
長崎の冬の風物詩である「長崎ランタンフェスティバル」が1月29日から2月12日まで行われた。今年のランタンフェスティバルの期間中は寒波が来たり、雨に見舞われたり天候がすぐれない日が多くあった。そういう中、私は貴重な晴れ間の夜にランタンフェスティバル巡りの散歩を楽しんだ。


市内中心部は混雑していて、駐車場はいつも満車で駐車できないという話を聞いていたので、中心部から少し離れた場所に車を駐車して、行きは歩きながら祭りを楽しみ、帰りは電車を使って戻る予定で歩き始める。時間は夜7時、快晴、気温五度。風なし。防寒対策で寒くはない。対岸の稲佐山のテレビ塔はランタンモードなのか赤を基調とした照明になっている。また、この辺りの会場へ続く道路はランタンが飾られ、ランタンムードを盛り上げている。


今日の散歩の最初の目的地である湊公園会場に近づくと、爆竹や鐘や太鼓の音が聞こえてきた。そして、そのリズムはまさに絶頂に達しようとしている。急いで会場に駆け込むと今まさに蛇踊りが会場に入っていく瞬間であった。この迫力が大好きだ。この音を聞いたら走り出さずにはいられない。大観衆の中で一緒に蛇踊りの五穀豊穣の願いに溢れた熱い舞を楽しんだ。


港公園会場の近くに、江戸時代、中国の人々が住んでいた地域である唐人屋敷跡がある。そこには中国の人たちがお祀りするために建てた観音堂や天后堂や土神堂や福建会館が今も残されている。その一つの土神堂に行く。土神堂には新年の幸せを祈る赤い蝋燭がたくさん灯されていた。あの蛇踊りも本来はこの地で始まったものである。


中心からちょっと離れた唐人屋敷は静かな佇まいであったが、主会場に近い新地中華街の方へ戻っていくと通れないくらいの大変な混雑であった。そこを通るのは諦めて回り道をして銅座側のほとりに来るとピンクの提灯が飾られている。ここのピンクのランタンを見るのも楽しみの一つである。


銅座川のランタン眺めながらアーケードの方へ進んでいく。アーケード商店街もこの時期紅いランタン一色に飾られ歩くだけでも楽しくなる。そして、今年のランタンで賑わったという月下老人のオブジェの前を通る。「月下老人」は運命の二人の足首を赤い糸で結ぶ、中国の縁結びの神様らしい。今年の長崎ランタンフェスティバルでは、特製の「赤い糸のお守り」を購入して月下老人の傍らにしっかりと結びつけて運命の人との出会いを祈願するのが若者に人気のようだ。私も若い時だったらやっていたかもしれないと思いながら通り過ぎる。


アーケード商店街を通り抜けて眼鏡橋会場まで来た。眼鏡橋が架かる中島川は黄色のランタンで飾られている。眼鏡橋は唐僧の黙子如定(もくすにょじょう)が仮設した日本最古の唐風石橋である。中国風の眼鏡橋には中国のお正月である春節のランタンがよく似合う。


左の虎肅風生(こしょうふうしょう)は「虎が吼えれば激しい風が起こる」という意味の言葉で、優れた才能や技術を持つ人が機会を得て奮起するという喩えを表す新年の吉祥図である。右の九鯉化龍(ジュウリイファーロン)は登竜門を登る鯉を描いた吉祥図である。三段にも連なった高い滝を登り切った鯉だけが、悟りを開いて龍になるという


左の諸猪如意(つうすうるーい)の猪は豚のことである。豚は全身宝であり、豊年収穫の富のシンボルであり、また子をたくさん産むことから子孫繁栄を表す吉祥図である。また、右の九羊啓泰(きゅうようけいたい)は群れをなす羊は、家族の安泰を示し、末長く平和に暮らすことを意味している。


15,000個のランタンが輝き、また町中の至る所に大型ランタンオブジェが置かれ、温かい光に包まれた町中を観光客に混じって散歩をした。眼鏡橋では子供連れの観光客の方から「写真を撮ってください」とお願いされた。県外からの観光客も結構多いようだ。予定通り会場巡りを終え、帰りは最寄りの電停から電車に乗って戻ることにした。人々の笑い声や楽しんでいる声を聞きながらの散歩は、冬道であるが身も心も暖かくなった。今年もランタンフェスティバルの夜の散歩を楽しむことができた。いつまでもこの楽しみを続けたいと思う。
旧正に灯りと音の乱舞見る