内田樹先生が「兵庫県政を正常に戻す会」県民集会で話をされたのを聞いた。兵庫県政は今、大変な混乱状態に陥っている。その混乱のために県政の正常な運営が滞るようなことも起こっているようである。そのような状況の中で、兵庫県民が「県政を正常に戻す会」を立ち上げ、内田樹先生も県民の1人としてその会に参加されて話をされたようだ。兵庫県政の混乱は、斎藤元彦県知事によるパワハラ及び公益通報者保護法違反に発するものであるが、内田先生がどのような意見をいうのだろうと興味を持って拝聴した。
内田先生は以下のような話をされた。「私は31年兵庫に住んでいる。はっきり、申し上げて今まではあんまり県政に関心がなかったし、あまり注意を払っていなかった。私は、今までは井戸前知事にしても議員の方にしても任せっぱなしにしてきた。それで特別、県政において問題点を感じることはなかった。いわば、今までは惰性かもしれないが、ひとつの流れの中で県政が行われていたという思いがあった。
しかし、私は斎藤元彦知事になって、これは問題だと考えるようになった。斎藤県知事になって劇的な変化が起こったと思った。斎藤知事が兵庫県政において何か大きな仕事をしたというわけではない。
斎藤県知事は県政を混乱させるほどの政策的な大きな仕事に着手したわけでもないのに、彼が今日に至るこれほどの問題を起こしたのは、斉藤知事が組織をいじったためである。斎藤元彦知事は組織マネジメント原理主義者である。組織マネジメント原理主義者という言葉は、橋下徹氏が大阪府知事時代に行った組織管理について使われた言葉である。
元橋下徹大阪府知事が府知事時代に教育基本条例というものを作って、卒業式で君が代を歌うよう義務付けた。そして、君が代を歌わない教職員を校長にチェックをするように指示した。そして、君が代を歌わない教職員には懲戒免職という懲罰を与えることを実施した。記者会見で、教育基本条例は思想信条の自由、言論の自由に関わることになり問題だと追求されたが、元橋下徹府知事は言下に、「これは業務命令です。卒業式で君が代を歌えと上司である市長が部下である教職員に業務命令を出した。歌わんかったら業務命令違反になる。これはイデオロギーでも、政治とも何も関係ないことです。単なる組織マネジメントの問題です」と答えた。これが組織マネジメント原理主義者の考え方である。
本来、国旗に礼をするかしないか、君が代を歌うか歌わないかは、その人個人にとって重要な問題である。その人にとって、国民と国家がどのように向き合うかという個人の思考に関わる重要な問題である。民主主義においては、強制されるべきことではなく、国民一人一人が自分で考えて決めてくださいとしているものである。良い政治がおこなわれ、良い国であれば、いつまでもこのような良い国が続いてほしいと誰だって願うだろう。そのような国であれば、誰だって国旗を見れば思わず礼をしたくなる、国歌が演奏されれば思わず歌いたくなるだろう。市民社会においては、国旗国家問題は、個人が国家と国民の関係を考える一つの大きな課題とすべきものであるにもかかわらず、それを、単なる業務命令違反という軽微な問題にすり替えて統治しようとするのが組織マネジメント原理主義者のやりである。
組織マネジメント原理主義は、組織が1人のリーダの下に集中して効率的に行動することが最大の力を発揮するという考え方であり、異論を認めず、排除する考え方である。日本が成長できないのは日本の組織がそのような形態になっていないからであるという主張をしてきた。これは安倍晋三元首相も同じ考え方であった。安倍晋三元首相は日本の組織を全て株式会社化しようと考えていた。行政であろうがメディアであろうが教育、学問何であろうが株式会社みたいにトップの指示に全員が従う、反対するものは業務命令違反で処罰するという形にする。学術会議問題は学者の異論、反論は認めないという内閣の意向に従うトップダウンの組織作りを目指す組織マネジメント原理主義の押し付けであった。橋下徹元大阪府知事や安倍晋三元首相などが推し進めてきた組織マネジメント原理主義者の結果は成長するどころか、没落する日本という現状になった。日本は革新が起こらない30年間停滞し続ける、もはや先進国と言われないような没落国家になってしまった。
組織マネジメント原理主義者は、自分がトップに立ちそれを効率的に推し進めるための一番効果的な方法は恐怖政治であるということを知っている。斎藤知事は維新の創設者である橋下徹府知事からそれを学び、業務命令で管理する組織作りに邁進した結果がパワハラであり、公益通報者保護法違反である。このような道義性に欠ける人が知事に出馬するべきではなかったし、そのような人を選出すべきでなかったという話であった。
確かに私もそう思う。斎藤知事にはこの混乱の責任をとって辞職されることをお勧めする。兵庫県政の正常化が1日でも早く実現されることを願いたい。