
この本は安倍晋三政権から裏金自民党政権までの悪行が書かれていた。日本の長期低迷のきっかけを作った安倍政権から以後、日本は長期低落のスパイラルに落ち入ったままである。昨年は、国内で米が買えないという事態になったが、今年は、風邪薬がないという事態になっている。テレビで識者の解説を聞くと、毎年、薬の薬価基準の引き下げが行われており、製薬会社は利益に見合った生産しかしないためにこのような状況が生まれているという。予算を投入して、薬業界に補助しなければ解決しないというような話であった。国民が苦しんでいる問題の根本原因は全て予算不足にあるようだ。そして、いつも予算を確保するために国民に負担を求めるという図式になる。
しかし、予算がないというが、日本の国民の税負担率は国際的に見て著しく低いのかというとそうではないだろう。では、どうして国民生活に予算を回すことができないのかというと答えは簡単である。突拍子もない防衛費に税金を使っているからである。そのことがこの本には具体的に次のように書かれていた。
「2021年の自民党総裁選において高市早苗議員が、安倍元首相の指示を受けて、唐突に防衛費をこれまでの2倍にして、対GDP(国内総生産)比2%にすると主張した。それを受けて、2022年の岸田内閣による防衛3文書策定によって突拍子もない主張と言われていたものが現実のものになった。2倍になった防衛費は全く無意味と言うべきもので、この2倍になった防衛費はアメリカの軍産複合体とそれに巣くう政治家や経済人を潤すだけのものであった。
戦後、日本の防衛費はこの時までGDP比1%であった。それがなぜ、突然、2倍に跳ね上がったかは、日本の首相・安倍と、アメリカの大統領・トランプとの関係によって生まれたものである。第二次安倍政権以来、アメリカからの高額兵器購入が続いた。F35や、イージス・アショアなどの高額兵器の購買だけでなく、安倍・トランプの日米体制が続く間に兵器購入の仕方自体が変わっていった。
通常の兵器購入の商取引であれば、アメリカの軍需企業から日本政府が直接購入することになるが、安倍・トランプの間でFMS(有償軍事援助)と呼ばれる契約に変わっていった。この契約ではアメリカ側の「言い値」での取引になってしまい、通常の商取引の2倍から3倍の価格になってしまうようになった。
安倍政権や菅政権を無批判に引き継いだ岸田政権では、2023年度の防衛省当初予算案で、アメリカからの FMS方式による契約額は過去最高の1兆4768億円となった。このFMS購入額は突出しており、さすがに会計検査院も 問題視した。
簡単に言ってしまうと、安倍晋三がFMS方式でアメリカの高額兵器を買い続けてきたために日本の防衛費が足りなくなってしまったのだ。それで、安倍とトランプの間で日本の防衛費を2倍にしようという話になったというわけだ。
防衛費を2倍にして具体的にどうするのか。具体的には、日本が反撃能力を持つことだと説明されている。その第一の手段はトマホークだという。しかし、このトマホーク、中国内陸部には届かず、マッハ1も出ない 。トマホーク発射後に出発した自衛隊機のジェット戦闘機に追い抜かれてしまう。これでどうやって反撃能力なのか。トマホークはレイセオン社の巡航ミサイルだが、1960年代設計で日本以外では今や誰も相手にしていない兵器である。これを2000億円以上で500発買う。アメリカ軍需企業にとって日本ほどありがたい在庫処理のマーケット、顧客は存在しない。
そして、この防衛費2倍、5年間で43兆円というとてつもない防衛予算を国民に理解させるために、「台湾有事は日本有事だ」という発言を安倍元首相は行った。安倍にとってはこの発言は不用意でも何でもなく、その反対に用意周到な発言だった。日本の周辺で安全保障環境の変化がなければ防衛費2倍はあまり不自然となるために、中国の台湾武力侵攻という「神話」を利用した。アメリカの軍事研究所もこれに協力して台湾有事の際のシミュレーションを発表した。
しかし、現実問題として中国の台湾武力侵攻はありえない。中国の台湾統一のシナリオは長期的、経済的なもので、武力侵攻の選択肢はない。ただ一つ、台湾が独立を目指す時だけに武力侵攻の選択肢を残しているが、それは現実的にありえない」と書かれていた。
防衛費2倍というのは、私たちの税金が安倍からトランプへの朝貢外交のため大盤振る舞いされたものである。この大盤振る舞いでアメリカの絶対的な支持を得て、安倍氏は日本での地位を確実なものにしたようだ。まさに安倍晋三元首相はこの著書が指摘する日本を壊した政治家の先頭に立つものである。安倍元首相は亡くなったが、その系譜は確実に受け継がれている。そして、今もその系列の政治家が「今だけ金だけ自分だけ」という安倍精神で日本の政治を進めている。安倍につながる政治家を一掃をしないと日本の未来はないと改めて思う。