あそぼーい」を下車した後は、次は19時02分発の新幹線さくら404号で新鳥栖へ行く。発車まで少し時間があるので、駅弁やお土産を買って改札口の方へ戻って行くと、改札口は急に大混雑となり前に進めない。駅のアナウンスが「地震のため鹿児島新幹線が現在運転停止中です。それに伴い新幹線ホームへの入場を停止しています。再開までしばらくお待ちくださ」とアナウンスを繰り返していた。
30分待って、発車時刻の19時02分を過ぎたけど鹿児島新幹線は不通のままである。いつ復旧するかわからないので、今日は熊本泊になることも頭をよぎったが、1時間ほどして、一部運行を再開しますというアナウンスがあった。運行再開した新幹線博多行きに飛び乗り新鳥栖へ向かう。地震の影響で車内は満員で立ったまま乗る。新鳥栖駅に到着したが予定していた列車はすでに発車した後であった。新鳥栖駅で長崎行きの予約を取り直す。幸い、次の列車に座席の空きがありリレーかもめ55号と新幹線かもめ55号の予約が取れた。最終的に、長崎での到着時間は33分遅れて、21時34分に到着した。
孫君と行くJR九州の旅は待望の「ゆふいんの森」と「あそぼーい」の二つの観光列車を楽しめたのは良かった。しかも、どちらも最前列のパノラマシートを楽しめたのはラッキーであった。さらに、今回は予期しない地震による運行停止など貴重な体験となった。いつも計画通り、時間通りの生活をしていて、それが当たり前と思っていたが、必ずしもそうではないことを思い知らされた。幸い、今回は、すぐに復旧したから事なきを得たが、いろんなことが起こることも常に考えなければと改めて思う旅となった。