朝、起きて窓を開けると今日もいい天気である。9月になり、早朝の風は涼しさが感じられるようになった。9月の俳句会の兼題は「秋日和」である。「秋日和」の俳句を作るには絶好の秋晴れの朝である。早朝散歩しながら俳句作りに取り組むことにした。
スタート地点は香焼町シンボルパークである。シンボルパークには「愛と平和の像」と造船の町香焼のシンボルとして錨が設置されている。今日はここをスタートして、まず南西方向に進んで行く。空は高く澄んでいる。まさに秋晴れをさす「秋日和」である。
歩道沿って進んでいくと、歩道の壁に大きな銅板画が設置されて、そこには「らっかせいがほしかったキツネ」「丹馬のたぬき」などの香焼の民話が描かれていた。ここは小学校の通学路である。子供達はいつもこの民話を読みながら通学しているのだろう。
反対側の歩道の壁にはペーロンのオブジェが設置されている。香焼は昔からペーロンが盛んな町である。しかし、残念ながら少子化のためこの伝統行事の維持も難しくなってきているようだ。淋しい限りである。
さらに、歩道に沿って進んでいくと「祈平和」と書かれた石碑が建っている。ここは79年前まで、戦時捕虜収容のための俘虜収容所跡地であった場所である。アジア太平洋戦争中、東南アジア各地から送られたオランダ、イギリス、アメリカ、オーストラリアの兵士など1500人余りが捕虜として収容され造船所での労働に従事させられ、解放されるまで73名の方が亡くなられたと案内板に書かれている。香焼町の戦争遺跡である。
海が見えてきた。「秋日和」の海は穏やかで静かである。柔らかい日差しを受けながら歩いて行く。爽やかな風が吹き気持ちが良い。
漁港の岸壁から下を覗くと小さい魚の群れを見つけた。しばらくその群れを目で追っていたら良型の魚も一緒に泳いでいる。網でもあれば簡単に掬える感じである。魚さんも秋晴れを楽しんでいるような感じである。
深堀教会へ向かう。深堀教会の敷地にはアコウの巨木が立っている。深堀散歩には必ずこのアコウの巨木を見るのを楽しみにしている。秋空に聳える姿はいつにも増して頼もしくみえる。
秋日和アコウの大樹悠々と
江戸時代、この地を支配したのは佐賀藩家老深堀鍋島家であった。その関係で、深堀町には武家屋敷跡がある。この石塀は武家屋敷跡の名残である。
深堀町の武家屋敷跡を通って、出発点の香焼町シンボルパークへ戻る。
俳句については、途中感じたことをメモしながら歩いてきた。
秋日和注ぐ日差しの心地よさ
秋日和潮は静かに流れをり
秋日和釣り人一人時過ごす
師匠の批評を楽しみにしたい。