ばってん爺じのブログ

年を重ねても、尚好奇心旺盛な長崎の爺じの雑感日記。長崎の話題を始め、見た事、感じた事、感動した事などを発信。ばってん爺じのばってんはバツイチではなく長崎の方言

句会に参加 2

 11月の2回目の句会が行われた。今回の兼題は冬麗(ふゆうらら、とうれい)であった。冬麗は冬の晴れた日を表す言葉で冬晴れ、冬日和、寒晴れ、と同義語である。冬の晴天で風があれば寒いが、風がなければ麗らかな好天の日をさす冬の季語である。
私は今回、次の三句を投句した
①旅人の歩みは軽し冬うらら
②服持ちてキャリケース引く冬麗
③冬うらら日向(ひなた)に立ちてバスを待つ 

 私が参加する句会では、句会に参加すると、15名の会員が事前に各自3句投句した合計45の俳句が印刷された用紙をもらう。その用紙には、1番から45番まで番号をつけられ、無記名でランダムに並べられた俳句が印刷されている。そして句会が始まる前に20〜30分かけて各自がその用紙の中の俳句の中から良いと思う俳句を5句選句し、さらに、その中から特選句を1句選句する。そして句会が始まると、順番に自分の選句した5句と特選句とした1句を発表していく。
 選句は15名の会員が5句選句するので合計75点になり、特選句は15名の会員が1句を選ぶので合計15点となる。句会では自作句が点数を多く取ることができるか否かが競われることになる。点数を多く取れば嬉しいし、それを励みに句会に参加している方も多い。私も同様である。互選結果発表後、最後に先生から各句について批評をしてもらう形で句会は進んでいく。時には、私たちの選句で高得点を取った俳句が先生から問題点を指摘されることもある。投句、選句、そして先生からの批評この三つの流れを経ながら俳句を学んでいる。

 今回、私の句についての選句の結果は①は1点、②は0点、③は1点であった。今回の句会での最高得点は6点が最高であった。10点以上を取る句も珍しいことではないので、今回の句会は点数がばらけた結果となった。また、私の俳句の得点が0点や1点しかとれなかったことについては、私の今の実力を示す結果と納得した。

私の句についての、先生の批評は次のとおりであった。
①旅人の歩みは軽し冬うらら
この句の、歩みは軽し(あゆみはかるし)は、足取り軽し(あしどりかろし)に変えた方がいいでしょう。歩みより足取りの方がこの句に的確だと思います。「かろやかなあしどり」というような使い方をしますから、“かろし”と読ませてください。

②服持ちてキャリケース引く冬麗
キャリケースはキャリーケース引くにすると中八の字余りになるのでキャリケースと中七にしたのでしょうが、言葉の省略としては無理があります。引くの動詞を使わないで作句したらどうでしょうか。
「服は手にキャリーケースや冬うらら」この方が無理なく意味が通じると思います。

③冬うらら日向(ひなた)に立ちてバスを待つ
この句は素直な句で良いと思います。夏は日向を避けてバスを待ちますが、冬の季節になると逆に日向で日向ぼっこをしながらバスを待つことがよくあります。冬うららの日常がよく伝わる句ですとこの句だけは1点しか得点しなかったが褒めていただいた

次に、今回私が選句した句について先生から説明を受けた
途中下車ローカル駅は冬うらら
私はこの句を、暖かい冬の日差しに誘われて、ふと途中下車した時の気持ちを詠んだ句だと思った。そして、作者の意図もそのような気持ちだとおっしゃっていた。

先生はこの句を次のように訂正された。「冬うららローカル線の途中下車」確かにローカル駅をローカル線に変えると、その駅だけが冬うららではなくその沿線全体が冬うららとなりその方が説得力があると納得した。

パン生地をこねる午後二時冬うらら
私はパン作りを以前したことがある。パンを作る時は空気を抜くためパンパン叩いたり、こねたりして夢中になって取り組んだことがある。それを思い出しながらこの句を選句した。

この句について先生は次のように訂正した。「パン生地をこねて午後二時冬うらら」パン作りを楽しんでいる様子を詠むのであれば“こねる”を“こねて”に変えたほうがいいでしょう。パン作りに一生懸命になっているといつの間にか二時になっているという気持ちを表すには「こねる」より「こねて」のほうが効果的です。より楽しい雰囲気が伝わります。助詞の使い方には気をつけてくださいと指摘された。

病室でともに語りて冬うらら
私はこの句を、患者同士が冬うららの一日、病室で仲良く話をしている様子を想像して選句した。作者の意図も同じであったが、先生は次のように指摘された。この句の欠点は「病室で」の「で」が使われていることです。俳句は「で」を嫌います。理由は悪い響きもありますが、「で」は説明調になることから嫌います。できるだけ使わないようにしましょう。「病室にともに語りて冬うらら」使うなら「で」より「に」がましです。といって次の句に訂正された。「同病の話の合うて冬うらら」

 私の自作句についての低得点は力不足だから仕方のないことと納得するが、私が良い句だと思って選句した句も必ずしも高得点ではない。これは先生が指摘された欠点を他の皆さんはわかっていて選句しなかった結果と理解することもできる。投句も選句も俳句の力がないとできないようだ。俳句の力は「俳筋力」と言いますと夏井いつきさんが以前おっしゃっていた。その俳筋力は続けることで養われるともおっしゃっていた。めげないで続けていきたいと思う。