今年、私は運転免許証の更新をしなければならない。私の誕生日は12月だが、6月に高齢者講習通知書というハガキが送られてきた。そのハガキを読むと、「このハガキを受け取ったら、すぐに自動車学校に連絡して高齢者講習の予約をとってください。高齢者講習の予約が混雑してすぐに取れないことがありますから注意してください」と書かれていた。私は、ハガキを受け取った翌日に、自動車学校に予約の電話を入れた。その自動車学校では、6月時点で、1番早くて8月末の高齢者講習の予約を受け付けていた。私は、8月末に予約をとってもらった。
先日、高齢者講習の予定日がきて、私は自動車学校に行った。カウンターに行き「高齢者講習に来ました」と言うと、窓口の係の方は「ロビーのソファーに座って待っててください。担当者が来て名前を呼びますから、そのあとは担当者の指示に従って行動してください」と言われて担当者を待った。ロビーには数名の高齢者講習受講者が椅子に座って待っている。私も同じように椅子に座って待つ。私は今年の誕生日を迎えると75歳になる。高齢者講習は70歳から受講しなければならないが、75歳以上になるとさらに厳しくなるようだ。
担当者が来て、名前を呼ばれて高齢者講習受講者6名が高齢者講習の教室に案内され、そこで、担当者から今日の講習の内容とスケジュールについて説明を受けた。75歳以上の高齢者講習は、認知機能検査がまず行われ、合格点をとった人のみが高齢者講習を受講する流れである。もし認知機能検査に不合格になった場合は、公安委員会が指定する医師の診断又は主治医の診断を受けて認知症でないという診断書を提出しなければならなくなる。その診断書を提出しない限り、認知症と診断され、現在の運転免許証は取り消し処分になるということであった。この認知機能検査が75歳以上の高齢者に新たに求められた課題である。
今日の講習の1番目の課題は、認知機能検査である。始まる前に担当者から詳しく丁寧に検査について説明があった。この検査は厳格に行います。私の指示に従って全て行います。指示がないのに、勝手にテキストを開いたり、指示がないのに書き始めたりしないでください。時間を測って検査を行います。私が鉛筆を持ってと言ったら、すぐに鉛筆を持ってください。鉛筆を置いてと言ったら作業途中でもすぐに鉛筆を置いてください。担当者の指示なしに鉛筆を持ったり、テキストのページをめくったりしないでください。全て指示に従ってやってくださいと念を押して説明が行われた。それから、認知機能検査が担当者の指示に従って行われた。
内容は「今からイラストを見てもらいます。これらのイラストの名前を覚えてください。あとでその名前を書いてもらいますからしっかり覚えといてください」と言われて16枚のイラストを見ていく。その後、他の作業をした後に、「先ほどのイラストの名前を書いてくだい」といわれるが、思うように思い出せない。時間ギリギリまで絞るようにして思い出すが全部を思い出すことはできなかった。
そのような作業をしながら認知機能検査は終了した。受講者は全員75歳以上で最高年齢は87歳の方もおられた。みんな今の検査は難しかったという感想を述べていた。検査結果はしばらくして発表された。「100点満点で合格点は36点以上です。今日の受講者は全員36点以上で合格です」と発表があった。その発表を受けて、次の課題の視力の検査と運転実習が行われた。視力検査と運転実習は合否に直接関係ないので、受講者のみなさんはリラックスして受講していたようだ。
講習が修了して担当者からの話があった。「認知機能検査は全員36点以上で合格でした。今日の受講者の中では36点ギリギリ合格の人もいれば高得点で合格の人もいました。合格点も幅が広い状況でした。皆さんは自分の運転について、大丈夫と思えば運転免許を更新するし、無理しないほうがいいと思えば運転免許を返上するでしょう。これは自己評価です。皆さんは自己評価で判断することも可能です。今日、私は、皆さんの運転を一人一人見せてもらって、一人一人にアドバイスをさせていただきました。これは他人評価です。運転は控えたほうがいいでしょうというアドバイスを受けた方は自己評価だけでなく、他人評価も参考にしていただきたいと思います。また、高齢者の皆さんの運転については、社会は常に高齢者の認知症を疑っていることをしっかり自覚しといてください。これから交通違反をすると、高齢者は認知症で交通違反をしたのではないかと疑われます。だから、違反をした高齢者は次の更新時に運転技能検査を受けなければなりません。この運転技能検査はなかなか難しいです。これからも違反も事故もしないよう慎重に運転を続けてください」と話があった。
前回の高齢者講習の実習は、3人グループによる講習で一台に3人が同乗して、交代で運転をしながらお互いの運転を観察し、他人の運転を見ることも勉強みたいな要素があったが、今回の運転実習では一人一人行われた。他の受講者の運転を見たりアドバイスを聞くことはなかった。これは個人情報の観点からやり方が変わったようだ。また、高齢者が交通違反をすると、それだけで次の更新時に運転技能検査が行われるというように変わったようだ。高齢者の運転に対する世間の厳しい目を感じる。
私は、今回の高齢者講習では、認知機能検査は合格し、視力検査もなんとか合格し、運転実習も特別な注意のアドバイスはなかった。今回は運転免許を更新しようと思う。そして、更新後は、高齢者の運転に対する厳しい社会の目を意識して交通違反を絶対しないように、交通事故を絶対起こさないように、慎重に運転していきたいと思う。