ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

11月の句会に参加

 今回の兼題は「茶の花」であった。私は「茶の花」を実際に見たことがなかった。ネットで茶の花の写真を見て俳句作りにとりくんだが、実物を見ていないせいか、なかなか思うようにイメージが湧かず兼題句は作れなかった。私は今回は「秋雨」で作った句を投句した。

私の今回の投句は以下の三句である。俳句会ではどの句も選句してもらえなかった。そして講師より講評をいただき訂正をしていただいた。
①カラス鳴き船溜りには秋の雨
②秋雨に濡れし遊具は音もなく
③秋雨にそよとブランコ揺れ動く

①カラス鳴き船溜りには秋の雨
先生は、この句は誰からも選句されていませんが、悪くない句です。松尾芭蕉の句に、枯れ枝に烏とまりたるや秋の暮れ、という句があります。秋の暮れの寂寥感を表した句ですが、この「カラス鳴き船溜りには秋の雨」の句も芭蕉の句に通底するものを感じます。ただし、誰も選句しなかったのは理由があります。俳句ではカタカナはできるだけ使わない方がいいでしょう。カタカナ語は和風でなくなり厭われます。
訂正句「鴉泣く船溜りには秋の雨」

秋雨に濡れし遊具は音もなく
この句の遊具は今、雨で濡れているのですか、それとも濡れていたが今は乾いているのですかと尋ねられた。今も濡れている状態を詠みましたと言うと、濡れしより濡れたるの方がいいでしょう。遊具という言葉ではなくもっと具体的なものがあれば公園なのか園庭なのか想像できてもっと良かったかもしれませんとアドバイスをもらった。俳句には写実性それもリアリティーが求められるようだ。
訂正句「秋雨に濡れたる遊具音もなく」

秋雨にそよとブランコ揺れ動く
この句は二重季語になります。ブランコは春の季語です。どうしても秋にブランコを使いたければ以下に訂正しましょう。
訂正句「風そよと秋のブランコ揺らしけり」

今日の句会での一番の優秀作は次の句であった
茶の花の蕊に陽の色日の匂い
この句が今日の最高得点を得た句である。この句を選句したすべての皆さんが「陽の色日の匂い」という言葉がとても良くて、茶の花の黄色い蕊を表現したこの言葉に惹かれたと仰っていた。この言葉に茶の花の良さが一点に凝縮されているような言葉だと私も思った。

私が選句した句については以下のとおりであった。先生から私がその句を選句した理由を聞かれ、先生から句について質問を受けてその説明を受けた。
①茶の花や香りほのかにお茶の席
この句の香りは何の香りと思いましたかと問われて、茶の花の香りと思いましたと私は答えた。この句の香りは茶の花なのか、茶席のお茶の香りなのか、はたまた、茶席のお香の香りなのか判然としません。この句には主体が茶の花とお茶の席の二つあります。主体は一つ、一点集中で作ってください。そうしないと焦点がぼやけ俳句が霞みます。香りの主が何なのか明確になるように句作した方がいいでしょう。
訂正句 茶の席にほのかに香るお茶の花

②蓑虫の憂さのなきごと揺れており
この句をどのように解釈しましたかと問われて、私は、蓑虫が憂鬱なことなど何もないブランコを楽しんでいるような様子を詠んだ句であると思いましたと答えた。しかし、他の人は、憂鬱な泣き事で蓑虫が揺れ動いている苦しみを詠んだ句であると思ったと答えていた。私とは、全く逆の意味に解釈する方もいた。作者本人に意図を尋ねたら、憂鬱のない状態を詠んだという事であった。それを受けて先生から、俳句を作る時はできるだけ意図が正しく伝わるように作ってください。漢字を使うと俳句の雰囲気が固くなるということもありますが、漢字は表意文字ですから上手に活用してくださいというアドバイスがあった。
添削句 蓑虫の憂さの無きごと揺れており

児らが遊ぶ校庭の隅石蕗の花
この句は、児童が遊ぶ校庭の隅っこに咲いている石蕗の花を詠んだ句で小学校の様子がイメージできるいい句だと思った。この句は子供達の賑やかな声が響く校庭とその隅でひっそりと咲く石蕗の花とを対照にして石蕗の花の特徴を引き出している句である。先生はこの句について、上六はがを除いて上五の児ら遊ぶでいいでしょう。児ら遊ぶ校庭の隅石蕗の花 この句はこれでいいのですが、この句は動と静を対照にして静を浮き彫りにする形ですが、静の中で静を浮き彫りにすることもできます。訂正句 児ら帰り校庭の隅石蕗の花

今回、私は投句の期限が迫っていたので、秋雨の中散歩しながら作った俳句を投句して参加した。俳句を作ったその時はいい句ができたと思っていたが、先生から失敗の理由の説明を受けると、なるほどと全て納得できることばかりである。今回も失敗作から多くのものを学ぶことができた。俳句会は自分が投句した句を見直すことも勉強になるが、選句に参加することも大変勉強になる。これからも学んでいきたい。